概要(CAROL 〜A DAY IN A GIRL'S LIFE 1991〜)
1988年12月9日にリリースされたTM NETWORKの6枚目のオリジナルアルバムである。
アナログ盤、CD、カセットテープの三形態で同時発売。
後にMD版や豪華版の『DELUXE EDITION』が発売された。
小室哲哉氏がイギリスに拠点を移し、かつてビートルズが楽曲制作に使用した事で有名なロンドンのスタジオで楽曲をレコーディングが行われた。
TM NETWORKのオリジナルアルバムがアナログ盤としてCDと同時発売された最後の作品であり、アナログ録音に拘った音作りで構成されているのが特徴である。
また、アナログ盤は二枚組の豪華版であり、曲順がCD版やカセットテープ版とは異なり、「CAROLのストーリーに関連する曲」と「通常のTM NETWORKの楽曲」ときっちり分けて収録されている。
これは小室哲哉氏の意図で「アナログ盤は僕ら制作側の本来意図した曲順で、CD版はリスナーが飽きないような曲順にした」と云うことである。「CDはランダム再生でリスナーの好きに曲順を変えられるけど、アナログ盤ではそうはいかないから」と云うことらしい。
収録時間トータル62分01秒。
【収録曲】※
1.「A Day In The Girl's Life (永遠の一瞬)」 作詞︙小室哲哉 作曲︙小室哲哉 4:10
2.「Carol (Carol's Theme I)」
作詞︙小室哲哉 作曲︙小室哲哉 2:55
3.「Chase In Labyrinth (闇のラビリンス)」
作詞︙小室みつ子 作曲︙木根尚登 4:33
4.「Gia Corm Fillippo Dia (Devil'sCarnival)」 作詞︙小室みつ子 作曲︙木根尚登 5:18
5.「Come On Everybody」
作詞︙小室哲哉 作曲︙小室哲哉 4:56
6.「Beyond The Time (Expanded Version)」
作詞︙小室みつ子 作曲︙小室哲哉 5:18
7.「Seven Days War (Four Pieces Band Mix)」 作詞︙小室みつ子 作曲︙小室哲哉 4:58
8.「You're The Best」
作詞︙小室みつ子 作曲︙小室哲哉 5:23
9.「Winter Comes Around (冬の一日)」
作詞︙小室みつ子 作曲︙木根尚登 4:41
10.「In The Forest (君の声が聞こえる)」
作詞︙小室みつ子 作曲︙小室哲哉 2:56
11.「Carol (Carol's Theme II)」
作詞︙小室みつ子 作曲︙小室哲哉 4:00
12.「Just One Victory (たったひとつの勝利)」 作詞︙小室哲哉 作曲︙小室哲哉 6:59
13.「Still Love Her (失われた風景)」
作詞︙小室哲哉 作曲︙小室哲哉、木根尚登 5:52
※記載した曲順はCD版
概要(小説)
上記のアルバムのコンセプト・ストーリーを元に木根尚登氏が著した長編小説。
ロンドンから少し離れたバースという街に住む主人公のキャロル・ミュー・ダグラスは、自身の好きなバンドグループのガボール・スクリーンの急激な人気低迷を始め、ある日突如ビッグベンの音が消える、父親がチェロから思うような音が出なくなり苦悩する姿に直面する等、日常の奇妙な変化に気味の悪さと違和感を覚える。
その後、魔王ジャイガンティカに奪われた「音」を取り戻す為に、迷い込んだ異世界『ラ・パス・ル・パス』で、異世界人のティコ・ブラーニ、フラッシュ、クラーク・マックスウェルと出会い、魔王を倒し「奪われた音」を取り戻すために共に旅をする物語。
概要(アニメ)
