概要
旅客機や客船などの乗り物における普通席(普通料金の座席)のこと。「エコノミー」とは「経済」という意味であり、料金が安くて経済的な席であることからこの名で呼ばれる。航空券には「Y」と書かれるが、これは「Economy」の末尾のY。Eとしなかった理由はファーストクラスのFより先になってしまうから、といわれている。
料金が安い分、収益性も低いためコスト削減が真っ先に行われがちで、シートピッチは普通列車よりもさらに狭い(国際線では概ね80cm前後なのだが、この数値は87.5cmあるJR東海の313系近郊形電車以下。国鉄特急型標準の91cmにさえ遠く及ばない)。前の席がシートを倒せばさらに狭くなってしまう。そのため「窮屈」と評されることもしばしば。一応、座席の形状を工夫するなどして改善はされているが、狭さ自体は変わっていない。これについてはアメリカ議会が(避難時の安全性も含めて)FAAに座席サイズを見直すよう要請したものの、現状は特に何の動きも見られない。
ビジネスクラスやファーストクラスなどに比べればサービスや快適性などの面ではまったく敵わないが、近年はコスト削減一辺倒ではなくある程度は快適性を考慮してサービスレベルの向上が図られている。前述のシートの形状を改善するほかにも、個人用モニターで映画や音楽などを視聴できたり、スマホやPCで使える電源が用意されたりと、主に付帯設備の面での改善が進んでいる。
格安航空会社(LCC)の場合は、やはりコスト削減のために全席をエコノミークラスにしている場合が多い。特に短距離路線が中心のLCCにとっては、ビジネスクラスやファーストクラスなどもってのほかである…が、最近では長距離便ではビジネスクラスのあるLCCも出てきている(それでもフルサービスの航空会社よりサービス面は削られているが)。
プレミアムエコノミー
ビジネスクラスが豪華になった一方、エコノミークラスはコスト削減が進められた結果両者の間には大きな差ができてしまったので、両者の中間として登場したもの。1991年にエバー航空が始めたのが始まり。
専用シートを装備したりエコノミークラスのシートピッチを広げたり、旧式のビジネスクラスの座席を流用するなど考え方は航空会社によって千差万別だが、概ね在来線特急の普通席くらいのシートピッチは確保されている。機内食のメニューはエコノミーと変わらない。こちらも年々豪華になる傾向がある。