概要
ティアムーン帝国と双璧を成す大国・サンクランド王国の第一王子であり、主人公ミーア・ルーナ・ティアムーンのセントノエル学園での同級生の1人。年齢は初登場時点で12歳。
プロフィール
人物像
家族はサンクランド王国の現国王の父エイブラム・ソール・サンクランド、第二王子で5歳年下の弟エシャール・ソール・サンクランドがいる。また、執事のキースウッドとは幼少期から兄弟同然に育った仲であり、彼に対してはフランクに接する。
あらゆることに優れた才能を発揮する万能の天才であり、「公正」と「正義」を心がける好青年。キースウッドからは「正義感の塊みたいなお方」と評されている。
一方で、短略的な性格でもあり、一方的な情報や上っ面だけで、正義と悪を決めてしまい自分から事実確認や裏どりを一切せずに結論を早く出してしまう所がある。この短略的な性格は、ある意味で「信頼」や「正義」を「狡猾に"利用"できる」者たちにつけ込まれ易い隙となっており、どの時間軸・世界線においても良くも悪くも彼の人生を左右する要因となっている。なお本編の世界線ではミーアのへなちょこキックやアベルとの切磋琢磨による関係性が良い影響を与えたため、短絡的な性格を悔い改めて解消されている。
活躍
最初の時間軸
ミーアを「無能な統治者」と断罪し、革命軍の主導者に助力。ティアムーン帝国を滅亡へと追いやり、ミーアの処刑にも立ち会った。このため、ミーアにとってはティオーナやラフィーナと共に仇敵の1人である。
しかし、この時間軸におけるシオンのミーアに対する振る舞いや評価は正しかったように見えるが、実はシオンがミーア個人と直接話し合ったり、彼女の為人に直接向き直ったりして評価を下したことは一度もなく、彼女の表面上の振る舞いや風鴉(サンクランドの諜報機関)が意図的に流した悪い噂(デマ)や周囲の噂(根も葉もない事実無根の風評被害も多い)などを鵜呑みにして無能と断じただけなのである。この点はラフィーナも同様である。
ミーア自身、この点においては「学園にいる時など(特に初期)に自分の振る舞いを注意してくれていれば、自分も考えを改め処刑されずに済んだかもしれない」と評している。
というより、仮にも帝国という大国の姫を完全に無碍にするという態度は国際問題にも発展しかねないことであり、実際には問題にならなかったとはいえ将来国を背負う者としてはミーア以上のやらかしと言えなくもない。
そのため、ミーアの忠臣として良くも悪くもミーアの為人を知り尽くしたルードヴィッヒからは、『ただの一度も間違わない理想の君主』と評されながらも、帝国を必死に立て直そうとしたミーアの努力を何一つ理解できず(しようともせず)、最後のミーアの助命嘆願すら拒否したことで「(早々に責任を放棄した他の愚図と違って無能なりに最後まで責任を果たしていたミーアに対して)あまりに無慈悲すぎる」としてシオンの元で働くことを断られた。
ミーア断罪後はティオーナと向き合う事が出来なくなり、彼女との縁はここで途切れてしまう。
のちティアムーン革命派は勢力分裂を起こして崩壊し複数の領は小国として独立、そうでない土地は周辺各国にそれぞれ併合され国としては結局消滅した。
さらにティアムーン革命の余波は世界中に及び、レムノ王国も革命勢力が台頭して内乱が起き崩壊。聖ヴェールガ公国中央正教会も政争が勃発。ラフィーナが暗殺された事で組織の求心力が崩壊し各派に分裂し無力化。サンクランド王国は辛うじて王権を保たせたものの、そのために「決して容赦の出来ぬ止まれない(外交による落とし処が無い)戦い」に突入して疲弊の一途を辿る(分裂や崩壊した多くの他国よりかはマシだが)。これはティアムーン帝国の倒壊を最初のピースとした世界を駒にした悪夢の崩壊ドミノだったのである。
