ピクシブ百科事典は2024年5月28日付でプライバシーポリシーを改定しました。改訂履歴

9X8の編集履歴

2024-08-25 10:36:21 バージョン

9X8

ないんえっくすえいと

プジョー・9X8とは、プジョーのモータースポーツ部門プジョー・スポールが2022年からFIA世界耐久選手権(WEC)に参戦する為に開発した、プロトタイプレーシングカーである。

WEC参戦に至るまで

2011年のル・マン24時間レースを最後に耐久レースから撤退していたプジョーは2019年に「2022年からのFIA世界耐久選手権に復帰する」という発表をしていたが、同時期にLMDh規定の構想が持ち上がっていたこともあり、「プジョーは先行するトヨタグリッケンハウスと同じハイパーカー規定とLMDh規定のどちらで出るのか?」と注目されていた。

かつて92,93年とルマン2連覇を果たすなど華々しい戦績を残した古豪に注目が集まる中、2020年のル・マン24時間の前日にプジョーのモータースポーツ部門であるプジョー・スポールから『ハイパーカー規定を用いて開発をする』事が正式に発表された。


…しかし、そのマシンの完成図は観る者を釘付けにする奇抜なスタイリングをしていた。


車両概要

本車はハイブリッドシステムを任意搭載できるル・マン・ハイパーカー規定を元に設計された。

車名は「かつてのプロトタイプカーを継承する『9』」「プジョーにおける電動化戦略を担うハイブリッドシステムを意味する『X』」「現行量産車シリーズを示す『8』」から取られている。

ハイパーカーはかつてのグループCカーやル・マン・プロトタイプのように無制限に空力開発が出来る訳ではなく、レギュレーションによってダウンフォース上限とドラッグ(空気抵抗)下限が厳しく定められているため、本車もその流れに倣う形になった。


…まではいいのだが、本車はレギュレーションとデザイン性の両立を図った結果、なんと大胆にもリアウィングを捨て去った『ウィングレスボディ』の採用に踏み切ったのだった。


あまりにも大胆すぎるデザインに奇異の目で見られることとなったこのマシン。しかし、9X8がリアウィングを採用しなかったのはある理由があったからである。

それは、フォーミュラカーグループGT3規定など幅広いセッティングが可能なレースカーとは異なり、「角度調整が可能な空力デバイスは1つのみ」というハイパーカー規定特有の制限があるため、いくらリアウィングを備えていてもフロントスプリッターとどちらかを固定化しなければならなかった。

マシンの設計上、リアよりもフロントのダウンフォースを重視する傾向があり、更にはボディ上面より下面の方がダウンフォースを稼ぎやすいことから、

リアウィングは調整できないしフロア構造でダウンフォースを取れるなら、リアウィングなんて要らないよね?

という形で設計された。


動力面は自社製の2.6L V型6気筒ツインターボエンジン+前輪に最大出力200kWの電動MGUを搭載。バッテリーはトタルエナジーズの子会社であるサフトグループS.A.が開発した900Vバッテリーを採用した。


その戦績

デビュー戦は2022年第4戦モンツァ。

この年のル・マンを欠場してもなお、マシン開発は難航しており、ハイパーカークラスでは完走すれば良いところ、下手すれば格下のLMP2(ル・マン・プロトタイプ・2)よりも周回数が少ないという散々なもので、最高位は2023年第4戦モンツァの3位。

原因は多岐に渡るが、フロア構造でダウンフォースを稼ぐ設計がかつてのグラウンドエフェクトカーとほぼ同じであり、ブレーキング時に激しい縦揺れ(ポーポイズ現象)を発生させて姿勢を乱し、コースの起伏次第でダウンフォースが不足しコーナリングスピードも稼げないという悪循環に陥りやすい状態だった。

更に9X8のデビューイヤーである2022年から前後異径タイヤ採用にメリットがあることが判明していた中で、前後同径タイヤを採用する9X8はサイズの変更に対応できる余裕がなかったこともマシンの戦闘力不足に拍車をかけていた。


そんな不遇な中でも特に輝いていたのは2024年シーズン開幕戦のカタール。

開幕戦が行われたロサイル・インターナショナル・サーキットは、路面状況が全周に渡って極めてフラットという、9X8の特性にこれ以上ないほどマッチしたコースで、優勝候補のトヨタやフェラーリ等、他のハイパーカー規定のライバルが苦戦を強いられる中、プジョーの93号車がまさに水を得た魚の如く猛追撃を繰り広げていたが、残り1周で痛恨のエンスト。このレースで優勝したペンスキー・ポルシェ963から1周遅れではあったものの、2022年のWEC復帰後で最高位となる2位でフィニッシュした。しかし、ガス欠状態時にモーター走行のみでの最低速度を上回って走行したこと(本来は120km/hまで制限されているのだが、この時は150km/hで走行していたので制限より30km/hもオーバーしている)、自力でパルクフェルメ(簡潔に言えば車検場)まで戻れなかったことで失格となり、せっかく得た2位を台無しにしてしまった。


翼を授かった獅子

かねてから戦闘力の不足が指摘されていた9X8だが、24年シーズンから一度は捨てたリアウィングを再び採用した『2024年仕様』の投入を決定。

この外観変更に伴いボディ形状は90~95%変更が加えられており、ようやく他のハイパーカーと互角に戦えるはずと思われたが……。

この2024年仕様が投入された第2戦イモラ以降でも状況は変わらず、現時点での最高位は第5戦サンパウロで93号車が記録した8位である。


関連イラスト

プジョー9x8

↑2023年に100回開催となったル・マン24時間記念カラー


関連タグ

プジョー ル・マン・ハイパーカー

  • ル・マン・ハイパーカー規定のライバル

GR010 SCG007 499P ヴァンダーヴェル680

問題を報告

0/3000

編集可能な部分に問題がある場合について 記事本文などに問題がある場合、ご自身での調整をお願いいたします。
問題のある行動が繰り返される場合、対象ユーザーのプロフィールページ内の「問題を報告」からご連絡ください。

報告を送信しました

見出し単位で編集できるようになりました