これは、やり直しの物語。
それほど悪辣ではなかったけれど、他人の痛みにも空腹にも思いを致すことができなくて……
それを知った時にはすべてが手遅れだった姫殿下。
過去の自分へと逆行転生した彼女は、血染めの日記帳と自らの記憶をもとに、西へ東へ奔走する。
斜陽の帝国の未来を救うため?
内戦により命を落とす多くの兵士のため?
民衆を飢饉から救うため?
否、彼女の目的はただ一つ。
「すべてはギロチンの運命を回避するために!」
概要
小説家になろうで連載されているウェブ小説。著者は餅月望。
2023年4月現在も連載中であり、総話数は900を超える。
TOブックスより書籍化及びコミック化されている。
イラストはGilse、漫画は杜乃ミズが担当。
既刊はそれぞれ、書籍版が11巻(2022年9月10日時点)、漫画版が5巻(2022年9月15日時点)。
2020年3月、なろう発の作品としては初の舞台化が決定し、特設サイトが開設された。
いわゆる「やり直し」「死に戻り」系。
中世ヨーロッパ風の世界を舞台に、未来に待ち受ける未曽有の災害や事件、事故を防ぐため……ひいては自身の非業の死を避けるためにあらゆる手を講ずる主人公と、結果的に彼女に助けられ惹かれ信頼し合う登場人物との間の群像劇。
基本的に「主人公の目線」と「周囲のキャラクターの目線」が交互に描写されていき、主人公が自分本位かつ率直な理由で取った言動を『周囲の人間はどのように解釈し誤解していったのか』という形で物語が進んでいき、シリアスなテーマながら時折ツッコミ風のナレーションが入るなどコメディ要素が強くムードも明るい。
また主人公の行動により未来が刻々と変化していく様子も描写されており、「主人公が革命により処刑された時間軸」「主人公が暗殺されてしまう時間軸」など、様々な可能性に分岐していくSF要素も多分に含んでいる。
あらすじ
大国ティアムーン帝国の皇女ミーア・ルーナ・ティアムーンは、重税に耐えかねた民衆の革命により身柄を拘束され、最期はギロチンで処刑されてしまう。
しかし次に目が覚めた時、彼女はベッドの上に寝ていた。
それも8年前、まだ自身が子どもだった頃。
夢か?と安堵しかけたミーアであったが、なぜか自身と共に未来からやってきた日記帳が、やがて彼女に訪れるであろう残酷な現実を突きつける。
未来の処刑を回避するため、ミーアは奮闘することになる。
登場人物
地理
本作の世界では巨大な大陸が存在し、ティアムーン帝国とサンクランド王国が大陸を二分する二大強国と位置付けられている。また、大陸の宗教面における中心国として神聖ヴェールガ公国が存在する。
ティアムーン帝国
本作の世界に存在する大陸の二大強国の一つで、ミーアの故郷。
ミーアが死に戻る以前の時間軸では、帝国の財政悪化に加え、疫病の発生や帝国内に存在する少数民族ルールー族の反乱、大陸全土を巻き込むほどの大飢饉の発生と言った社会混乱が立て続けに起き、その状況を少しでも改善すべくミーアとルードヴィッヒは東奔西走したが焼け石に水であり、革命の聖女であるティオーナ・ルドルフォンによって革命が起こった。
サンクランド王国
ティアムーン帝国と大陸を二分する強国の一角であり、シオンの故郷。
法と正義を重んじる国家であり公正であることを是とする。
聖ヴェールガ公国
大陸の宗教における中心国で、ラフィーナの故郷。大陸の住民に古くから信仰されている中央正教会の本拠地であるため「公国を敵に回すことは、大陸を敵に回すことと同義」とされる。それ故、軍事力を持たないものの絶大な発言権を持つ国。
大陸でも最高レベルの教育機関であり、様々な設備と高度な知識を持った教員が揃い、入学できるのは最低でも貴族の身分を持った人間だけという超絶エリート校である。
そのため、若い時代から各国の重要人物に人脈を作ることのできる外交の練習場という側面を持つ。一方で、内部では非常に強い階級意識が根付いており、平民から貴族へとなりあがった商家の子供や、貴族と言えども低い地位の子供への風当たりは非常に強く、それがいじめにつながっているという事もある。
なお、学校の敷地は湖に浮かぶ島にあり、その島自体が1つの町としての機能を備えた学園都市になっている。生徒や関係者も含めて、島への出入りは数十台の馬車が乗せられる大型船で行う。かつては湖畔と島を結ぶ橋が設置されていたが、学生が全員馬車でやって来る上に、入学書類のチェックや、随伴する使用人の確認などで馬車の大渋滞が発生することが問題視され、現在の渡航方式になった。
レムノ王国
アベルの故郷。大陸における中堅国家であり、二大強国でも無視できない強大な武力を誇る軍事国家。