のちには実の弟エシャールや兄弟同然だった自身の片腕キースウッドさえも断罪し暴君化していく。
キースウッドからはエシャールの処刑前に「弟まで断罪してしまえば、あなたは本当に取り返しがつかない事になる。後生だから、自分を殺してもいいから、エシャール様だけは助けて人としての情を取り戻してくれ」と涙の諫言を受けたが、それでも既に多くの断罪を手掛け続けたシオンはもはや止まる事が出来きず断罪。かくて後世に残した名が「断罪王」。
ティオーナと別れた後には国内の貴族の娘を妃に迎えたが、その娘はある者の息のかかった人物であったため、シオンの暴走は加速の一途を辿った。
そして、そんな彼に寄り添える者は誰もいなくなり、老境には孤独となり断罪したことも一生後悔する事となったが、恐ろしい事にはその後悔は無自覚な意識下のものに過ぎず、あげく自身で自身の後悔に全く気付かず、むしろそれを自ら否定するために断罪を加速させてしまった、という側面を興す羽目になっていった。
その断罪の刃は尽く、この世界の行く末を担えるはずの才能を散らしていき、シオンが老境に至る頃には名目だけでもサンクランドを担える人間すらいなくなった。そしてシオンの死によってサンクランド王国もまた崩壊の道を辿る。
かくて断罪王による断罪の刃は、この世界の未来すらも断罪してしまったのだった。
本編の時間軸
帝国の叡智と称されるミーアを高く評価しており、学園入学前にいじめられるティオーナを彼女が救った一件を受けて今度は彼の方からお近づきになろうとするが、彼女からは前世での恨みもあって躱されてしまう。これはそれまで身の回りの女性すべてから求愛を受けていた彼にとって初めての女性にフラれるという経験であり、キースウッドにつつかれた時には口を尖らせそっぽを向くという年相応に拗ねる態度を露わにしていた。その後、彼女が自分を振る口実に使ったアベル王子とは恋敵や剣術を始め好対象なライバル関係かつ時には背中を預け合える友ともなったことから、少しずつ心境に変化が生まれる。
また、レムノ王国での革命騒動が最大の転機となり、自身の持つ「公正」と「正義」の在り方を見つめなおすようになっていく。
やがては慈悲の在り方や更生の重要性を知ることに至り、真の意味での「公正」を手に入れ、後の世(ミーアベルの時間軸も含む)においては「天秤王」の二つ名で讃えられた。
ミーアベルの時間軸
レムノ王国の事件によって各国の転覆を目論む世界的テロ組織「混沌の蛇」の存在が明らかになったことでラフィーナが混沌の蛇との闘争と掃討を訴える事になる。
ところがラフィーナはそのために聖瓶軍を組織。聖ヴェールガ公国はラフィーナを頂点とする帝政宗教国家「神聖ヴェールガ帝国」へと移行。自らは司教帝ラフィーナとなり、その頂点に立つ。
ラフィーナは「ヴェールガ聖瓶軍への協力をしないなら『蛇』とみなす」という「味方でないなら敵」という苛烈な論を掲げ決起。中央正教会の組織ネットワークによって聖瓶軍を暗躍させ世界中での「蛇狩り」(思想弾圧)を決行する。
こうして各国はヴェールガに味方する敬虔なる信徒の集団と、あくまでも世界秩序の維持と協調を訴えるシオンの勢力に分割。二大強権が支配する世界へと移行する。
ミーアが政治から身を引いた事で表向き四大公爵家による合議制へと移行していたティアムーン帝国も二つに割れてしまい、このどさくさでミーアは暗殺者によって毒殺され、それが契機になったのか、シオンは勢いを失い、止めるもののいなくなった本当の意味での歯止めが失われ、天秤王は司教帝の前に敗北。
どこにいるかもわからないテロ組織を滅ぼすために各国各人は疑心暗鬼に陥り、潰しあう乱世へと突入してしまう
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