新野冬子
にいのふゆこ
イラストはB小町時代のものである。
概要
『推しの子』の登場人物で、アイドルグループ「B小町」のメンバーの1人だった。愛称は「ニノ」。
グループの中心である星野アイに対しては、その圧倒的な実力差、自分を推してくれていたファンがいつの間にかアイに推し変していたりと、強い妬みを抱き、きつく当たることも多かったらしい。
一方で、アイを神聖視、信奉しているような描写もあり、アイに対する感情は複雑かつこの上なく重いもの。
アニメ主題歌2番の歌詞は、彼女の心情そのものと言える。
劇中での動向
本編では第一章・子役編、第九章・映画編、第十章・終劇によせて、最終章に登場する。
- 第一章 子役編
B小町のメンバーとして登場し、星野アイとは複雑な関係となっていた。自身はNO.2であったが、アイの余りに究極で完璧ぶりにコンプレックスを始め、複雑な心境を抱いていた。アイ刺殺事件以後、B小町の解散と共に表舞台から姿を消した…かに見えたが。
二次創作作品では?
二次創作作品では、逆にアイの親友として描く作品もあり、アイ生存ifではアイ卒業後に開催されるB小町解散コンサートでも、最後までB小町を引っ張る姿も見られる。
あの悲劇が無かったら有り得たかも知れない展開と言えるかも知れない。
その後の動向(ネタバレ注意⚠️)
※ここからは、「推しの子」第9章、第10章、最終章に関してのネタバレがありますので、自己責任で閲覧願います。
アイの悲劇から13年後、アイの忘れ形見「星野アクア」が脚本を手掛けた「15年の嘘」の映画撮影現場に登場。そこで初めてフルネームが「新野冬子」である事が判明する。
アイの死後も尚複雑な心境を抱いており、星野ルビーが演じるアイに、「アイはそんな事は言わない」と酷評していた。
映画「15年の嘘」でニノを演じることになった有馬かなは、ニノと実際に対面した際、彼女のアイに対するあまりに重い感情に恐怖を抱いていた。
そして、アイの元交際相手であるカミキヒカルとも何らかの関係があった事が判明。
その際、「実の娘でもアイを超えることできないだろうし、できたとしても絶対に許さない」という屈折したアイへの感情を吐露していた。
初登場回から連絡を取り合い、後に実際に対面して話している描写もあるが、明確な関係性は不明。
ちなみに余談だが、B小町の後輩であり映画でニノを演じたかなとアイの娘であるルビーとの関係性は、アイとニノの関係性を皮肉ったものであるとともに、二人のあり得た未来とも言える(劇中でも対比されている)。
「15年の嘘」が公開されればカミキの芸能人生が終わるであろう事も告げている。「15年の嘘」の内容を把握した上で、カミキとの会話でそのことを話していたため、カミキとアイの関係、過去の事件の真相も知っているようだが、信奉するアイを死に追いやったカミキに何を思っているのかも明かされていない。
黒川あかねがカミキのことを調べて回っていることを察知しているなど、油断ならない人物。
そして、最終章でカミキの意外な過去と、アイの真意が判明。カミキはアイを殺すつもりは無かったと言う事から、彼女に疑いを持つ読者も居るであろう。
★更なるネタバレ注意(155話以降)★
真の黒幕とその狂気
アクア「カミキヒカルが全ての元凶…ということにしたら、色々と辻褄が合わない」
アクア「アイの失墜を誰よりも願い、誰よりも憧れた信者」
雨宮吾郎、リョースケ、片寄ゆらの死に直接関わっているとされ、アイを死に追いやった真の黒幕であることを、アクアやあかねに見抜かれている。(ただし、カミキヒカルの記事にも記しているが、新野冬子が真の黒幕であるとするにも、不可解な点は残るのである)
