USBメモリ
ゆーえすびーめもり
概要
USBポートに接続し、データの読み書きができるデバイス。記憶素子にはフラッシュメモリが使用されている。商品名ではメーカーによりUSBメモリーとも表記される。
これをパソコン等のコンピュータに接続すると、OSから取り外しの可能な大容量記憶装置として認識される。
また、USBメモリを単にUSBと呼ぶことも多いが、USBはあくまで規格名であるため厳密には誤りである。
くれぐれもSSDにも近年(2023年頃)このサイズで販売されているらしいので間違えないように。
2000年頃に登場し、その使い勝手の良さからフロッピーディスクやZIPを駆逐した。
初期のものでは8~64MBのものが普通で、1GB以上のものは数万円することもざらであったが、最大1.44MBと当時ですら容量の少なさから陳腐化しつつあったフロッピーディスクの代替としては十分であった。
最近ではフラッシュメモリの低価格化により、容量64GBの製品が1000円程度で買える程に値下がりが進んでいる。反対に容量が1GB未満の製品はもはやほとんど売られていない。
汎用性と使い勝手に優れ、パソコン以外の電子機器でもメモリーカードと同様に記憶媒体として広く用いられている。
スマートフォンが普及してきた近年では、MicroUSBやLightning端子、USB-TypeC端子(iPhone15等向設計あり)に対応した製品も登場。これによってわざわざ別のリーダーを用意する事なくデータをやりとりすることが可能になった。
構造に伴う意匠
USBメモリは多くの機種がUSBコネクタに蓋をして保護しているため、イラストのようなネタがつきもの。ただしスライド式など別の方法を用いて保護している機種も増えてきてはいる。
この他にデュアルコネクタ、片方はUSB-A⇔Micro-B、type-A⇔Type-C(又はそれらの変換アダプタ)といった仕様もある。
注意点
USBメモリは安価かつ入手しやすいために頻繁に利用されているが、暗号化やウイルス対策などが施されておらずセキュリティ面では脆弱な製品も多く、物理的に小さいため紛失のリスクも高い。
そのため、万が一紛失したり盗難の被害に遭ったりした場合、情報漏えいの危険性が高い。また、USBメモリを感染路とするPCへのウイルス感染などの被害も起きてしまっている。
企業の従業員や学校の教員がUSBメモリを紛失したことによって個人情報(社員や顧客等)や機密情報(習得予定の特許等)が流失してしまいニュースになることも少なくない。
しかしながら、近年では多くの企業で対策が取られており、そもそもUSBメモリの使用そのものが禁止されていたり、利用できる場合であっても機密データの持ち出し防止策として業務用のセキュリティソフトウェア(BUFFALO等の法人向け)の導入により、それにて施された社用のパソコンやUSB搭載端末には社内専用USBメモリを登録済みのUSBメモリとしてIDの紐付け等でしっかり管理し、社外のUSBメモリだけを受け付けないようにアクセス制限を設定されていたりすることも多い。そのため、端子挿入後に導入ソフトによるチェックが入り社内以外のUSBメモリによるアクセスの場合は「アクセスが拒否されました。」等のエラーを出す。
さらに、クラウド上にデータを保存できるようなシステムを導入するなど、そもそもUSBメモリが必要となる機会が無いようにしていることも増えてきている。
とはいえ、万が一私物のUSBメモリを仕事上で用いる必要がある場合は、紛失に備えて暗号化やウィルス対策機能が付いたものを利用することが望ましい。(セキュリティレベルはAES-256Bit以上推奨)
また、社会人でなくても個人情報や趣味嗜好の入ったUSBメモリーが他人の手に渡った際には悪用される可能性のあることを忘れてはいけない。
↓参考までに(外部リンク)
一応付け足しておくが、USBメモリを装着してもパソコン本体の「内蔵メモリ」(RAM)の容量が増えるわけではない。質問サイトなどでは『パソコンのメモリ不足を解消するにはUSBメモリを装着すればいい』といった回答が時折見受けられるが、「内蔵メモリ」と「USBメモリ」は別物であるため、パソコンのメモリ不足を解消するには該当するメモリを購入して増設するしかない。(ほとんどの質問はWindows関連のものが多い)
おそらく、この理由はReadyBoostと言うWindowsOSの機能によるコンピュータの処理の高速化の事だと思われる。
最近ではUSB端子の挿入口が、テレビやプリンター、コンポなどにも搭載されている。そのため、それぞれの機器で読み込み可能なファイルをメモリ内に保存しておけば、その機器でファイルを用いることができる。
ご先祖様
USBメモリの登場や、またUSB規格そのものの登場前は、主にノートPCや高機能の計測機器向けにPCカードスロット用のSRAMカードやリニアフラッシュカードが使用されていた。
現在ではUSBメモリ含むフラッシュメモリデバイスやその他の大容量記憶媒体が登場しているため、ほとんど使われておらずOSからのサポートもない。そのため現在は過去の資産を使う必要のある業務などで使われているのみ。
ちなみに、SRAMは電源がなければ当然情報を保てないため、昔のゲーム機のROMカセットの様にバッテリーバックアップによってデータを保持していた。ただ、ゲーム機のROMカセットとは異なり、ユーザーが任意に電池交換可能な構造になっており、また電池交換時の電源途絶によるデータ消失を防ぐため内部に小容量の蓄電池が内蔵されているものもあった。
派生品
試作・学習向けマイコンボードではプログラムROMへのデータ書き込みを簡単にするために、USBメモリとしてOSに認識されるように作られているものもある。
有名な例だとARMホールディングスのMbedやBBCのmicro:bit、Raspberry Pi財団のRaspberry Pi Picoがこの方法でプログラムROMへの書き込みを行う。ただし、これらは実行するプログラムをマイコンへ転送するのが目的であるため、実行するプログラムファイルと関係のないファイルは書き込もうとしても受け付けない、プログラムROMへの書き込み終了後プログラムファイルがドライブ上から消える、同じく書き込み終了後にアンマウントが自動で行われるといった動作の差異がある。
また、プログラムファイル書き込み時などUSBメモリとして認識させる際に基板上の特定のボタンを押しながら接続する(またはマイコンボードのリセットをかける)といった差異もある。