概要
イスラエル国防軍はこれまでRomatを採用していたが、ある戦争での経験により小口径ライフルの必要性を感じ、IMI社に軽量で頑丈な命中精度の高い小口径ライフル、ガリルを開発させた。
設計者のイスラエル・ガリリは、イスラエルの過酷な環境を克服するために機関部を西側諸国ではなく、東側諸国のAK47をモデルにし、弾は西側に合わせるために5.56mmNATOを使用した。そのため、当時にしては少し異質なアサルトライフルが誕生した。
トライアル時、UZIの開発者ウジール・ガルが設計したライフルやM16A1、HK33などが参加したが、最終的にガリルが勝利した。
・・・ただし完成した翌年(1973年)に第四次中東戦争が勃発。
この時にアメリカからの支援物資(?)としてM16の中古品が大量に導入されてしまい、
ガリルは全部隊に行き渡らないまま終わってしまう。
その後も『ガリルは重い(約4.3kg)』だの『値段が高い』だの言われてしまい、
イスラエル国防軍は輸入されたM16A1の方を気に入ってしまう。
その後ガリルが制式に返り咲く事はなく、生産分は輸出に回される事になった。
こちらはそこそこの成功を収めており、主に南アフリカやミャンマーなどの政治的に兵器を輸入しにくい国に採用されている。
また、ジンバブエやコンゴといった自然環境の厳しい国でも採用され、AK-47ゆずりの頑丈さを発揮している。
輸出用のガリルは現在も生産されており、世界中の兵器見本市に出品されている。
ガリルは原型となったAKの改良の際にも参考にされており、アーセナル製品やアメリカ製AKでその影響を見ることが出来る。
世界初!栓抜きつき小銃
ガリルARMにはハンドガード根本に栓抜き機能が、バイポッド(二脚)基部にワイヤーカッター機能がついている。
これは配備当初、兵士が機関部のでっぱり(給弾口の上部)を栓抜き代わりに使い、
それが原因で作動不良が多発した事による。
これを受けて陸軍上層部は通達を出し、部隊にも栓抜きを支給した。
設計者のガリリも改善策を考え、改良型ガリルARMからは栓抜き機能を付けたのだった。
これだけのすったもんだにもかかわらず、現在は栓抜き・ワイヤーカッター機能は廃止されている。
(ワイヤーカッターに至ってはそもそもバイポッドが無い)
これは銃剣に栓抜き機能を追加した為だが、実は使いにくい栓抜きだったのだろうか?
ガリルACE
タボールの登場後、輸出製品としての役目も薄れてきた2000年代。タボールの海外での採用も増えてはいたが、通常のアサルトライフルの採用も多い状況にIWI社はガリルのリファインをすることにした。それがガリルACE(エース)である。
まず目に付くのは外観、ストックは伸縮ができ、ピティカニー・レールが搭載された。
また使用弾も5.56×45mm弾/7.62×51mm弾/7.62×39mm弾の三種類になっており、よりユーザーを獲得しやすくなった。勿論AK-47ゆずりの頑丈さはそのままであり、中南米を中心にウクライナやベトナムといったAKを使用していた国でも採用された。
基本データ
全長 | 979mm(ストックを広げた状態)~742㎜(ストックを畳んだ状態) |
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銃身長 | 460mm |
重量 | 4325g |
口径 | 5.56mmNATO(一部7.62mmNATOを使うモデルも) |
装弾数 | 30発(NATO標準規格弾倉)・35発(標準)・50発(簡易支援火器として使う場合) |