概要
イタリアからアメリカ合衆国に渡った移民がマフィアとしてのし上がり、世代交代を経て没落していく様を描いた一大叙事詩。マフィアを扱った作品の代名詞にして金字塔。
マリオ・プーゾの小説では、ヴィトー率いるコルレオーネ・ファミリーとニューヨーク五大ファミリーの抗争、およびイタリアからアメリカに渡って来たころのヴィトーの回想が交互に描かれる。
映画は3作あり、監督はいずれもフランシス・フォード・コッポラ。脚本は原作者プーゾとコッポラの合作。ヴィトーから三男マイケルに世代交代してからのシナリオは映画向きに書き下ろされた。
シリーズ通しての主演はマイケル・コルレオーネ役のアル・パチーノ。また、コッポラの妹のタリア・シャイア(コニー・コルレオーネ役)、娘のソフィア・コッポラ(それぞれ別の役)も出演している。
ゴッドファーザーとは「偉大なる父」といった意味であり、マフィアのボスに対する敬称でもあるが、本来はカトリックで洗礼を行う際の「名付け親」を表し、劇中でも洗礼が象徴的に登場する。
登場人物
ヴィトー・コルレオーネ - マーロン・ブランド(壮年期) / ロバート・デ・ニーロ(青年期) / オレスト・バルディーニ(少年期)
イタリア シチリア コルレオーネ村に、ヴィトー・アンドリーニとして生まれる。9歳のとき、地元のマフィアであるドン・チッチオに家族を皆殺しにされ、逃亡するかたちで渡米した。アメリカに入国した際、名がマイケル・コルレオーネとなる。
青年期まではニューヨークのイタリア移民街で育つが、ドン・ファヌッチに職を追われたことで泥棒を覚える。後にファヌッチを殺害、ファヌッチに締め上げられていた人々から感謝される。その後、オリーブオイルの輸入会社を装いながら、犯罪仲間たちとファミリーの基盤を築く。
カルメラと結婚し、ソニー、フレド、マイケル、コニーという四人の子供をもうける他、トム・ヘイゲンを養子に迎える。
後にシチリアへ帰還。ドン・チッチオに復讐を果たす。
ファミリーはやがて酒の密売、カジノ運営、暴力の行使を経て巨大犯罪組織に成長。ヴィトーはそのドンとなり、敬意を込めてゴッドファーザーと呼ばれるようになる。
マイケル・コルレオーネ - アル・パチーノ
ヴィトーの息子で、コルレオーネ兄弟の三男。
本来は暴力は好まず、ファミリーの家業を避けていた。大学通いの優等生だったが、日本の真珠湾攻撃を機に、大学を中退してまで第二次世界大戦へ従軍。勲章を得るほどの活躍をする。
ニューヨーク五大ファミリーとの抗争でヴィトーが命を落としかけたことで、自ら復讐を決意する。それを機にマフィアとしての資質が現れ、ファミリーを引き継いでからは冷酷なドンとして覚醒する。
ソニー・コルレオーネ - ジェームズ・カーン
コルレオーネ兄弟の長男。
血の気が多く義侠に厚い、いかにもマフィアにそぐった男。
トム・ヘイゲンの旧友。愛人との間にビンセントという息子がいる。
ニューヨーク五大ファミリーとの抗争で壮絶に命を散らす。
フレド・コルレオーネ - ジョン・カザール
コルレオーネ兄弟の次男。
気弱で優しい人格のためマフィアに向いていない。
そのため比較的楽な仕事を任されるが、それが後に劣等感を刺激することに。
コニー・コルレオーネ - タリア・シャイア
コルレオーネ兄弟の長女・末っ子。
映画1作目の冒頭で結婚式を挙げている。しかし、この夫カルロがファミリーに問題を持ち込む。
トム・ヘイゲン - ロバート・デュヴァル
幼少期にソニーに連れてこられ、コルレオーネとは実の兄弟同然に育つ。
学業優秀で弁護士となり、ファミリー内ではコンシリオーリ(相談役)に就く。
ケイ・アダムス・コルレオーネ - ケイ・アダムス・コルレオーネ
マイケルの恋人で、後に結婚。アンソニー、メアリーという子供をもうける。
実家の家業を嫌っていたはずのマイケルがドンとなり、冷酷な人物に変貌していくのを間近で目撃する。
映画
- 『ゴッドファーザーPartⅠ』1972年
コルレオーネ・ファミリーの実態と、ニューヨーク五大ファミリーとの抗争、ファミリーの運営がヴィトーからマイケルに継がれるまでを描く。
主演はヴィトー役のマーロン・ブランド。
- 『ゴッドファーザーPartⅡ』1974年
ヴィトー少年が渡米しドンに成り上がるまでと、マイケルがドンを続けていく中で何かを失っていく様を対比させながら交互に描く。前作を過去と未来から挟み込む構成で、3作の中でもっとも長い。
主演はマイケル役のアル・パチーノと、青年ヴィトーのロバート・デ・ニーロ。
- 『ゴッドファーザーPartⅢ』1990年
前作から16年を経た完結編。時間の経過した後日談に当たる。
一回り老いたマイケルの暗躍、ソニーの息子ビンセントへの世代交代、そしてマイケルの晩年が描かれる。
主演はアル・パチーノ。
更なる続編の構想もあったが、マリオ・プーゾが死去したため実現しないだろうとコッポラは言っている。