「あなたたち王族の食事にいくらかかっているか、知っているのか?」
この御方こそ、帝国に天より遣わされた偉大なる指導者………っ!
なれば我らは、こう称さねばなるまい。すなわち女帝派と!
概要
ティアムーン帝国の金月省に勤務する文官。年齢はミーアが12歳の時点で22歳。
主人公ミーア・ルーナ・ティアムーンの忠臣の1人で、彼女が死に戻りした当初からアンヌ・リトシュタインと同様に無条件かつ絶対的な信頼を寄せている人物。
プロフィール
(※)ドラマCD版・アニメ版共通。
人物
耳が隠れるまで伸ばしたサラサラの髪と、外国製の小さな眼鏡が特徴的な青年。ミーアには初対面の時点で「少し冷たい雰囲気だが端正な顔立ち」という印象を抱いている。
優れた内政能力と深い知識を持ち、早くから帝国の財政に不安を抱いていたが、ひどい毒舌家であるため上司から嫌われていた。
権力に与することを良しとしない放浪の賢者ガルヴァヌス・アルミノス(賢者ガルヴ)の弟子のひとりであり、彼の弟子の中でも特に出来が良いとされた俊才のひとり。
経歴
以前の時間軸
商人の次男として生まれる。幼少期から頭が良く、早くから国家の役人を志していたが、その過程で帝国の腐敗を実感していく。
以前の時間軸でのミーアにとっても彼に対する印象は最悪であり、『陰険メガネ』『くそメガネ』『くされメガネ』など散々なあだ名で呼び、日記にもその名を残さなかったほど。
ミーアが12歳だった当時は金月省の三等税務官。将来の国家財政破綻を上司に意見したことが原因で赤月省への出向(地方への左遷)を命じられてしまい、後に帝都に戻された時には財政は完全に行き詰まっており手遅れだった。革命直前まで帝国財政の立て直しに尽力し、革命後も拘留されたミーアの助命を嘆願していた忠臣で、獄中のミーアはアンヌを通して彼の忠義を知ることになる。
ミーアの処刑寸前にシオンにミーアの助命嘆願に行くがシオンからあっさり拒否される。その際に自身に仕えることをシオンから提案されたが、シオンが間違いなく理想の君主と認めながらもミーアの努力を一切認めないシオンに仕える気は起きず拒否する。
その後酒場にて、ミーアの悪口を言った酔っぱらいに酒の空き瓶を持って殴りかかった。
アニメ版では処刑寸前のミーアの元に訪れ、「貴方に仕えた日々は嫌いではなかった」と呟いた後涙を流す彼の姿がミーアの回想で明らかになった。
本編の時間軸
ミーアは死に戻り後、彼の忠義に報いるために前述の左遷を撤回させて彼を重用し、その辣腕を存分に振るわせる。その際にミーアはルードヴィッヒの懸案を予見するかのような指摘(実際には以前の時間軸でルードヴィッヒ自身がミーアに語った事を丸パクリしたもの)を行ったため、ルードヴィッヒはミーアを「聡明な人物」「帝国の叡智」と畏敬するようになってしまった。
身分としては金月省のままだが、ミーアの全権代理としての権限も与えられており近衛騎士団へ指示を与えるシーンも見られる。
最初の時間軸と異なり、早いうちからミーアに仕えた事で師匠や同門からの評価はややダダ下がりになっていた。
が、ミーアがイロイロと動いた事で師匠や同門も結果ティアムーン帝国の各省や重要施設、帝都ルナティアの市井に同門の人材が一気に流入して秘密裏に派閥を作る事となり自身はその取りまとめ役も務める事になる。これが女帝派(通称:ミーアファンクラブ)である。
ちなみにミーアに頼まれてベルの勉強を見た時には「一応、師はいるようだが教え方が甘くなっている。師としては力不足」と指摘している。その報告を聞いたミーアはベルの時間軸での事(後述)から、かなり複雑な気持ちになっている。
後述のように、本編の時間軸では様々な偶然と相互の認識の相違が絡み合ってミーアに対して畏敬の念を抱いているが、それを差し引いても、ミーアの為人を良くも悪くも知り尽くした人間である。本編の時間軸で自身の師匠に「ミーアに忠誠を誓う理由は彼女が叡智を持つ賢者だからか?」と問われた際には、それを否定した上で「(ミーアは)知らずに間違うことはあっても、知っていて間違いを正さないことはしない方だからだ」と評している。
