概要
マンガやドラマ、アニメなどにおいて、一定以上のヘイトを買うような言動をとった登場人物が、物語の尺の都合上などの問題で、視聴者が納得する形で制裁や報いを受けずに退場する(所謂「勝ち逃げ」)するパターンも珍しくないが、そうなると一部の視聴者の不満や怒りの矛先が、そのキャラクターを演じた俳優や声優、あるいは原作者や脚本家、制作スタッフに向けられ、それらに対する過度な誹謗中傷やバッシングが行われる…所謂『炎上』状態に陥ることがあるが、「ヒルカワ症候群」はその中でも特に執拗なまでに演者を叩くことに執心する過剰なアンチ勢に対する皮肉や揶揄として用いられる。
由来
名称の由来は、2006年から2007年に放送された特撮番組『ウルトラマンメビウス』に登場するフリージャーナリスト 蛭川光彦(ヒルカワ・ミツヒコ)に由来する。
蛭川は劇中で、主人公ヒビノ・ミライ/ウルトラマンメビウスや防衛組織「CREW GUYS」に対して数々の暴虐行為や妨害行為や裏切りを行ったものの、彼は最終的にそれらに対する明確な制裁を受ける描写がないまま退場したため、多くの視聴者に強い不快感を与えることとなった。
この展開に激怒した一部のウルトラシリーズファンが激烈なアンチと化し、蛭川を演じた俳優・加藤厚成氏に対して執拗な誹謗中傷を行ったことは勿論、そればかりか、彼が数年後『大怪獣バトルNEO』のペダン星人ダイルとして出演し、劇中で非業な最期を遂げた時には「メビウスの時の報い」等の当てつけな感想が当時加藤氏が運営していたブログ等に多数送られたり、その他の特撮作品に出演する度に蛭川の所業を掘り返してきては心ない野次や批判がSNSで上がる様になってしまい、果ては現在に至っても事あるごとに蛭川の名を持ち出しては、彼自身は勿論、演者の加藤氏に対して徹底的な批判(もとい誹謗中傷)を行う有り様である。
こうした、執拗ともいえるアンチの行動を批判する意図で、演者を過剰に叩こうとするアンチの行動に対して一部の者から「ヒルカワ症候群」という言葉が用いられるようになっていった。
問題点と議論
「ヒルカワ症候群」という名称が生まれたのは近年のことだが、もとよりフィクション作品に対する視聴者の感情の行き過ぎた反応や、それに伴う演者への誹謗中傷は以前より常態化していた問題のひとつである。
特に、架空のキャラクターへの嫌悪が、あくまでも役者としての仕事として演じただけの現実の俳優や声優、さらに時にはキャラクターや脚本を創作した制作陣にまで向けられることは、大きな問題として指摘されている。
一方で、物語の展開やキャラクターの描写が視聴者に強い不満を抱かせた場合、それに対する批判は当然の権利であるとの意見もある。しかし、誹謗中傷や個人攻撃は創作活動の妨げとなるだけでなく、演者やスタッフに深刻な悪影響を及ぼす可能性があるため、視聴者はあくまでも客観的且つ冷静な見識が求められる。
関連タグ
蛭川光彦…ヒルカワ症候群の元ネタ。彼の所業やそこまで執拗に叩かれることに至った由来についてはリンク先を参照