概要
初代は姉妹車と同じ4ドアピラードハードトップとして登場し、ボディやエンジンは上記の2車と共通している。2代目以降は、マークⅡとチェイサーがピラードハードトップだったのに対し、セダンとして発売されていた(3代目の80系以降プレスドアを採用)。
また、他の姉妹車同様ターボエンジン搭載車に5速MTが設定されているものの、X100系の同系列にあたるルラーンGでは前期、後期共にATのみの設定となった。そのため、X100系のルラーンGではATからMTへ載せ替えられた車両がまれに見かけられる。グレード名はラグジュアリーグレードが「スーパールーセント」(Super Lucent )、「エクシード」(Exceed )、スポーティーグレードは50・60系が「スーパーツーリング」(Super Touring )、70・80系は「GT」、90系は「ツアラー」(TOURER )、最終モデルの100系は「ルラーン」(Roulant )と何度も変更された。
GX70系からGX80(JZX80)系は、ハイソカーブームでマークⅡとともに女性からも人気だったが、クレスタは初代ソアラとともに暴走族に好まれた。FRハイパワーターボということでJZX81系以降は特にドリ車として現在でもチューニングカー愛好者に人気が高い。
取扱店はビスタ店だったが、沖縄県にはビスタ店がなかったため沖縄トヨタにて取り扱っていた。
後継車種であるヴェロッサも現在は生産終了している。
歴史
初代(X50/60系 1980年-1984年)
1980年4月に登場。同時に新設されたトヨタビスタ店の最上級車種であった。角目4灯ヘッドライトやスクエア・カットのテールライトを持ち、当時としてはスタイリッシュな4ドアピラードハードトップとして登場した。マークⅡ/チェイサーの実質的な姉妹車ではあったが、クレスタはドアパネルを共用するのみで、他の姉妹車よりも高級なイメージを持っていた。半年後の同年10月にマークⅡ/チェイサーも初代クレスタに追従するフルモデルチェンジを受け、マークⅡ3兄弟が誕生することになる。
エンジンは従来のM系に代わる新開発の2000cc直列6気筒1G-EU型(SOHC12バルブ)を初めて搭載した。グレード名は、6気筒エンジン搭載最上位グレードは後年までクレスタを代表するグレード名となった「スーパールーセント 」(Super Lucent )、6気筒エンジン搭載スポーティーグレードが「スーパーツーリング」(Super Touring )、6気筒エンジン搭載普及グレードが「スーパーデラックス」(Super Deluxe )、4気筒エンジン搭載上位グレードが「スーパーカスタム」(Super Custom )、4気筒エンジン搭載普及グレードが「カスタム」(Custom )であった(4気筒エンジンは全て1800ccの13T-U型OHV)。
上級グレードに設定されたイメージカラーのツートーンカラーが絶大な人気を得て若い世代の高級車指向を一気に推し進める結果となった。
1981年10月 - 2000ccSOHCターボ(M-TEU型)搭載車を発売。マニュアルトランスミッションとの相性が悪かったために、オートマチックのみの設定であった。
1982年8月 - マイナーチェンジ。角目4灯のヘッドライトはフォグランプ内蔵の異型2灯に変更。これに伴い2000cc・1G-GEU型エンジン(160psツインカム24)搭載車を追加。同時に1800ccの4気筒エンジンがこれまでの13T-U型から小型・軽量設計の1S-U型SOHCエンジンに差し替えとなる。同時にAT車には足踏み式パーキングブレーキを採用(初代前期と4・5代目のスポーツグレードはAT車でもセンターレバー式パーキングブレーキ)。
1983年2月 - 1G-GEU型エンジン搭載車に電子制御オートマチック(ECT)を設定。
1983年8月 - 2200cc4気筒L型SOHCディーゼルエンジン搭載車追加。
2代目(X70系 1984年-1988年)