同話では、ゴミ袋だらけでボロボロの部屋で、アイと自分以外のメンバーを黒く塗りつぶした(よく見ると顔の部分に×印が付いている)初代B小町のポスターを、ハイライトのない目で眺めながら『サインはB』を聴き、狂気的な笑みを浮かべるという恐ろしい姿を見せ、読者を戦慄させた。
しかし、カミキが自首すると分かるや、取り乱す。
また、「良介を死なせたあの時から〜」という台詞がある通り、ニノとリョースケは何らかの親密な関係があったことが示唆されている。
そして、158話ラスト。かつてと同じような状況でルビーを刺し殺そうとした。
しかし、159話で刺したのはルビーではなく変装したあかねと判明。さらにその場にいた壱護社長に取り押さえられた。(因みにあかねは防刃ベストを着けていたため無事だった……と描写されているが、防刃ベストは刺傷を完全に無効化できるマジックアイテムではないことには留意されたし。また、あかねの「東京ドームにはいけないかも」という発言は身命を賭した決死の判断であったことも併せて判明する。)
この話にて、リョースケこと菅野良介と恋人関係であったことも判明する。そして、アイには特別であって欲しかったという偏愛を吐露した。
しかし、あかねからルビーがアイはあなたと普通の友達になりたかったと言っていたことを聞かされると目に涙をため、「私もそうだったよ」と言った。
そして、同じくあかねに「誰がリョースケとあなたをこんな風にしたんですか?」と尋ねられた。
現状不可解な点とそれに対する考察
仮にニノを全ての元凶とする場合、以下の点について謎が残ることになる。
①リョースケとカミキは直接知り合ったのか、ニノを仲介して知り合ったのかという点。
- 前提として、リョースケはアイのファンである。
- 先述のとおり、カミキはアイに振られ、自暴自棄になっていた最中であった。その中で、カミキがリョースケと何らかの形でコンタクトを取り、利害の一致でアイを迫害しようとするのは理に適う。
- 後者は、このタイミングで会っていたとして、なぜ他人行儀にも『カミキヒカルさん』と呼んでいたのかという問題があった。
- しかし、158話にてリョースケとニノは浅からぬ縁であると判明する。であれば、前者でカミキがリョースケと知り合い、その流れでカミキとニノが知己を得たとする方が妥当(これならばカミキの『さん』付け呼びはクリアする。友達の友達はただの知り合いに過ぎないのである)。
②アイの妊娠を知り、宮崎まで行くための交通費の工面、その病院付近でアイではなく雨宮吾郎を殺害、隠蔽した動機。
- 雨宮吾郎殺害についてはリョースケの衝動的なものと見做して問題ない。
- しかし、アイの妊娠自体は、アイ自身からカミキに伝わっているため、わざわざニノを経由する必要性がない。
- 交通費についても、例えばリョースケの実家のパイプが太いだとか、カミキが愛梨と援助交際をした際に貰った金品で工面することは出来てしまう。あるとすればニノがアイドルで稼いだ金を渡したくらいである。結局現時点では煽動したとする描写もないので、この点についてもニノが全ての元凶とするのは難しい。仮に煽動したとした場合でも、実行しているのはリョースケ(及びカミキ)であり、ニノが計画犯=全ての元凶というのは論拠に欠ける。
③アイ殺害について
- この点に関しても、リョースケの暴走と見てほぼ確定。
- 一方で、最新話の描写よりニノがそうなるように煽動だとするならば、その引き金となったという意味ではアイ殺害については全ての元凶とも言える。こちらも描写がないため状況証拠であることに加え、やはり計画犯というだけで全ての元凶とするのは些か無理がある。
④カミキが「命の煌めき」などと宣い、状況的に片寄ゆらの殺人や星野ルビーの殺害未遂に手を染めた点。
- 現時点最大の謎。
- 雨宮吾郎、星野アイ殺害の件についてはリョースケの暴走やニノの暗躍で説明がつくが、片寄ゆら殺害と星野ルビーの殺害未遂についてはカミキの独断のように描写されている。
