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ティアムーン帝国

てぃあむーんていこく

ティアムーン帝国とは、小説作品『ティアムーン帝国物語』に登場する架空の国家である。
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概要編集

本作の世界に存在する大陸の二大強国の一つ(もう一つはサンクランド王国)。主人公のミーア・ルーナ・ティアムーンはこの国の第一皇女である。


ミーアが死に戻る以前の時間軸では、帝国の財政悪化に加え、疫病の発生や帝国内に存在する少数民族ルールー族の反乱、大陸全土を巻き込むほどの大飢饉の発生と言った社会混乱が立て続けに発生。ミーアはその状況を少しでも改善すべく、部下のルードヴィッヒ・ヒューイットと共に東奔西走するも遅きに失し、革命の聖女ティオーナ・ルドルフォンによる革命が勃発。ミーアは革命軍に捕らえられ、最終的に皇帝マティアスと同様に処刑された。


本編の時間軸では、死に戻ったミーアが斜陽を迎えつつある帝国を立て直すべく奔走し、その過程で様々な人物が彼女に協力していく。


海を越えてやってきた狩猟戦闘民族が何もしなくても多くの(食用にできる)植物が生える「肥沃なる三日月地帯」に立てた国であるが、そのために先住していた農耕民族を同地より追いやり土地を奪った事で成立している。ティアムーンの祖先となった戦闘民族にとっては食糧とは「自然から狩り、実りある場所から力ずくで奪うもの」であったため、肥沃な土地を得ても「自らが作物を育てる」という発想は持つことができず、のちには自らが追いやり周辺地に散った農耕民族たちを「武力で脅し、彼ら(農耕民族)を滅ぼさない代わりに作物を上納させる」という手段を取っている。なので致命的に食糧自給率が低い国でもある。


建国の経緯から反農思想(農業蔑視)の強い国であり、それに由来して貴族の中でも中央貴族と辺境貴族の間には格差がある。例として、ルドルフォン辺土伯は農民達のリーダーであったティオーナの祖父が、盗賊退治の褒美によって帝国貴族に編入された「成り上がり」であることから、貴族の中でも格下扱いされることがほとんどである(貴族どころか帝国臣民とすらみなされず「農奴の末裔」「植民地人」呼ばわりされることもある)。


アニメ版で登場した国旗は、大きな三日月の上に雫のような形の図柄があり、その下に7つの小さな欠けたが左右対称に描かれている。このうち、三日月と雫の図柄はひび割れているようなデザインになっており、7つの月は中央が新月上弦の月下弦の月満月は一つも描かれていない。


政治編集

帝室であるティアムーン家を筆頭に、その血縁で門閥貴族に当たる四大公爵家(グリーンムーン、ブルームーン、レッドムーン、イエロームーンの4家)が補佐する政治体制になっている。


ティアムーン家によって帝政が敷かれている一方、歴代において女帝が立った事はないと、されている。


帝都ルナティアに帝室の暮らす白月城(はくげつじょう、白月宮殿〈はくげつきゅうでん〉と、帝室を補佐する五つの月省(げっしょう)が置かれている。


  • 青月省(せいげつしょう)

首都の行政(≒貴族の利権の調整)を管轄する月省。ブルームーン家の影響が強い。


  • 金月省(きんげつしょう)

税関係を管轄する月省。建物は5つの月省の中で白月城から最も近い位置に置かれている。ミーアが12歳当時の時点で、ルードヴィッヒはこの省の三等税務官だった。


  • 赤月省(せきげつしょう)

地方の行政を管轄する月省。ミーアが死に戻る以前の時間軸ではミーアが12歳の時にルードヴィッヒがこの省への出向(地方への左遷)を命じられていた。


  • 緑月省(りょくげつしょう)

他国との外交を管轄する月省。グリーンムーン家の影響が強い。


  • 黒月省(こくげつしょう)

軍事部門を管轄する月省。帝国七軍をまとめる。レッドムーン家が事実上の統率力を及ぼしている。

ただし近衛(特にミーア直下である皇女専属近衛部隊"プリンセス・ガード")だけは帝室直属部隊(白月宮の所属)なので黒月省(レッドムーン家)のコントロールからは外れている。



地理編集

ルナティア編集

帝都。前述の白月宮殿と5つの月省が置かれている。


  • 新月地区(しんげつちく)

帝都の中でも城壁の最も近くに位置する地区。


ミーアが死に戻る以前の時間軸では最下層の貧民が暮らすスラム街であり、小さな教会と孤児院を除いて人の営みがほぼ絶えている状態だった。食べ物もろくになく、病人は手当ても受けられないまま道端に放置される劣悪な環境であり、ここから発生した流行病が他の地区にも蔓延し、最終的に帝都の民衆の1割が命を落とす惨事となった。


