戦闘員D
せんとういんでぃー
「倒してやる 俺達の敵を 全て」
概要
CV:小林裕介
コミックの単独表紙は第13巻。
本作の主人公。「ダスター」と呼ばれる悪の怪人軍団の末端戦闘員の一人。
他の戦闘員と同じく、八百長まみれのお膳立てされた日曜決戦に臨んでいたが、日頃から溜まっていた鬱憤がついに爆発し、ある日予定には無い捨て身の特攻を仕掛ける。
結局はレッドキーパーに瞬殺されるも、その日を切っ掛けに大戦隊への反逆、特に五人のドラゴンキーパーへの反撃を決意する。
後に地上人の桜間日々輝と協力、現在は彼に擬態して大戦隊に潜入中。
作中では擬態中の桜間の名前か、「D」という記号で呼ばれる。
※以降、桜間日々輝を「日々輝」、日々輝に擬態したDを「桜間」と記す。
容姿
戦闘員ことダスターは全員、骸骨を模した顔を持つ全身黒スーツ姿であるため、Dもまた全く同じ姿をしている。
作中でこの姿を見せるのは主に戦闘時のみで、平時は人間の姿に擬態している。
- 擬態その1
擬態元の人間の詳細は不明。地上に下りる際、適当な人間を選んだのか、はたまたDが想像して作った架空の人物なのかすらも。アニメではこの姿を「青年D」と呼んでいる。
黒髪の短髪、白い無地のTシャツ、目つきが悪い顔つきの容姿をしている。
- 擬態その2
擬態元の人間は桜間日々輝。レッドキーパー・赤刎創星に1の顔が割れてしまい、危うく殺されかけた後に日々輝から協力を持ちかけられ、彼の顔を借りて大戦隊に潜入した。
長い間この顔でいるので、読者の多くは「D=桜間の顔」で定着している。
性格
悪の怪人らしく大戦隊への対抗心と反逆心を燃やしており、彼らを倒す事を第一に行動する。全部自分の思い通りにならないと気が済まないワガママで、場合によっては上司であり生みの親でもある幹部にすら歯向かう。
一方、嫌々ながらも助けてもらった日々輝を気にかけたり、戦闘員XX達だけに戦わせてしまった事を後悔したり、何だかんだ最終試験で共に競った隊員達を鼓舞したりなど、逆に怪人らしくない……人間くさい部分を見せる時が多々ある。
妙に仲間思いで、自身と一緒に戦ってくれた者に対しては怪人に限らず、敵である隊員にすら情を感じるという、怪人のくせにお人好しな場面がよく目立つ。特に同じくダスターでありDを気にかけていた戦闘員Fがレッドキーパに神具で殺された時には激高するなど悪役側ではあるが仲間想いの一面はある。
勝負事、特に1対1のようなシンプルな状況では正々堂々に拘り、人質や第三者の不意打ちなどの邪魔が入る事を嫌う。本人曰く「こんな形で勝ったって意味がない」
怪人幹部の生存が発覚し、彼等の行いを鑑みて自分の「世界征服」と幹部の「世界征服」が別物である事を実感する。Dの抱く世界征服とは(あくまで自分優位ではあるが)「戦闘員の存在が認められ、戦闘員と人間が仲良く暮らしている世界」であり、人類絶滅を目論む幹部と決裂し、反逆している。
ちなみに怪人なので当然、人間社会の一般教養が無い。いつの間にか浮遊城に置かれたラジオや実際に地上に下りて得た経験・情報からでしか学ぶ方法がないため、常識はもちろん簡単なテーブルマナーすら怪しい。
アニメではこれがやや強調されており、ステーキを食べるためにナイフとフォークの使い方を覚えたようである。
作者曰く、「外側では凄い自信満々だけど、内面常に不安を抱えながら生きている。(戦隊大失格という作品は)そんな彼が納得できる自分を見つけるまでの話」と語っている。
戦闘能力
ダスターの唯一の特性にして能力は「崩壊と構築」
「崩壊」は拠点である浮遊城に帰還する時か、ドラゴンキーパーなどの強敵から撤退時に主に使用され、全身を塵状に分散できる。
ただし塵になっている間はコントロールが難しく、浮遊城以外の行き先も風に任せるままになってしまう。
「構築」は主に再生や擬態などに使われ、やり方次第では腕を刃に変えたり伸ばしたりする事ができる。
擬態のディテールは擬態する対象の理解度に比例し、目の前に本人か写真があれば瓜二つにまで再現する。
Dはこの二つの能力を、他の戦闘員より使いこなしているように描かれている。
いくつか例を挙げると、崩壊で分離させた腕と自分の間に障害物を挟んだまま再構築する事で、その障害物ごと腕を引き寄せて相手にぶつける。徐々に足から崩壊していく事で、まだ崩壊してない大部分を相手に攻撃させるデコイにする。本来は風に流されるままになる塵の状態を、なんとか意識を保つ事で相手の背後に回り込むようコントロールする、など。
大戦隊の傀儡と化した戦闘員の中で、唯一反抗心を抱き続けたDだからこその技量と言えよう。
