フランスの作家、モーリス・ルブランが創造した、怪盗紳士。ルブランは彼を生み出した功績によりレジョン・ド・ヌール勲章を与えられている。モンキー・パンチ『ルパン三世』の主人公は彼の孫という設定(漫画では、老いぼれた彼が出てくる回もある)。
犯罪者ではあるが、その才能とユーモアのセンス、また「強きをくじき弱きを助く」紳士的な態度から、多くの国で支持されている。
変装の達人であり、「自分自身でも本当の顔がわからない」とジョークで言うほど。
ルイス・ぺレンナ、ポール・セルニーヌ(ちなみにこの2つの名前はアルセーヌ・ルパンのアナグラム)、ラウール・ダンドレジー、ジム・バルネ、オラース・ベルスモンなど、多くの偽名を持っている。
また、探偵役を務めることも多く、特に短編集『八点鐘』ではきわめて独創的なトリックを解き明かしている。
愛国者(悪く言えばナショナリスト、もっとも19世紀生まれの人物であるためそれは当たり前なのだが)かつ、フェミニスト。また殺人を嫌い、部下にもその点は徹底させている(自分のせいで3人の人命を奪ってしまった『8・1・3』では自殺未遂を企てた)。従軍中はさすがに別だったが。
ライバルはガニマール警部、エルロック・ショルメス(最初はシャーロック・ホームズの名前をそのまま用いていたが、コナン・ドイルに怒られたので、この名前にした。日本版だと直されていないことが多い)、イジドール少年など。
代表作は『8・1・3』『黄金三角』『奇巖城』『虎の牙』『ルパンの告白』『カリオストロ伯爵夫人』など多数。
なお、ポプラ社版は子供向けに翻訳されているので、原典に忠実な作品を楽しみたい人は早川書房版などを読んだ方がいい。