概要
高額商品を購入する場合、一括払いだと購入できない場合金利を上乗せしたうえで分割払いで購入する方法があるが、賃金の支払いが低迷する中物価が高くなっていき、通常の分割払いだと1回の支払額が大きすぎて支払えないケースが増えていった。そこで1回の支払額を抑える新たな方法として数年後にその商品の売却価格(残価)を算出し、本来の価格から売却見込価格を差し引いた差額をもとにローンを組む残価設定クレジット(残クレ)が誕生した。
たとえば300万円の商品を60回の分割払いで購入するとした場合(わかりやすいよう利息等は考慮しない)、通常のローンだと300万円の60回で割った月5万円の支払いを要求されるが、残クレの場合5年後に180万円で売却すると見込んで購入価格から売却見込価格を差し引いた差額120万円をもとに60回で割ることから月々の支払いは約2万円済む。つまり形式上では月3万円も安く手に入れることができることから、これまでのローンから残クレのほうがお得というイメージが付くようになった。
問題点
このように一見してお得と思われる残クレであるが、実態はデメリットのほうが大きいとされている。
- 所有権は販売店(または信販会社)にあり、利用者はローン期間終了後に売却価格分を支払わない限り自分の所有にならない。つまり販売店または信販会社の許可がない限りカスタマイズはできないし、当然勝手に売却することもできない。中には商品価値安定のため利用制限があり、制限を超過した場合追加料金を求められることもある。
- 売却価格はあくまで見込であり、実際の売却時に商品価値が下がった場合、追加差額を一括して支払わなければならない。一方で見込より商品価値が上がっていた場合でもその利益は所有権のある販売店のものとなり、利用者に還元されることは一切ない。
- 残価判定は販売店が行なうため、良心的な販売店を除き理由をつけては残価を引く気見積もられて差額を上乗せされることが多い(中古屋査定のほうが高くても所有権は販売店にある以上このような交渉もできない)。
- 所有権は販売店にあることから、販売店が指定した保険やサービス利用が必須になる。当然割高で、結局通常のローンと変わらない金額になるケースもある。
- 利息は本体基準で差額基準ではない。たとえば利息5%で30万円の商品を1年後20万円で売却すると見込んだ場合、利息額は差額の10万×5%=5000円ではなく本体価格の30万×5%=15000円が上乗せされる。
- 途中解約をする場合、違約金や各種手数料を請求される場合がある。
- 損傷や故障等の修理は当然利用者負担である。当然修理によって商品価値も下がるが、販売店によっては実際の差額以上の支払を吹っ掛けられることもある。
- 自動車の場合、自動車税や車検費用は利用者負担である。
- 盗難に遭った場合も支払いを免除されることはなく、支払期間終了後残りの金額を一括して支払わなければならない。
これらデメリットを説明しない販売店が多く(小さく書かれている契約書を盾に説明済みと主張するケースもある)、残クレ利用後にトラブルになるケースが後を絶たない状況になっている。
残クレで販売するケースが多い例
元々は自動車販売用であったが、次第に対象が拡大している。
残価クレジット設定の別名
残価クレジット設定は以下の別名が存在する(残価設定「型」としているものもある)。内容はほぼ同じである。
- 残価設定ローン(金融機関がよく使う名称。)
- 残価設定プラン(自動車ディーラーがよく使う名称。クレジットやローンという名前を使わずにプランとすることで借金のイメージを和らげている。)
- 携帯電話キャリアは残価設定という名称を使わず以下の名前を使用している。
関連タグ
リース:仕組みは似ているが、購入した場合と同じように使用でき、また経費として税制優遇できる点で異なる。但し大抵が法人向けで、カーリースのように個人用もあるが残クレ同様デメリットのほうが大きいケースもある。