本編の時間軸では流行病の蔓延を回避すべく、ミーアの主導によって病院の新設などの環境改善が行われる。

また人々の雇用や生活向上のため経済特区に指定され、のちには商業地として目覚ましい発達を遂げる。

新月地区を変えてくれたミーアへの住民の忠誠心は非常に高く、ミーアの努力が実らず革命が起こった世界線ではミーアを救出するための義勇兵が組織されたり、ミーアベルの時間軸では地区を挙げてミーアベルを保護した。


ベルの時代には街の大通りにミーア大通りの名がつき、またミーアを模した人形焼きミーア焼きや、串団子ぜんざい・スープの具として有名になったミーア団子が名物になっている。


ルドルフォン辺土伯領編集

ティオーナの故郷。南の辺境地域で、一面農耕地が広がっている。


静海の森(セイレントのもり)編集

少数民族ルールー族が暮らす森林。ルドルフォン領とベルマン領の境界に位置し、この森の存在が時間軸を問わずにミーア、引いては帝国の未来を左右する重大な分岐点になる。


皇女の街(プリンセスタウン)編集

現在の時間軸において静海の森のベルマン領側に新設された街。聖ミーア学園を中心とする学園都市であり学術特区。

聖ミーア学園編集

ミーアの提案によって設立した学園。元々は志ある孤児たちに読み書きだけではない一段高い学問を履修させるための学問所と飢饉に備えて耐寒種小麦を開発させるための研究所。賢者ガルヴ(ルードヴィッヒの師匠)が学園長を務めている。

のちに耐寒小麦品種「ミーア小麦シリーズ」を産み出した。特にシリーズ内のひとつミーア二号は通常の小麦としては質が悪いと当初は不評だったが、宮廷料理長の努力で産み出されたレシピ「ミーア団子」の原材料となった事で、のちにもっと優れた小麦が出たのちにも愛される歴史に残る品種となっている。

ミーアが「この学園に通う子たちが世界に名を示し輝くほどの活躍をしてくれれば、それこそが名誉であり何よりも素晴らしい宝石」などとのたまったためにミーア姫の宝石箱とも呼ばれる。

なぜかミーアを崇めまくるミーアエリートの巣窟(ミーアいわく魔窟)と化している。

この街や学園があることで、ベルマン領のミーアの人気は絶大なものであり、皇帝よりミーアへの人気は高い。ミーアベルの時間軸でもベルマン領は親ミーア派として行動し、領民総出で司教帝軍に対抗した。


ギルデン辺土伯領編集

北の辺境地域。気候の故から耐寒植物・耐寒作物の宝庫であるが、領主のギルデン辺土伯自身はティアムーンの反農思想の故、企業誘致による工業転用や娯楽施設(テーマパーク)誘致による観光地化を狙い、農地や山野を潰そうとしていた。

本編の時間軸では、これに大慌てしたミーアがギルデン土伯に自然保護やそれに即した開墾を促す事となる。のちに、この土地からミーア小麦シリーズの原種が見いだされる事となり、その栄誉を得たギルデン伯もまた女帝派に与する。

あと、なかなかの雪国。なのでミーアの誕生祭において皇帝マティアスの命で雪を献上した。なお献上された雪は白月宮殿前に積まれてさっぽろ雪まつりよろしく、見上げんばかりの大きさのミーア雪像(現場監督・陣頭指揮:マティアス帝/施工:ティアムーン帝国軍ほかの愉快な有志の皆様)の材料となっている。


関連人物編集

ティアムーン帝国物語の登場キャラクター一覧を参照。


関連タグ編集

ティアムーン帝国物語


以下、ネタバレ注意














































『我が血族は忘れるなかれ。その記憶に刻み込め。我らは世界を憎む者。混沌と破壊をもって、世に復讐する者である。努々忘れず、励め!』





初代皇帝アレクシスは混沌の信者の一人であり、アレクシスによって最初から滅亡することを目的として建国された帝国である


大切な人を理不尽に失ったアレクシスは、心の中に憎悪を秘めたままとある神殿を訪れ、そこで大陸を追われて身を潜めていたと出会う。人間の作る秩序の全てを憎む蛇の破滅的な考えに共感したアレクシスは、その理念を実現あるいは利用することで世界に復讐することを企んだ。


この時、蛇はアレクシスに「大陸に『肥沃なる三日月地帯』と呼ばれる土地がある」ことを教える。豊作が約束された祝福されし土地には食料が有り余っており、それが大陸全土に安定をもたらしている。世界を混沌に堕とすためには『肥沃なる三日月地帯』が最も邪魔な存在になると考えたアレクシスは、『肥沃なる三日月地帯』を穢す思想……すなわち、食料を生み出す農業を蔑み、憎む思想を広めることを決意する。


そして、その思想を大陸全土に広め、自然な形で緩やかに農地を失わせるための帝国を建国した。国名の「ティアムーン」(Tearmoon)とは、「『肥沃なる三日月地帯』(=moon)を『』(=tear)で染め上げる国」という意味が込められたものだったのだ。

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