概要
ドクターバイルがエリア・ゼロ殲滅、及びネオ・アルカディアより外界の自然環境の破壊を目的としていた「ラグナロク作戦」での切り札でもある兵器。
(外界の自然を無くし、人々のネオ・アルカディア以外の環境での生活を不可能にし、ネオ・アルカディアへ閉じ込める為。)
「ラグナロク作戦」の真意は宇宙から地上への無差別攻撃を行うためであり、ドクターバイルが世界を支配するためでもあった。
しかし、ラグナロクはエリア・ゼロ殲滅を遂行する部隊、「アインヘルヤル八闘士」のリーダーであるクラフトがネージュの言葉から、バイルや戦い続けても変わらない現状を憂いて反乱をおこし制御室を制圧。その銃口をバイルが居るネオ・アルカディアへ向けた。
この砲撃によりバイルがいたネオ・アルカディア中心部付近は跡形も無く消滅し、かつての理想郷は瓦礫の山と化した。
その後、クラフトはゼロにより倒され、ゼロに、自分の過ちを気付かせてくれたネージュと、この世界の行方を託し息を引き取った。
リマスターサントラに付属していたブックレット、『バイル事変──遥かなる理想郷、その罪と新生』の記述では、元々妖精戦争時代に建造されたもので、このクラスの衛星がまだ200基以上衛星軌道に残されていると語られている。
クラフト亡き後のラグナロク
これでバイルも死亡し、制御室を制圧したクラフトも死亡したことによりラグナロクは完全に沈黙したかに見えた。
だが突如としてラグナロクの副砲が何者かにより発射される。
更にラグナロクがエリア・ゼロへ墜落する軌道に乗りはじめたことが判明。
ゼロらはすぐに制御室へむかおうとするも、何者かによりラグナロクへの転送回線にプロテクトが掛けられており、完全にラグナロクへの道が閉ざされてしまう。
そこにネージュからネオ・アルカディア軍の転送設備なら可能かも知れないとの情報が入った。
ゼロはネージュに教えられた大型転送基地へ向かい、そこの防衛システムであるランダム・バンダムを撃破し、コントロールシステムを掌握。
更にゼロは転送回線自体のプロテクトを解除するためシエルのアイディアで転送回線内部へ自らをデータ化し潜入。
プロテクトシステムを沈黙させ回線を復旧させた。
ラグナロク決戦
これでラグナロクへの移動が可能になったゼロはシエルからミッションの説明を受けた。
ラグナロクを停止させるにはラグナロクの核である「ラグナロク・コア」を「停止」させることというものであった。「破壊」してしまってはラグナロク自体が崩壊してしまう可能性があるためであった。
ゼロはこれが最後のミッションになるだろと感じていた。
ゼロは地上の自然、そしてシエルを守る為、ラグナロクへ赴いた。
激しい敵の攻撃を退け、ついにゼロはコアへ辿りついた。
しかしそこにある人物の声が響いた。
「ようこそ...。破滅のショーの特等席へ...。」
バイルであった。
ラグナロクの砲撃を受けてなお死ななかった、いや、「死ねなかった」のである。
彼は自らにかけられた「呪い」について語りはじめた。
彼はダークエルフによるレプリロイド支配とイレギュラー抹殺を目的としたイレギュラー戦争。
後の「妖精戦争」と呼ばれる戦争の全責任を当時の人間達に押し付けられ、その罪の代償として「半レプリロイド化」という重罰を受けていたのであった。
その罰とは記憶の全てをプログラムデータへと変換され、ボディには自己修復機能をつけたアーマーに押し込められたというもの。
体が傷付けばアーマーが修復させ、「死なない」のである。
つまり戦後の荒廃した何も無い世界を「永遠に生き続けなければならない」という事である。
バイルはこのような「呪い」を掛けた全レプリロイド、全人類に自分と同じ苦しみを味わせようとラグナロク作戦を発動し世界の支配者になろうとしていた。
ゼロはそれが理想なのか、とバイルに訊いた。
バイルはこう答えた
「理想だと?戯れ言だ!」と。
バイルはゼロを排除するため、ラグナロク・コアを纏い戦闘形態へと姿を変えた。
ゼロはバイルが繰り出す攻撃の数々を凌ぎ、ついにバイルのアーマーを大破させた。
これでラグナロクは停止するかに思えた。
しかしラグナロクは止まらず、寧ろ更に加速しつつあった。
シエルからの通信が入る。泣きそうな声でゼロに訴えた。
限界高度に達し、これ以上の加速は転送が不可能になるとのことだった。
そこへバイルがゆっくりと現れた。コアの爆発でも健在だったのだ。
こうなった以上、バイルもろともラグナロクを破壊しなければならないとゼロは悟った。
そしてバイルは自らのボディへラグナロクのコードを強引に繋いだ。
「どうだ!この痛みが! 貴様に分かるかぁ!!」
やがてバイルの姿は肥大化し、
遂にはラグナロクそのものと融合したのである。全人類への憎悪と悪意を体現したかの様な異形へと変貌した。
バイルはゼロに問いかけた
「貴様にワシが斬れるのか!? 人間であるこのワシを! 守るべき人間を!」
ゼロは答えた
「俺は正義の味方でもなければ、自分を「英雄」と名乗った覚えも無い...。
俺はただ、自分が信じる者のために戦ってきた...。
...俺は、悩まない。
目の前に敵が現れたなら...叩き斬る...までだ!!」
直後、シエルがゼロの名を叫ぶのを最後に通信は途絶えた。
その後
ゼロによりバイルが倒され、ラグナロクは崩壊し大気圏で燃え尽き、その残骸は流れ星となり地上へ降り注いだ。
エリア・ゼロへの墜落は避けられ、地上は無事だった。
しかし、ゼロは帰ってこなかった。
シエルは静かに涙を流し、泣き崩れた。
そして誓った。「皆が笑っていられる世界を作る」と...。
その後、この流れ星はある男によりその後の世界にも災禍を撒き散らすことになった...。
その男はよりバイルの憎悪を宿したある一つの金属を生み出すことになる。
後の時代では、主人公の暮らしていた国サンク・ヴィルが特にラグナロクの残骸が多く降り注いだ地であり、遺跡として残されていると語られている。
その最奥に、妖精戦争最凶の亡霊が待ち受けている。