冒険野郎が来た!
ぼうけんやろうがきた
2枚の布を身体に纏い、槍と盾を持った奇妙な格好の青年・佐藤三郎が現れ、
ゲンとコンビを組むことになった。
怪獣バンゴを倒すため、二人は奇妙な作戦を開始した。
がんばれレオ!さぁ、みんなで見よう!
放送日
1974年6月28日
登場怪獣
風船怪獣バンゴ
STORY
ある日のこと、ゲンら城南スポーツセンターの面々はロードワークに励んでいた。すると、路端の階段に一人、山奥の部族のような珍妙な姿の男性が座ってそれを微笑んで見守っていた。トオルとカオルはその青年を発見して立ち止まるものの、猛に脇見するなと注意され、そのまま通り過ぎて行く。しかしその直後、辺りに地震が発生。ゲンはマックシーバーに怪獣反応をキャッチし、地面が割れて怪獣が姿を現した。
その正体は1億5千万年の眠りから覚めた古代生物・バンゴ。ゲンや猛、百子ら大人達は、子供達に指示をして逃げようとするが、そこに先程の男性が現れ、槍を地に突き刺し、よく分からない言語の歌を口走りながら踊り始めた。
猛「早く逃げないと、怪獣にやられちまいますよ!!」
ゲン「一体、何をしてるんですか!?」
男性「"サイマー族"の、戦闘の踊りと、お祈り…」
その男性は今度は天を仰いで祈り始めると、盾と槍を拾い上げて単身怪獣へと突っ込んでいった。ゲンは制止するものの、男性は怪獣の目の前まで行くと、またも踊りを始める。それにつられてバンゴも踊り出したのを見ると、男性は槍をぶん投げ、まさかの鼻の穴にクリーンヒット。
大喜びする男性だが、狼狽したバンゴは口から突風を吹き出して男性を吹っ飛ばす。が、そのまま地底に姿を消した。物陰で様子を見ていたゲンは、まさかの展開に驚く。
ゲン「怪獣が逃げた…」
百子「あの人がやっつけたのかしら」
ゲン「とにかく、MAC本部に連絡しとこう」
男性「報告やったらもうしときましたで?」
振り返ると、そこにはあの男性が。怪訝な顔をするゲンにいきなり敬礼する男性に、思わず自分も敬礼し返すゲン。男性はそのまま語り始めた。
男性「ワイは…いやその、わたくしは、MAC本部から派遣されて来よりました、佐藤三郎です!…ま、よろしゅうたのんますな」
ゲン「よろしくって君…」
三郎「任務はおおとりはんについて都内をパトロールすることだそうですけど、なんせ3日前まではアフリカにおった田舎もんやさかいに、まぁ、足手纏いになっしゃろうけど、一生懸命やりますよって!」
ゲン「アフリカ?」
三郎「ハイ!ライオンやチンパンジー相手に、往生しました!ウン」
猛「あのぅ…本っ当にMACの隊員ですか?」
三郎「ん?どこへ行ってもそう言われまんな…せや、ホレ見てみぃ!」
風呂敷の中身を広げて見せる三郎。そこにあったのはMACのヘルメットや服だった。彼は正真正銘、MACの隊員だったのだ。驚く子供達に、続いて何かの尻尾を取り出す三郎。
三郎「ホラみんな、これはな、ライオンの尻尾やで!これで頭をこう撫でるとやな、男の子は強くなり、女の子は別嬪さんになるんやでぇ」
寄ってたかって自分も撫でてもらおうとする子供達。猛もふと自分の頭に手をかける。
その後、スポーツセンターから隊服に着替えて出てくるゲンと三郎。上手く着替えられずにいる三郎に、カオルは背中のチャックを閉めてあげた。トオルにヘルメットを受け取り、「サイマー族の星」と呼ばれた三郎。マックロディーの助手席に座るゲンに、三郎が話しかける。
三郎「先輩!すんまへんな、ワイ運転できないんですわ」
溜息をついて運転席に座り直すゲン。
三郎「なんせゾウばっかり乗ってたもんですよってなー!」
トオル「カッコいー!」
カオル「決まってるぅ!」
トオルとカオルに見送られて出発したゲンと三郎。パトロール中にも鼻歌を歌う三郎。
三郎「先輩、ええ日和でんな!やっぱり日本は宜しい、う〜ん」
ゲン「…佐藤隊員、計器を見てください。怪獣の気配があれば、右側の計器に出ますから」
三郎「いやぁ、大丈夫大丈夫!もし怪獣が隠れてりゃあ、計器なんかより早くワイの鼻が探し当てますよってなぁ、ハハハ」
ゲン「鼻?」
三郎「ジャングルで暮らしてましたやろ、怪獣の気配やったら匂いで一発ですわ!ハハハハハッ」
そのうち欠伸をして眠り出す三郎。ゲンももう何も言わなくなっていた。山道に差し掛かって目を覚ました三郎は、マックシーバーで時間を確認すると、風呂敷からおむすびを取り出し、近くの丘で食事にしようとゲンに言う。ゲンも腹が減っていたようで、それを承諾。
(場面転換)
三郎「するとでんな!ゴリラのやつが…」
三郎のアフリカでの武勇伝を(結構興味津々の様子で)聞くゲン。しかしゴリラの真似をしようとして三郎は、おむすびを落としてしまう。おにぎりは近くの穴に落っこちたので、勿体無いと穴を見つめる三郎。すると、穴の中から空気が吹き出しておむすびが戻ってくる。喜んでおにぎりをひと口する三郎だが、ふと違和感を感じゲンを呼びつける。
穴を調べようとおむすびをゲンに預け、三郎はいきなり穴に飛び込んだ。が、ゲンが驚く暇もなく、すぐさま三郎は飛び上がって戻ってきた。
どこかに通じているから風が吹くのかと驚く三郎。子供が落ちたら危険だと思うゲンだが、三郎はふと煙草に火をつけると、(MACの隊員としてはいつもはちゃんと消してから捨てると前置きして)穴に向かって放り投げた。
すると、近くにあったもう一つの穴と同時に、もの凄い風が吹き、地面が揺れる。そう、それはバンゴの鼻の穴だったのだ!