武力に重きを置いているがゆえに、王室関係者は剣の強さを重視するほか、男尊女卑の傾向が強い。
騎馬王国
神聖ヴェールガ公国の東側に位置する国。騎馬王国というだけあって同国の民は馬と共に生活している。12部族からなり、中でも馬龍の出身部族である龍族は優れた馬術の使い手。
ペルージャン農業国
ラーニャの故郷。ティアムーン帝国の南西に位置する国。その名の通り国土のほとんどが農地であり、国民も農業関係者が多い。食料自給率が低いティアムーン帝国にとっては、この国から輸入されてくる農作物は非常に重要なものとなっている。しかし、反農思想の強いティアムーン帝国ではこの国の存在を軽視する貴族が多い。
ガヌドス港湾国
ティアムーン帝国の西部に隣接する小国。古くから帝国に恭順を誓う友好国の一つ。ガレリア海という内海に接しており、この国から輸入されてくる海産物がティアムーン帝国の食糧事情に大きな影響を与えている(ティアムーン帝国は海と接する領地を有していない)。
この国との交渉はグリーンムーン公爵家が担当しており、最初の時間軸ではグリーンムーン公爵家が国外逃亡した影響で交渉がうまくいかなくなり、ミーアは大いに苦労することになった。なお、帝国設立当初はイエロームーン公爵家が交渉を担当していたが、途中でグリーンムーン公爵家に変わった。
海に面した国だけあって船舶建造の技術に秀でており、グリーンムーン公爵家が保有する帆船「エメラルドスター号」もこの国で建造されたものであり、普段はこの国の港に停泊している。
ミラナダ王国
キーアイテム
- 日記帳
ミーアが書いている日記帳。10歳から処刑される20歳までの日々に関する詳細が記載されており、ミーアが処刑される未来を回避するための重要な手掛かりとなる。本編の時間軸に元からある1冊と、前の時間軸からミーアと共に本編の時間軸にやってきた1冊の合計2冊があり、後者は10年もの経年で劣化した上、ミーアの処刑時に付いた彼女の血で黒ずんだ染みがある。
書いてある内容は事実に基づいており、本編の時間軸で書いた内容が変わると、前の時間軸で書かれた内容もそれに基づいて変化するため、歴史の改変による結果がミーアにも分かるようになっている。ただし、あくまでもミーアの視点で主観的に書かれたものであるため、彼女が前の時間軸で深く関与していなかったり関心を持っていなかったりした出来事については全く言及されていない、或いは中途半端にしか書かれていない。そのため、本編の時間軸で実際に問題に直面するまで物事の本質を把握できていないというケースも多く、決して万能とは言えない。
- 『聖女ミーア皇女伝』
その内容は基本的に事実に基づいているのだが、偉人伝というだけあって明らかに美化して書かれた内容や過大評価としか思えない内容も含まれており、それを読んだミーア本人が思わず悶絶するほどである。
文庫版第3巻以降においてミーアの日記帳と似た用途で使用されることが多い。ただし、この本の記述が変化しても持ち主であるミーアベルの記憶が改変されたり、ミーアベルの存在が消えてしまったりするようなことは起こっていない。
用語
- 反農思想
農業やそれに携わる人間を賤しいものと考える思想。ティアムーン帝国の、特に歴史ある序列上位の貴族ほどこの思想を抱いている。そのため帝国領土には肥沃な大地があるものの必要最小限の農地しかなく、代わりに花や綿花といった商業栽培が盛んに行われている。
舞台版
第1弾は「ティアムーン帝国物語 THE STAGE」のタイトルで2020年9月9日~13日に新宿村LIVEにて上演された。なお、当初はアンヌ役を窪田美沙が演じる予定だったが、上演前に新型コロナウイルスの陽性反応が確認されたため降板となり、ジルワ役(舞台版オリジナルキャラクター)で出演が決まっていた田畑寧々が代役として演じた。また、このキャスト変更に伴い、脚本・演出の一部を変更して上演された。
第2弾は『ティアムーン帝国物語 THE STAGE II」のタイトルで2021年7月14日〜19日に東京・六行会ホールにて上演された。
第3弾は『ティアムーン帝国物語〜断頭台(ギロチン)姫on the stage〜』のタイトルで2023年11月9日〜16日に飛行船シアターにて上演される予定。
スタッフ
第1弾 | 第2弾 | |
---|---|---|
原作 | 餅月望「ティアムーン帝国物語~断頭台から始まる、姫の転生逆転ストーリー~」(TOブックス刊) | 同左 |
キャラクター原案 | Gilse | - |
