概要
キウンは「旧約聖書」の『アモス書』5章26節で言及される星の神。
名の意味は“不滅なる者”または“宮殿”といわれ、土星を指す言葉と解釈される。
聖書ではイスラエルの正統な神ヤハウェに対して、間違った信仰の対象である異教神の一柱として扱われている。
同節では「あなたがたはあなたがたの王サクテと、あなたがたのために造った星の神、キウンの像をかついでいた(新改訳)」と語られる。
このくだりは預言者アモスが、形式的な儀式だけ行い肝心のヤハウェへの信仰を忘れたイスラエルを痛烈に批判している場面である。
かつてイスラエル人がエジプト脱出直後の荒野時代に、異教神であるキウンやサクテ(Siccuth シクテとも、アッシリアの土星の神)の偶像を造り崇めて神の怒りを買ったことを挙げて、今またイスラエルが同じ過ちを行うと糾弾している。
キウンは『新約聖書』の『使徒行伝』7章43節にて、ロンパ(Rephan,ロムファ)の名前でも言及されている。
こちらは七十人訳聖書でキウンの名が“ライファン”と音訳されたものが流用されたもので、アモスと同じく聖人ステファノが荒野時代のイスラエル人が崇めた邪神として語っている。
ちなみに星神シクテも一緒に登場しているのだが、こちらは「シクテ=スクテ(家、小屋)」、「あなたがたの王(メレク)=モロク」と解されたため、“モロクの幕屋”という原型を留めていない訳になっている。
女神転生シリーズのキウン
初出作品は「真・女神転生Ⅲ」で、種族は以後のシリーズに至るまで“夜魔”。
五芒星の中央に、同じく逆五芒星を描く様に髪や髭が伸びた男の顔が据えられたインパクトのあるデザイン。
同作ではニヒロ機構において固定敵として登場しており、緑のキーラを巡って主人公と逃走劇を繰り広げ、最後に複数の部屋からキウンのいる当たりの部屋を探す仕掛けなど、嫌味かつトリッキーな役を演じている。
なお同作では呪殺、四属性魔法耐性を持ち、弱点である破魔属性も自力で克服するため仲魔としてなかなか役立つ存在である。
「真・女神転生Ⅳ」では、星型繋がりなのかハイレベルアップでデカラビアに変異する。