概要
犬をモチーフとした長身(132cm)の男性キャラクター。
デビュー作は1932年5月25日公開の『ミッキー一座』。
この時はディピー・ダウグ(Dippy Dawg)という名前で、観客席でばか笑いを続ける老犬として登場した。
グーフィーの名前がついたのが2年後に公開された『ミッキーの芝居見物』からである。
特徴的な笑い声はデビュー作の時点ですでにみられている。
キャラクター
のんびりとした性格やしゃべり方が特徴。口癖は「アッヒャ」「アッヒョ」。
おとぼけでどんなことでも信じてしまう程のお人好し。良くも悪くもポジティブで人の話を聞かないことが多い。
Goofy(英語で"間抜けな、馬鹿馬鹿しい"という意味)という名前の通りおっちょこちょいなところがあるため、ドジを踏んでしまいドナルドを始めとする周りに迷惑をかけることが多々あるが、悪気はなく失敗してものほほんとしていることが多い。
短編時代ではGJ(ジュニア)、近年のTVシリーズ以降はマックスという息子が設定されている。息子が絡むと父親らしいまともな発言をすることも多い。
しかし基本的には過保護気味で、過剰に気にかけたり、悪い意味で厳しい父親面をしてしまう事もある。
このことからマックスからはうるさがられたりすることもしばしばある。
スポーツが趣味だがお世辞でも言えないほど運動音痴でやるとハチャメチャになる。しかし、運が良いので結果的にプラスになることが多い。
また普段のおとぼけから想像できないほど頭が冴えたり、勘が鋭いところがあり、キングダムハーツシリーズではこの面が顕著している。
友達想いで特にミッキーのことを親友として大切にしており、一部の回ではホモとまで思うレベルである。
妻や恋人についてのあれこれ
妻であるミセスグーフィーは人間である………という誤解があるが、これは誤り。というか今の所は妻が誰かは明らかにされていない。
というのもディズニーキャラクターとは基本的には俳優という扱いであり、短編作品で共演した人間の女性もあくまで共演者という見方が強いためである。
とはいえこの辺りは結局公式がはっきりさせていないところである。つまりマックスは犬と人間のハーフという可能性もある。だが、人間の女性が登場していたのはジュニアと共演していた時期であり、マックスとの共演作に限って言えば母親は一切映っていない。
恋心を抱いた相手には、クララベル、シルビア・マールポロなどがおり、結婚したのかどうかは不明。このため誰がグーフィーのマドンナかという論争がファンの界隈ではそこかしこで起きている(もっともそれは他のディズニーキャラにも存在するが)。
変遷
先の通りディピー・ダウグとしてのデビュー後はグーフィーと改名された後、ミッキーの短編で登場するようになる。が、短編作品シリーズができるのはその後に登場したドナルドダックよりも遅い。
そのためアカデミー賞を逃したグーフィーが入水自殺を考える、というドキュメントアニメが作られたこともある
- ちなみに、グーフィーの主演作品は、「グーフィーのアメリカンフットボール教室」(1944年の第17回アカデミー賞)と「グーフィーの水上スキー」(1961年の第34回アカデミー賞)でアカデミー賞をノミネートされた経験を持っている。しかし、残念ながら両方共に受賞することが出来なかった(ちなみに、前者の第17回アカデミー賞で受賞されたのは、『トムとジェリー』の「ネズミ取り必勝法」である)
短編作品デビュー後は持ち前のドジっぷりと愛嬌のある振る舞いで人気を獲得し、ミッキーやドナルドとは異なる作品となっていった。中でも教室シリーズと呼ばれるものは様々な職業にグーフィーが就いたり関わったりするシリーズとして人気を博した。