近くに放り出される二人。窪みにはまる三郎をゲンが助け起こす。
ゲン「佐藤隊員!大丈夫ですか!?」
三郎「あの穴は怪獣の鼻の穴やったんやなぁ」
ゲン「さぁ、しっかりして…!」
三郎「あいたっ!通りでおむすびがちょっとしょっぱくなってましたわ…」
姿を現し、二人を踏みつけようと襲いくるバンゴ。ゲンもやられてたまるかとマックガンで足の裏を攻撃し、足を痛がった隙に本部へ連絡。
近くの団地から給水塔を引っこ抜き、暴れ回るバンゴ。近くの団地は住民が避難したものの、瞬く間に火に包まれてゆく。
マックロディーで攻撃をかけるゲン。そのままマッキー2号と3号も飛来し、三郎は安心と車から降りて応援を始める。
給水塔をバットのように振り回し、マッキーに対抗しようとするバンゴ。中々バンゴを倒せないことに「あかんなぁ」と呟く三郎。その内バンゴは給水塔を投げ飛ばすがマッキーには不発。その様子を見て何かを思い立った三郎は、必死に攻撃するゲンにこんなことを言い出してどこかへ走り去る。
三郎「憎たらしいヤツでんな、ワイあいつをちょっと脅かしたりますか」
ゲン「あっ、佐藤隊員!?どこへ行くんだ、佐藤隊員!」
(Aパート終了)
バンゴが進行する先にあるのは遊園地。三郎はそこにあったアドバルーンに登り始め、ゲンが見守る中一番上までよじ登る。そしてバンゴと目を合わせ、煙草を吸って挑発。ゲンは三郎に降りてこいと警告するが、三郎は笑顔で手を振り返し、「ま、見ておくんなはれ」と言うと…
バンゴが手を伸ばしてきた瞬間、バルーンに煙草を押し付けて爆破した!
勢いよく落下してくる三郎。
三郎「アイテテテテテ!」
ゲン「大丈夫ですか!?」
三郎「破裂させたら、自分も落ちることてっきり忘れてましたわ…」
なぜか元気に立ち上がり、大笑いする三郎にゲンもつられて笑い出す。バンゴは近くを何度も跳ねながら逃げ去った。
(場面転換)
例のライオンの尻尾で頭を撫でれば一発だと子供達に聞かせる三郎。自分もその尻尾で撫でてほしいとねだるカオルら子供達から三郎はすっかり人気者になっていた。僕もちょっとやってもらおうかと思う猛は百子に笑われてしまう。ゲンも笑顔でその様子を見守っていたが、マックシーバーに連絡が入る。B-33地区に怪獣が現れたのだ。
すぐさまマッキー2機が迎撃に向かうが、バンゴは火のついたガスタンクを手榴弾のように投げ、マッキーを撃墜。続いて火のついた鉄パイプを拾い上げて遊園地を襲撃、アドバルーンに着火し始める。
ナレーション「怪獣は、さっきの自分の驚きを他人にも味あわせようと、片っ端からアドバルーンを破裂させて回った」
遊園地に到着し、ゲンと三郎はマックロディーで砲撃を開始。
三郎「あいつはよう真似をしおってからにホンマに!」
攻撃を食らったバンゴはその場に座り込み、そのまま寝てしまう。
三郎「脅かし作戦は真似されてしもうて、もう効かんやろうしな…」
ゲン「うん…そうだ!あいつは、面白いことならなんでも真似するんだ!」
ゲンは突如奇策を閃き、三郎にアドバルーン用の水素ガスを見せる。
ゲン「こいつです!」
三郎「アドバルーンはもうだめでっしゃろ」
ゲン「制服は、伸縮自在!」
三郎「えっ?」
ゲン「息を吸って、自分の身体を膨らましてるように見せかけるんです」
三郎「わかった!イソップ物語のカエルと同じでんな」
ゲン「そう!アハハ…」
三郎「ワイがやりま、先輩はボンベの栓をあげておくんなはれ」
ゲン「よし!」
マックガンのカートリッジを詰める部分にガスの栓を詰める三郎。
