概要
「明白な天命」と日本語訳される。
元々アメリカ合衆国はイギリスから移住してきたピューリタンが理想国家として建国した国柄であり、その理想国家を拡大する行為「は神に与えられしアメリカの使命」と考えていた。
当初のアメリカは東部13州のみの小国であったが、イギリス・フランス・スペイン領を割譲・買収して徐々に拡大。
メキシコ領だったテキサス州を強引に併合したことをきっかけに、1846年にアメリカ=メキシコ戦争で勝利するとカルフォルニア州も手に入れた。
余談
と言うのが「アメリカ建国神話」なのだが、実際のところ、ピューリタンはキリスト教の中でも、かなり特異な教義の一派であり、アメリカ建国の父の1人であるトーマス・ジェファーソンはピューリタンを含むカルヴァン派の教義について、こう評している。
- カルヴァンが信じていた「神」は「我々が信じている神」ではない。悪霊か悪魔を「神」と呼んだだけ。
- カルヴァンは事実上の無神論者だ。
- あんな「神」や教義を信じる連中に比べれば、無神論・無宗教の方が、まだ許容出来る。
どうして、そうなったかと言えば、ピューリタンを含むカルヴァン派の根本的な教義は下記のような、早い話がカルヴァン派以外のキリスト教徒には絶対に受け入れ難いものだったのである。(カルヴィニズムの五箇条)
- 人間は余りにも堕落した生物であり、自分の力で神に救われるに値する行為を成したり、神に救われるに値する信仰心を持ったりする事は出来ない。
- 神に救われる人間は神の側で一方的に選んでいる。では、神が、どんな人間を救うかという条件は……無い。「神が人間を救う基準」は有ったとしても人間に知る事は出来ない。人間視点では、事実上、完全に無作為かつ恣意的に、神は、ある者を救う事を決め、別の者を救わない事に決めている。
- キリストが十字架にかかったのは、全人類の為ではない。神が無作為かつ恣意的に選んだ「神に救われる予定の人々」の為のみに十字架にかかったのである。
- 神が救う事を決めた者は、救いを拒絶出来ない。
- 神は救うと決めた者の信仰を護る。人間が自分の意志で神を信じる/信じないを選択するのではなく、神が救うと決めた者は、どう足掻いても神を信じてしまい、神が救わないと決めた者は、逆に、どう足掻いても神を信じる事が出来ないのである。
……どう考えても邪神の中の邪神、邪教の中の邪教じゃねえか!!!!
その後、アメリカでは、アメリカ独立以降にも移民が来る事になり、それらの新移民は出身国での信仰をアメリカに持ち込んでいき(例:イタリア,アイルランド,ポーランド→カトリック)、現在のアメリカでは、白人の中でも、アメリカ独立以後にアメリカに移住した人々の子孫の方が多数派となっている。そして、キリスト教徒原理主義が信者を集める事になるなども有って、最終的にはアメリカにおいて、ピューリタンは少数派になってしまったのである。
実際、アメリカで起きた事の中で、日本人の中には「ピューリタン的」だと考える人が一定数居るようなものも、カトリックやキリスト教徒原理主義者によって起こされたものが少なくない。(例:映画の自主検閲のヘイズ・コードはピューリタンではなくカトリック信者が主導したもの)