一方で教室シリーズの影響からグーフィーはディズニースターの中でも特に擬人化が進んだキャラクターである。1949年の「グーフィーのテニス教室」以降、グーフィーは一度デザインのリテイクが行われ、特に目付きがより人間らしく改変された。しかし犬っぽさは薄れていき、一部の作品では長い犬耳がなくなって、ただの犬顔の人間になっていることもある。
これ以降、グーフィーの作品は社会問題にメスを入れていくような風刺的作品へとシフトしていった。これから10年以上もの間、グーフィーはこの擬人化タイプにビジュアルを変えたうえで活躍していた。
しかしディズニーランドの成功もあって、キャラクターに愛嬌を求められるようになったこともあり、グーフィーはなんとかつてのデザインへと先祖返りを果たすこととなる。一部作品を除いてある程度定着しつつあるミッキーや、デビュー作以外はあまり変わらないドナルドとは全く違う系譜を辿っている。
余談
先の通りディズニーキャラクターは俳優という扱いなため、作品によって設定が異なる。そのため公式でも設定なのか演じているのかごっちゃになることがしばしばある。
短編アニメ『グーフィーの自動車大好き』では車に乗ると性格が大きく変わり、「前を開けろ!邪魔なんだよ!」と普段のグーフィーとは考えられない口調と形相で車を暴走させていた。
しかし、性格が変わっているのはグーフィーではなく、グーフィーが演じている一般市民の男性ウォーカーである………のだが、アニメ『ハウス・オブ・マウス』では、マックスがこの映像をグーフィーの私生活の模様であると紹介した。
『ハウス・オブ・マウス』のこの回は、マックスが車の免許を取りたいと言い出すもののグーフィーが「まだ子供なんだから早い」と言って許可してくれず、更にスポーツカー風の車(この車はマックスがが乗り込む前に劇中で放送されたアニメーションでミッキーが買った新車で、色々な成り行きで手放した)を壁に追突して、その残骸を見たグーフィーに父親らしく「責任感が無いから車には乗るな」と(その場にいたミッキーとミニーを何故か巻き添えに)車の所持と乗車を禁止にした、…というストーリーで、自分の映像を見た当のグーフィーはこの映像を見て普通に笑っていたり恥ずかしがってたりしていた。本人曰く「あれはまだ若くて何にも分かっていなかった頃だから………」とのこと(ミニーからは「今のマックスみたいに?」とツッコんだ)。
このためグーフィー短編の出来事は全て彼の私生活だという見方もあるが、一方で矛盾が多く生まれてきてしまうためこれを全てと考えるのも軽率である。何故ならディズニー自身もグーフィーのプロフィールを完全にまとめているわけではないからである。
影武者?
1961年に「ディズニー・クラブ」が発行した会報に「グーフィーの死んだ夜」という評論が掲載されている。この会報は創刊時にウォルト・ディズニーからコメントが寄せられたこともある由緒正しいもので、これによると
グーフィーはミッキーとドナルドとのスターの座の奪い合いに疲れ果て、ある夜に人知れず自殺してしまった。
彼の死後は影武者が代わりに映画に出演している。
という文が書かれ、影武者の正体としてミッキーの飼い犬であるプルートがグーフィーの影武者の可能性を指摘している。事実、グーフィーと顔と耳が酷似しているプルートはウォルト・ディズニーが亡くなる1966年までディズニー・アニメで同じ画面に映ったことがない。
- しかし、1943年制作の『グーフィーのすてきな乗り物』では、猫と犬を利用した、ガソリンいらずの車の紹介の際に、グーフィーとプルートが珍しく共演しているシーンがある。ただ、この話でのプルートはカメオ出演という感じになっているため、カメオ出演を除いた場合のことを示しているのかもしれない。
担当声優
原語版
初代のピントと六代目のビル以外は担当期間が短いため、あまり知られていない。
- ピント・コルヴィッグ
初代。クラシック短編で主に担当した。基本的なグーフィーの性格付けを行った。
- ジョージ・ジョンソン