ゲン「いきますよ!」
三郎「ちょっと待っておくんなはれ!息を吸い込むところを、はっきり見せたらなあきまへん」
目を覚まして欠伸をし、こちらに目をやるのを見計らい、ゲンはガスを注入。三郎も煙草の煙を利用して、あたかも大量の空気を吸ったかに見せかけて宙に浮き上がる。
三郎「ホラ怪獣、どんなもんじゃ!」
煙草の煙を出してから吸ってを繰り返し(健康に悪いから真似しちゃダメだよ)、バンゴを挑発。バンゴも負けじと大量の息を吸い込み、風船のように膨らみ始める。
ゲン「そうだ、その調子だ!吸い込み過ぎて、腹をパンクさせてしまえ!」
あまりに息を吸い込んだもので倒れるバンゴだが、近くにあった煙突を引き抜き、煙を吸おうとするバンゴ。ここぞとばかりに三郎も煙草の煙を吐いては吸いを繰り返す(危ないから真似しちゃry)。あまりのおかしさに煙草を吹き出して大笑いする三郎だったが、バンゴは煙を吸ったせいで鼻息荒くクシャミを始め、風に吹かれて三郎が飛ばされそうになる。ゲンが慌てて三郎の服から伸びるロープを掴むものの、ロープは千切れて飛ばされて行く三郎。ゲンは構えをとって…
ゲン「レオーッ!」
レオに変身して三郎を助け出す。三郎の服は破裂し、下着姿の三郎はレオに「おおきに!」と礼を言う。
向かってくるバンゴに対し、レオは三郎を避難させて立ち向かう。バンゴの打撃を受け止めてカウンターで攻め、チョップを多用して猛攻。ブレーンバスターのような体制で投げ飛ばし、その後も激しい攻防は続いたが、転げたバンゴの足の裏に頭のビームランプからビームランプ光線を撃ち、バンゴは戦意を喪失。
そのまま伸びてしまったバンゴの尻尾を拾うと、レオは風船を吹くような動作をする。
ナレーション「レオは、怪獣に特殊ガスを吹き込んだ。そして、宇宙の彼方に飛ばせてしまった」
(場面転換)
探検家の服装になった三郎はスポーツセンター前で子供達や職員の前で話を聞かせていた。そこにダンも訪れる。
三郎「その時早く!かの時遅く、レオはサッと手を出し、ワイの身体を掴まえてこう言った!『こりゃ三郎、お前はもうMACでは十分手柄を立てた。今度はヒマラヤへ行って雪男を捕まえて来んかい!』へへ、そんな訳で、ワイはこれから雪男探検に出発します!」
ダン「やはり行きますか」
三郎「お、隊長!ようお世話になりました!」
ダン「そうか、残念だが仕方がない。雪男を捕まえたら、また帰ってきたまえ」
三郎「は、ハイ!行ってきます!」
出発しようとする三郎。しかし彼を呼び止める者がいた。
猛「佐藤さん!あのう、どうも僕はですね、気の弱いところがありましてね…」
三郎「はぁ?」
猛「そのつまり…尻尾を私に譲っては頂けませんか?」
三郎「ハハハハ…大事にしてや?」
猛「ありがとう!もうこれさえあれば、怪獣だって何だって怖くないぞ!」
三郎は快くそれを渡し、猛は大喜び。子供達は猛に僕にもやってとたかり出す。
ゲン「あれ、本物のライオンの尻尾でしょうか」
ダン「うーん、この前はイボイノシシの尻尾だなんて言ってたが…」
ゲン「えっ」
ダン「ハハハ…しかし面白い人だ」
ゲンもダンも笑い出す。子供達が揃って手を振り見送る中、三郎も手を振り返して去っていった。
三郎「ではみなさん、さようなら!」
余談
ハードなレオ序盤では珍しいギャグ回。
ダンは何故か三郎に敬語を使っていたが、理由は不明。
猛はもう怪獣なんか怖くないと言っていたが、40話にて悲劇が…
本話にて登場した佐藤三郎隊員は最終的に希少になってしまったMACの生き残りである。