新しい戦前
あたらしいせんぜん
概要
2022年12月28日放送の『徹子の部屋』に出演したタモさんの発言である。
番組最中、司会の黒柳徹子さんから来る2023年について問われたタモさんは
「だれも予想できないですね」と前置きしつつも
「新しい戦前になるんじゃないですかね」と発言、
お笑いタレントであるタモさんの明るく景気のいい予想を聞きたかったであろう、視聴者の度肝を抜いた。
この発言はたちまちSNSを席捲、左右両派や各種メディアだけでなく、与野党を問わず政治家をも論争に巻きこむこととなった。
発言の背景
タモさんはこの発言の真意については語っていないが、背景には以下のようなものがあると考えられる。
国際情勢の緊張
これに先立つ2020年に中国は香港の選挙制度を民主派を排除するように改定し「一国二制度」を事実上破棄、親中派による言論統制と親中教育、市民の監視を強行、民主派弾圧も強まっていった。
2022年はヨーロッパでウクライナ侵攻が発生し、東アジアでは台湾と中国との間での緊張が高まり、台湾有事の発生が危惧されるなど国際社会で対立、尖閣島を実効支配する日本に対して中国が尖閣島領有を主張、日中両国が同島沖で睨みあう対立も発生していた。
また、日本ではこうした情勢に対して同年12月に岸田内閣が国家安全保障戦略の改定を行い敵基地攻撃能力を保有し、防衛費を大幅に上げる方針を閣議決定したが、これに対しては日本が再び戦争ができる国になるのではないかと危惧する意見も聞かれる。
日本国内の情勢
2022年の日本では7月に二・二六事件以来86年ぶり、第二次世界大戦後の日本国憲法施行下では初の首相経験者殺害事件である安倍晋三銃撃事件が発生した。
この事件について、政治的動機ではなく旧統一協会信者の子弟による宗教二世の境遇が動機とみられ、これに対する同情から減刑運動が行われた事や容疑者の行為を一種の世直しとみなして賞賛したり、容疑者を英雄視する言論が一部で飛び出した事が戦前の五・一五事件と比較された。
また、この事件から僅か9ヶ月後には岸田文雄襲撃事件が発生しており、政治家を狙ったこの一連の事件について、1930年代に昭和維新を標榜した国粋主義者や軍人らが相次いでテロやクーデターを起こした事と比較する意見も見られた。
以降裏金問題なども発覚し自民党全体の支持率が降下していくが、野党への支持も伸びず、戦前同様の政党不信が高まっている。