- カミキが記事上部のような単なるサイコパスであるなら説明は容易く、カミキが実行犯、ニノが計画犯であると仮定するのはまだ可能な範疇だが、この「命の煌めきが〜」のセリフの意図が理解できない。少なくともニノがこのセリフを恒常的に口にしていたとは考えにくく、同業者でもない片寄ゆらを迫害する動機も不明である。むしろ、先述の通り、作中の演出として意味深なまでに『瞳の星』を輝かせ、その星を失墜させんとしていたカミキの独断だった、とする方が理に適う(にも関わらず、アクアが片寄ゆらの殺害に言及しているため、謎として残っている)。
⑤そもそも全ての元凶の定義とは何か。
- 先述の通り、元を正せば責任を取ろうとしたカミキを(アイなりの理由があったにせよ)突っぱねたのは他ならぬアイである。その見方でいうならむしろアイの思惑とカミキの判断のすれ違いこそがこの惨劇のきっかけであり、全ての元凶とも言える。
- 作中ではニノとカミキが全ての元凶(諸悪の根源)のような書き方をしているが、やはりこれは必ずしも正確とは言えず、むしろカミキの視点に立てば(自らは責任を取る意思があったのにも関わらず、)アイにヤリ捨てされたに他ならない。
- カミキが歪んだ理由も家庭内不和や姫川愛梨が小児性愛者であったことに起因する。家庭内不和についてはともかく、後者については、彼女が真人間であれば本来起こり得なかったものである。また、愛梨自身もまた性被害者であり、そこに立ち返るのであれば性被害の温床を作った芸能界そのものも全ての元凶である。
- ニノの側も、アイにカミキが追い詰められていた、と吹聴するほど懇意な仲とは言えず、むしろニノとアイは対立関係にあった。
- また、前提としてニノがアイに「カミキが追い詰められているから子どもを抱えて育てろ」ということを伝えるには、アイの妊娠を知っていること、アイとカミキが交際関係にあると知っていること、カミキの心情を正確に把握し、アイが拒絶するように仕向けること(特に3つ目は彼女でもない、当時中学3年生、よくても高校1年生の年端もいかない少女が外野から行うのは至難の業である)、この3つが必要最低限であり、当時の彼女がその全てを認知し、実行できたとは到底思えない。あるとすれば、これらのピースが偶然の賜物によって当てはまった場合に限る。
- このように、一つ一つの事件には複雑な要因が絡んでいる。これを仮にカミキではなくニノに比重を置く場合、話が飛躍していると取られても仕方がない。
⑥片寄ゆらがカミキによって殺されたことをアクアがいつ知ったのかという点。
- 現時点では状況的にゆらの死が殺人でカミキが関わっていると知っているのはメタ視点に立てば読者と共犯者にあたるニノのみ。
- ツクヨミがアクアにわざわざ報せたという説。
- 現時点でカミキの動向を把握しているであろう人物は、敵対関係にあるニノを除けば彼女のみである。ツクヨミは以前にも雨宮吾郎の死をルビーに吹聴していた。所謂デウス・エクス・マキナとして、今回もアクアがツクヨミから片寄ゆらの死を断片的にでも聞かされていたとしても不自然はない(が、強引ではある)。
⑦カミキヒカルが自首すると連絡を受けた際に、ニノが何故かひどく動揺した点。
- 映画が公開されたらその時点でカミキヒカルは終わりということは彼女本人が発言していたが、まだ両者とも余裕がある様子を見せていた。
- カミキヒカルが何らかの権力で公開をさせなくする予定だったのかもしれないが、関係者試写会まで済んでいたので多数の業界関係者には疑いをもたれることは確実(実際、台本を読んだ演者の多くは双子の父親に疑念を持っていた)。
- カミキヒカルが疑われてもニノにまでは届かないと思っていたのかもしれないが、それでも自首されるほうに危機感を覚える意味が不明である。