1984年8月に登場。この代からサッシュドアを採用した一般的なセダンとなった。姉妹車であるマークⅡセダンが6ライトウインドウを採用しているのに対し、クレスタは4ライトの端正なスタイルを持つ。角型4灯ヘッドライトやスクエア・カットのテールライトなど先代から受け継がれたスマートなイメージを残しつつ、より豪華な内外装となった。姉妹車であるマークⅡとともにハイソカーブームに乗り、当のトヨタが驚くほど先代以上に大ヒットを記録している。中古車市場では同年式のマークⅡよりも高い値で売られていたこともあった。
米国で販売されていたMX73系クレシダ(マークⅡセダンの輸出仕様)のフロントマスクは、GX71系クレスタのフロントマスクに角型2灯ヘッドライトを組み合わせたものだった。
1985年4月 - スーパーカスタム/スーパーDXにカラードバンパーを装備すると同時に特別限定車の「エクシード」を発売(以後クレスタの特別仕様車として度々発売される)。
1985年10月 - マークⅡ/チェイサーとともにツインカムツインターボエンジン(1G-GTE)搭載の「GTツインターボ」(GT TWINTURBO )が追加される。これと入れ替わりにSOHCターボエンジン(M-TEU)車は廃止された。また同時に電動格納ドアミラーを上級グレードに装備。
1986年8月 - マイナーチェンジ。外装の変更と装備の充実が図られた。ヘッドランプは一体型の異型4灯化されフロントバンパーにフォグランプが内蔵される。
1987年9月 - 一部変更で駐車灯が廃止される。
3代目(X80系 1988年-1992年)
1988年8月に登場。この代から4気筒、6気筒に関わらずガソリンエンジン搭載車が全てDOHC化(ハイメカツインカムを含む)されプレスドアが採用されるとともに丸みを帯びたデザインとなり、数々の豪華装備やエレクトロニクス技術も満載された。また、最上級グレードとして、マークⅡ3兄弟では唯一のスーパーチャージャーエンジン(1G-GZE)搭載の「スーパールーセントG」(Super Lucent G )が新たに設定された。バブル景気ということもあってか、それまでの初代や2代目を上回る大ヒットを見せ、マークⅡとチェイサーを含めた販売台数は歴代1位を記録している。2008年時点では発売開始から20年を迎え、車両自体の経年劣化が進んできているが、現在の道路でもたくさん見かけることが多い車のひとつである。
自動車教習所の教習車でもマークⅡセダン/チェイサーと併せて多く投入されていた。その故か免許を取得してはじめて乗った車がハイソカーという若者も多かった。
1989年1月 - 4気筒エンジン車、ディーゼルターボエンジン車にスーパールーセント(1G-FE)と同じ内外装を持つ「スーパーカスタム・エクストラ」を追加。(但しエアコンと後輪独立懸架は付かず)
1989年8月 - 3000cc(7M-GE)エンジン搭載の「3.0 スーパールーセントG」(3.0 Super Lucent G )が追加される。従来からの4輪ESC(ABS)の他にTRCも標準で装着された。同時にボディカラーに新色追加。
1989年10月 - 特別仕様車「スーパールーセント・エクシード」(Super Lucent EXCEED )発売。
1990年4月 - 特別仕様車「10周年記念エクシード」発売。「3.0 スーパールーセントG」のメッシュアルミホイール、パールホワイトのボディカラーなどが追加されたものであった。
1990年7月 - 特別仕様車「10周年記念スーパーカスタムエクストラ」発売。
1990年8月 - マイナーチェンジ。フロントグリル・テールランプ・ホイール(14・16インチ除く)のデザインが変更され、3ナンバー仕様はバンパーが大型化され、フォグランプはプロジェクター化される。マークⅡ/チェイサー同様に2500cc(1JZ-GE・1JZ-GTE)車が追加される。入れ替わりに2.0スーパーチャージャー(1G-GZE)車、2.0ツインターボ(1G-GTE)車は廃止された。最高級グレードのスーパールーセントGはともに自然吸気の2.5Lと3.0Lが搭載され、GTツインターボは2.5Lターボ化で280馬力にパワーアップ。