ミーアベルの時間軸
新月地区へと落ち延びたミーアベルの勉学を見た家庭教師。ミーアベルからはルードヴィッヒ先生と呼ばれる。
ミーアの側近として経験を得た事や、単純に歳をとった事もあり、若い頃(あるいは最初の時間軸)での、尖りまくった精神性は失せており、かなり丸くなった白い顎髭の好好爺となっており、授業の真っ最中に舟を漕ぎまくるミーアベルを慈愛と忍耐をもって優しく知識を与えて導いた(成果が上がっていたかは甚だ疑問だが)。ベルの理解が及んでいないときには「ミーアベル様に解るように教えられていない自分が悪い」と言ってベルに謝るほど。
これを聞いたミーアは「なんでこんなに違うのか、あのクソメガネ贔屓しやがって」と涙目で憤慨するのだが、そもそもミーアが最初の時間軸でルードヴィッヒから教えを受けたのは17歳頃の話で、しかも本来その歳の王族として解っていないといけなかった事を早急に習い直させて叩き込んでいる状況である。一方でベルの場合はルードヴィッヒに習っているのは10歳にも満たない頃、しかもルードヴィッヒにしてみれば老骨に鞭を打ちつつ帝室復興の政治工作と平行しての事なのでやることが多い上で片手間でベルの教育もせねばならぬ状況である。ここでベルに子ども特有のヘソ曲げをされて手間取るワケにはいかなかった、という事情がある。置かれている前提からして違うのだから対応が違うのも当然ではある。もっとも結果、上述のように過去の自分からdisられる羽目になったが。
ティアムーン帝国の分裂と瓦解に「ミーア様が生きておれば」と臍を噛み、またミーアベルを「あなたこそティアムーン帝国の最後の希望」「誇り高きミーア様の唯一の後継者」と呼んで慈しんでいた。
それでもミーアに生き写しのミーアベルをミーアと同一視させるような手段は取らず、ミーアベルには「あなたがミーア様になる必要はない。帝室が復興できても、ミーアベル様はミーアベル様らしく人を慈しむ人になって欲しい」と教えていた。
しかし、ついにミーアの血族を殲滅せんとする追っ手に居場所を感付かれ、結果ミーアベルという「最後の希望」を次の護り手に託すため、その知略を以て彼女の盾となり果てることとなってしまった。
余談
一部のファンの間では、本作中で第三者が、あくまで自分本位であるはずのミーアの言動を良い方に解釈してしまう現象を指して「眼鏡が曇る」という言葉が、俗語的に用いられることがある。
これは物語の最序盤(第一部)におけるミーアとのやり取りにおいて、ルードヴィッヒがミーアの思惑をあらぬ方向に深読みしたことに対し、地の文が「彼の目が曇った」とツッコミを入れたのと、彼が眼鏡を着用しているのが発端と考えられる。アニメ版においても同じく「目が曇った」旨のナレーションが入っており、眼鏡の逆光で瞳が隠れるという表現がされている。原作やコミカライズなど「目が曇った」というか表現が使われたのはほんの数回でほぼ序盤みのである。
だがミーアの言動の中には、自分本位と思わせておいて物事の真理を突いたものも存在する(一度派遣された以上何か成果を上げないと面子が立たない軍部と、先住民の一触即発の状況をどうにかするため先住民の神木をわざと蹴り、射殺されかけた上で「あの野蛮人どもからわたくしを守るために全軍を護衛に当てなさい」と言い張り全軍撤退の言い訳に使わせるなど)ため、四六時中眼鏡が曇ったままという訳ではない。
関連動画
キャラクターボイスドラマ・ルードヴィッヒ編
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大石昌良(オーイシマサヨシ):アニメ版主題歌「ハッピーエンドプリンセス」の作詞・作曲・編曲を担当したアーティスト。自称および愛称「おしゃべりクソメガネ」。