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概要

名前は上顎の先端が円筒形で堅い骨質状になっていたことに由来し、「膨らんだトカゲ」を意味する。

最も多くの化石が発見されているのはアメリカカンザス州だが、ヨーロッパアフリカ日本ニュージーランドでも化石が確認されている。このことから、浅瀬だけでなく岸から遠く離れた海域の中層あたりでも暮らしていたことが判明した。

最大のものは頭骨長約1.8メートル、全長約15メートルに達したと推定され、近縁種のモササウルスと並び、モササウルス科では最大級となる。

その長い顎には口蓋骨にまで多数の歯が並んでおり、頭骨の関節を動かす事で顎を大きく開く事が出来たことから、積極的な捕食者であったようだ。それを裏付ける様に、ヘスペロルニス(現生のペンギンの様な生態の海鳥)、サメ、更には小型のモササウルス科首長竜などを胃に収めた化石が発見されている。

体内の獲物の化石にはほとんど噛み砕かれた形跡がなかったことから、同じ有鱗類であるヘビのように獲物をいっきに丸呑みにしていたらしい。

化石に見られる損傷から、名前の由来となった円筒形で堅い骨質状になった上顎の先端は、軍船の衝角のように獲物やライバルへのぶちかましに使用していたようだ。

アラスカ州のタルキートナで発掘されたハドロサウルス科の骨の化石は沖合に堆積したと思われる地層から産出したが、骨に穴が空いており、この穴はティロサウルスの歯とちょうど一致していた。ハドロサウルスが沖合に泳いでくることは考え難いため、沖合に流されてきた死体をティロサウルスが貪った跡と推定されている。歯の噛み跡と思しき穴は、特に筋肉が多く付着していただろう後肢の骨で顕著にみられた。ティロサウルスは機会があれば(現在のサメのように)大型動物の死体も積極的に食べていたようである。

ティロサウルスはじめ遊泳に完全に適応した海棲爬虫類が恐竜を食べる機会は恐らく、こうした「沖合に漂流する死体を漁る」のが大半であり、幾つかの映画やテレビ番組であるように「沿岸で生きた恐竜を捕食する」ような機会は皆無とは言えないまでも極めて稀だったと思われる。沿岸付近で水に近づいたり、時に泳いだりしている陸生動物を捕獲することに適応しているのはワニに代表されるような四肢が鰭化していない半水生の肉食動物である。この時代は現在のイリエワニのように河口や海岸に生息するワニ類が大いに繁栄しており、モササウルス類でもパンノニアサウルスのように原始的な特徴をもった種がワニのように半水生の捕食者として生活していたことが示唆されている。