どうやら擬態には戦闘員ごとに得手不得手があり、Dは人間の真似が得意。さらに物への擬態も不可能ではなく、両手をドラゴンガジェットに変化させた事もあった。
他の怪人も同様だが、神具と呼ばれるドラゴンキーパー専用のアイテムによる攻撃を喰らってしまうと再構築できずに消滅してしまう。
神具を駆使する大戦隊と比較すると決して戦闘力は高く無く、攻撃を加えても無意味な事も多い。しかし自分を貫き強大な敵に立ち向かう姿は、敵味方問わず多くのキャラクターに影響を与えている。
人間関係
元々仲間想いな一面はあったのだが、桜間日々輝との邂逅を経て人間に対する"情"と呼べる物がDの中に芽生えている。
桜間として日々を過ごした無色の隊員たちは煩わしさを覚えながらも、利用しあう関係の中怪人幹部に襲われた際に助けたり鼓舞している。特に自身の正体を明かしても友好的だった小熊蘭丸に対しては、特別友情を感じていたようで、元上司のペルトロラが彼を殺したと発言した際に無意識に後ろから刺し殺す程だった。
後にその人となりを知った浦部天玄と戦闘員として対峙した際は、確実に殺せる状況だったにも関わらず手を出せなくなり、「今日見た事は忘れて森を出ろ」と撤退を促す程に情を感じてしまっている。
自分をスカウトした翡翠かのんには任務を重ね思う所があったのか、彼女がピンチに見舞われるとその都度自身の能力を駆使して救っている。
共に昇格した薄久保天使にはその戦う理由を聞いて覚悟の程を知り、そんな彼女を洗脳し尊厳を奪うマガティア率いるウロボロスに対し激昂している。後に薄久保自身が父親の支配下である事を知った時は、彼女の立場をかつての自分と重ね「自分の舵を他人に握らせんな」とアドバイスを送っている。
自分と同盟を組んでいた錫切夢子は、最初は訳が分からない不気味な奴として避けていたが、その目的を戦いの中に知ってしまい、彼女が戦線を離脱すると「逃げんな、戦えよ」と台詞を溢し、かつて彼女が自分に語った「君のやる気次第」と言う言葉を胸に抱いて大戦隊の中で足掻いている。
任務で同行したグリーンキーパーに対しては、正体が割れても彼がレッドキーパーのように非道で倒さなければならない敵なのか迷っていた。その迷いを突かれ怪人らしくありたいならもっと非道になれ、と逆に煽られ見逃された事で怒り暗殺行為に励んでいる(が、やはり殺意が無いからなのかどれも失敗に終わっている)。
一方で何度も辛酸を舐めさせられ続けたレッドキーパーに対しては全く抵抗なく刃を振るい、苦手としていた背後からの暗殺も厭わない。とは言え、着替え中に本当に刺し殺してしまった時は自分でも驚いていた。ブルーキーパーと相対した時は正面から一対一を申し込み、自らをモブの戦闘員では無く「戦闘員D」として全力で対峙してくれたブルーに対し怪人としての矜持を感じていた。
戦闘員Dにとって"敵"とは所属や種族問わず「気に入らない相手」であり、逆に「気に入った奴」は種族の壁を超えて無意識に情を感じ非殺判定になっているようで、これがDの行動原理に結び付いている。
作中の動向
日々輝に擬態するまで
第1話では非番であるにもかかわらず青年Dの擬態で日曜決戦を見学し、そこで入場の受付をしていた錫切夢子と日々輝に出会う。その後(非番にもかかわらず)日曜決戦に戦闘員Dとして飛び入りをし、上記「概要」にある捨て身の特攻を仕掛ける。
「たまにはあってもよくないか? 怪人が勝つ展開」
敗れて自分の身の程を知ったDは大戦隊を倒すべく内部に潜入するため入隊試験の受験に臨むが、この際「筆記試験どうかありませんように」とモノローグを浮かべている。
この時、錫切と日々輝に再会し、二人に歓迎されるも、二人に早速正体を見破られている。一方で幹部(イエロー部隊従一位)である錫切には手を組んでの、入隊試験に合格した日々輝には協力しての大戦隊打倒を持ちかけられていて、この時Dは「両方地雷」という感想を漏らしている。
錫切の手引きでレッド部隊駐屯地に潜入し、レッドキーパーの神具「赤竜サラマンドラ」の奪取に成功するが、その神具は錫切に横取りされている。
敗走したDはそこで日々輝と出会い、ブルー部隊従三位の碧流亜乱と戦闘になるが日々輝の介助とアドバイスで、Dと日々輝が入れ替わって(日々輝がやられ役となって)碧流の目をごまかすことでその場を切り抜けた(ちなみに日々輝はこの時、自らの右手を切断する行動に出ている)。
そしてDが変身した桜間と日々輝は、どちらが先に大戦隊を潰すかを争う勝負を取り決め、それぞれの道へ進むことになる。