原作イラスト | - | Gilse |
漫画 | 杜乃ミズ | 同左 |
脚本 | 西瓜すいか | 同左 |
脚本協⼒ | 差異等たかひ子 | - |
脚本助手 | 差異等たかひ子(創作集団『必志組』) | |
演出 | 篠目ゆき | 石毛元貴(milestone) |
演出助⼿ | たはらひろや | 黒川一将(劇団25、6時間) |
舞台監督 | 吉川尚志 | 田中聡 |
⾳響プラン | ナガセナイフ(⾳ノ屋) | - |
⾳響オペレーター | 岸本楽(⾳ノ屋) | - |
音響 | - | iland.va |
照明 | 正傳静 | 村山寛和 |
照明オペレーター | - | 大下ゆい |
美術 | 荒川真央⾹ | 同左 |
⼤道具 | S-CASE | 同左 |
⾐装 | 真野真由美・GOLDEN STEPS⾐装部 | 同左 |
ヘアメイク | ビューティ★佐⼝・庭野⿇奈(OFFICE BEAUTY) | 成谷充未 |
小道具 | ⼀条⿓之介 | - |
殺陣 | 春⾒しんや | 桐山トモユキ(TEAM風雷Bow) |
振付 | 新⽊美優 | 同左 |
物販デザイン | - | 立花みず季 |
カメラマン | 渡邉和弘 | - |
撮影 | - | 渡邉和弘 |
デザイナー | 舘⼭⼀⼤ | - |
ポスターデザイン | - | 館山一大 |
制作 | Pave the Way | 山本直也(東京舞台製作) |
制作協力 | - | 中山みずき(劇団25、6時間)・門内沙予(創作集団『必志組』) |
プロデューサー | 神⽥明⼦ | 同左 |
企画協⼒ | 株式会社MARCOT | MARCOT |
主催 | TOブックス | - |
製作 | - | TOブックス企画製作部 |
楽曲
- 主題歌「Blessed Lives」(第1弾)
- saori、作詞・作曲:saori、編曲:Ravy、Vocal:saori
- オープニング「Bomb-Chocolate : with tear」(第1弾)
- SaCRaL、作詞・作曲:saori、編曲:Ravy、Vocal:saori
- 挿⼊歌「⽉明り」(第1弾)
- 作詞・作曲・編曲:Atelier LadyBird(川崎泰弘、吉村彰⼀)、Vocal:深冬
ドラマCD
2022年1月9日発売。
スタッフ
- 原作:餅月望
- ジャケットイラスト:Gilse
- 脚本:赤尾でこ
- 音楽:藤本コウジ(Sus4 Inc.)、イーヴォ org.
- 音響監督:亀山俊樹
- 音響効果:和田俊也
- 録音調整:伊藤泉稀
- 録音助手:砂庭舞
- 録音スタジオ:Studio2010:
- 音響制作:ビットグルーヴプロモーション
テレビアニメ
2023年10月からTOKYO MX、MBS、BS11にて放送予定。
スタッフ
- 監督:伊部勇志
- シリーズ構成:赤尾でこ
- キャラクターデザイン:大塚舞
- 音楽:藤本コウジ
- アニメーション制作:SILVERLINK.
主題歌
- オープニングテーマ「ハッピーエンドプリンセス」 エンディングテーマ「Queen of the Night」
スピンオフ漫画
2023年1月30日、スピンオフ漫画『ティアムーン帝国物語〜従者たちのお茶会〜』の連載が開始された。
関連動画
『ティアムーン帝国物語』2021年11月放送原作CM
【ドラマCD】ティアムーン帝国物語 試し聴き(その1) ~ミーアと忠臣 編~
【ドラマCD】ティアムーン帝国物語 試し聴き(その2) ~キースウッドの苦難 前編~
関連イラスト
関連タグ
小説家になろう
ティアムーン帝国物語〜断頭台から始まる、姫の転生逆転ストーリー〜…正式なタイトル。
マリー・アントワネット…革命で処刑された王妃。
ドラえもん…未来を変えるために過去へ戻る作品の代表例。
オーバーロード…主人公が稀代の知恵者と誤解され、あらぬ方向へと物語が進んでいく。
乙女ゲームの破滅フラグしかない悪役令嬢に転生してしまった……主人公が破滅を避けるために取った行動が、周囲の人々の状況を好転させていく。
君の膵臓をたべたい…なろう原作で実写が先だった作品。こちらは劇場映画化された。
ギロちん
2.5次元舞台化
タイムリープ パラレルワールド タイムパラドックス
外部リンク
小説家になろう版
書籍版特設サイト
コミカライズ版連載ページ
舞台版第1弾・第2弾特設サイト
舞台版第3弾特設サイト
舞台版第1弾・第2弾公式Twitter
舞台版第3弾公式Twitter
ドラマCD版特設サイト
テレビアニメ公式サイト