上記の小説を一時間にまとめたアニメーション映画。
随所にCAROL収録曲が挿入されている。
監督を出崎哲氏、プロデューサーを木根尚登氏、
構成・キャラクター原案を高河ゆん氏が務める。
アニメ版の制作から数年後には、高河ゆん氏がキャロルの孫にあたる品川京呼が主人公となる続編の漫画「CAROL-K」がソニー・マガジンズにて掲載された。
内容は小説と大同小異である為、キャラクターのみ説明する。
✬キャロル・ミュー・ダグラス(声優︙久川綾)
本作の主人公。ブロンドヘアの少女。
ラ・パス・ル・パスを救う呪文は異世界人にしか聞き取れないとの理由でクラークに呼ばれた。
当初は敢えてブラックコーヒーを飲んだり子供臭いという理由で甘い物を拒否したりとワガママであり、森で出会ったティコに「危ないからここで待っていて」言われても勝手に歩いて迷子になったり、前述の理由からドモスが好意で渡した甘い木の実を断ったりと身勝手でもあった。
しかし物語後半では成長し、悪に怒りを覚えて自らの使命を受け入れる覚悟を決め、ラ・パス・ル・パスを救おうと努力する。
シーンによっては髪を片方だけ巻いたりする。
✬フラッシュ(声優︙宇都宮隆)
ラ・パス・ル・パスのボーカリストであり剣士でもある。
一見無愛想。
最初はキャロルのことを疑っており、彼女と衝突していたが、共に窮地を乗り越えるうちに次第に距離は縮まり、親密な仲になっていた。
宇都宮隆似である。
アニメ版のラストシーンでは宇都宮隆の女性ファン達がキャロルに嫉妬することに。
✬ティコ・ブラーニ(声優︙飛田展男)
ラ・パス・ル・パスのギタリストであり狩人でもある。
森で倒れていたキャロルを最初に助けた人物。
獣人とのハーフらしく耳がエルフっぽい。
原作イラストでは目に遮光ゴーグルを着けていたが、アニメ版では作画の都合でサングラス着用になった。
狩人らしく、武器は主に拳銃を使う。
木根尚登似である。
✬クラーク・マクスウェル(声優︙塩沢兼人)
ラ・パス・ル・パスのキーボーディストであり僧侶である。
ケプリらに囚われ、ジャイガンティカに音楽を献上させる目的で幽閉されている。
ロンドンにいるキャロルにテレパシーでメッセージを送り、ラ・パス・ル・パスに呼んだ。
音楽によるジャイガンティカの寝かしつけも担当している。
小室哲哉似である。
✬ドモス(声優:山田栄子)
迷路の森にて道に迷ったキャロル達の前に現れたピーターラビットの様な大きい兎。
クラーク達の仲間。
その外見に驚いたキャロルにも優しく接し木の実を分けてくれた。
TM NETWORKのライブではサポート・ドラマーの阿部薫氏が演じていた。
✬ケプリ(声優:速水奨)
魔王陣の幹部。
ライーダと人間のハーフ。
本当は美しい音楽を愛している。
キャロルに好意を抱き、改心しかけ彼女達の脱出に加担するが逃亡途中に殺害されてしまう。
TM NETWORKライブでは当時B'zでデビューしたばかりのサポート・ギタリストだった松本孝弘氏が演じていた。
✬ジャイガンティカ
1つ目の異形の怪物であり、地球の綺麗な音を奪い、
ラ・パス・ル・パスを殺伐とした世界に変えた元凶。
魔獣のライーダを大量に産み出して、下僕に従える。
原作イラストとアニメ版で全く容姿が異なる。
TM NETWORKのCAROLコンサート時にこれを模したオブジェ(デザインはアニメ版に近い)が舞台に設置された。
✬キャロルの父親(声優:田中秀幸)
チェリストととして有名だったが、音を奪われてしまった為に心を病んでしまった。
✬ガボール・スクリーン
正体不明の謎の三人組バンドグループ。
キャロルはその大ファンであるが、新曲が世間から駄作扱いを受け、急激に人気が低迷してしまった。