ピント担当時期の代役。一時的なものだったため二代目と認識されていない。
- ボブ・ジャックマン
クラシック短編時代の正式な二代目。後期なこともあり担当作品は少なめ。
- ハル・スミス
三代目。ミッキーのクリスマスキャロルなど限定的な担当。
- トニー・ポープ
四代目。ロジャー・ラビットなどで担当。
- ウィル・ライアン
五代目。D-TVなどで担当。
- ビル・ファーマー
六代目。これまでころころとキャストの変わったグーフィーだが、ビルの登場によりようやくピント以来の永き定着を見る。
日本版
所謂旧声優版と呼ばれるバンダイ・ポニー製作版のメイン声優。関西出身のためアドリブで関西弁が混ざることがあった。
小山と同時期にしばしば担当していた。ピートも入れ替わりで担当していたためグーフィーもそれにあたると思われる。
テレビ番組「ミッキーマウスとドナルドダック」等で担当。八奈見節全開の一風変わったグーフィー。
ディズニー公認としては初代。1989年からブエナビスタ直売になったディズニーの映像作品では欠かさずグーフィーを演じ続けた。2019年急逝により降板(但しマジカルミュージックワールド及び2022年に公開された「キングダムハーツ4」のPVは収録済みだったのかこちらが担当)。
ブエナビスタ二代目。島香裕のそれを踏襲した声。(ディズニークリスマス2019年のクリスマスの演出から担当)
備考
- YAAAAH-HOO-HOO-HOO-HOOEY!
グーフィーが落下した際に、多くの人は以下の悲鳴を聞いていた人も多いだろう。
YAAAAH-HOO-HOO-HOO-HOOEY!
この悲鳴はグーフィーにとっては最も有名な悲鳴になっているのだが、この悲鳴が使われたのは実は『グーフィーのスキー教室』以降である。
また、実は、何故かドナルドダックやコヨーテなどが落下した際にもその悲鳴を出すことがある。そのため、グーフィーが登場していないのに、落下した際にグーフィーの悲鳴が出てくるという、ちょっと変わった展開も存在する(『リスの食糧難』『プルートとコヨーテ岩の伝説』など)。
ちなみに、それ以前でも、『グーフィーのグライダー教室』で井戸に落ちてしまう展開があるが、その時はまだ上の悲鳴は使われず、別の悲鳴になっている。
- 教室シリーズのナレーター
教室シリーズでは、グーフィーのドジに対してツッコミを入れたり、教室シリーズの題材の解説(例えば、前述の『グーフィーのスキー教室』ではスキーの解説をしている)をするナレーターが登場している。
実は、そのナレーターも、日本版では担当声優が異なる事例が存在している。以下、日本版の教室シリーズのナレーターの声優の変遷を紹介していく。
バンダイ・ポニー製作版の場合は、どの作品にもナレーターが付いていた。そのため、バンダイ・ポニー制作版の教室シリーズのナレーターは、様々なクラシック短編映画のナレーターを務めていた江原正士氏が担当することが多い。特に『グーフィーのアイスホッケー教室』では、後半のシーン以降、物凄い勢いで解説をするという声優の本気を見ることが出来た。
クラシック短編映画の現行吹き替え版では、別のクラシック短編作品でもピートの声を担当する大平透氏が担当している。現在の教室シリーズのナレーターといえば、この声優が一番有名だろう。
堀内賢雄氏が担当しているナレーターの出番が見られるのは、ハウス・オブ・マウスやミッキーマウス・ワークスの短編作品である。
しかし、このナレーターの場合、やや口が悪くなっている上に、彼の助言が原因でグーフィーに悲惨な目を遭わせる場合も多い。
挙句の果てには、『グーフィー紳士になる』で、ズボンを履き忘れたグーフィーに対して大笑いした結果、本来は温厚な性格であるグーフィーが激怒し、そのまま反撃されてしまうという、とても珍しい場面も見られた。
『グーフィーのステイホーム教室』限定のナレーター(参考)。