初代から設定があった教習車仕様はこの代が最後になり、以後は80系マークⅡセダンの教習車をトヨペット店に加えオート店/ビスタ店でも扱い、1996年1月にはコンフォートにバトンタッチ。
4代目(X90系 1992年-1996年)
1992年10月に登場。姉妹車のマークⅡ・チェイサーともども、車体が3ナンバーサイズに大型化されたが、クレスタのデザインは3代目のキープコンセプトであったために3兄弟の中ではやや小太りな印象を受けた。 エンジンはガソリン車が3.0L 2JZ-GE、2.5L 1JZ-GTEと1JZ-GE、2.0L 1G-FE、1.8L 4S-FE、ディーゼル車が2.4L 2L-TE。 スポーティーグレードは「GTツインターボ」から「ツアラー」(TOURER )へ変更されたが、先代モデル同様過給機はツインターボが用いられている。ターボ付はツアラーV、NA車はツアラーS。ともに2.5Lエンジン搭載。ターボモデルのMT車の設定は、クレスタのみこの代で最後となる。また、初代からあった6気筒エンジンのスーパーデラックスは、この代よりスーパールーセントに集約された。4気筒エンジン及びディーゼルターボエンジンのグレード名称も、「スーパーカスタム・エクストラ」は「シュフィール」、「スーパーカスタム」は「SC」に変更された。
1993年10月 - FR駆動の他に、フルタイム4WDモデルの「スーパールーセントGフォー」(Super Lucent G Four )と「スーパールーセントフォー」(Super Lucent Four )が追加された。なおオートマチックのみの設定。
1994年9月 - マイナーチェンジでフロントグリル・バンパーとテールランプのデザイン変更および装備の見直しがされた。
1995年9月 - 一部改良で運転席エアバッグを全車標準装備した。
5代目(X100系 1996年-2001年)
1996年9月に登場。当時のRV車ブームに対抗すべく、マークⅡ/チェイサーとともに「セダンイノベーション」のスローガンを掲げ、3兄弟の個性を明確に表現したデザインとなった。
先代では、3姉妹ともにツアラーシリーズ(ツアラーV・ツアラーS)がスポーティーグレードの名称であった。しかし、この型のクレスタのみが「ルラーン 」(Roulant )に名称変更され、MTは前期型のスーパールーセント(2000cc)のみ設定、後期型は全車ATの設定となっている。1JZ-GTEのターボ車であるルラーンGのMTモデルの設定がないことから、ATのルラーンGをベースにMTへ改造しカスタマイズされたクレスタが存在する。また、前期型のルラーンに2000ccエンジン(1G-FE)搭載車の設定はなかったが、後期から追加され、このモデルが警察車両に採用された。ラグジュアリーグレードにおいてもグレード名の変更があり、それまでクレスタを代表する上級グレード名であったスーパールーセントが廉価グレードという位置付けになり、ベーシックな4気筒エンジン車はディーゼルエンジン搭載車のみになった。上級グレード名としてそれまではクレスタの特別仕様のグレード名として馴染みが深かった「エクシード」(Exceed )が採用された(最上級グレードはエクシードG)。
スタイリングは3兄弟のカラーを明確に分けるコンセプトの元、マークⅡがハイオーナーカーらしいワイド感を強調し、チェイサーは歴代で最もスポーティーなイメージとなる。これらに対してクレスタは、プレスドアに端正なグリル、尻下がりのラインなどで、セダンとしての落ち着きを表現し、3兄弟の棲み分けに成功した。ただこの為、先代以上に50代以上の年配のオーナーを獲得する結果となった。セダンらしいスタイルを表現するために、1420mmとマークⅡ/チェイサーに比べて全高が20mm高くされ、室内の居住性という実質的な利点もあった。
1998年8月 - マイナーチェンジ。グリルが大型化され、テールランプが横基調に改まったことにより、前期型のバランスの良さは崩れた。2.0(1G-FE)車にもVVT-iを採用し、走行性能も向上している。4WDが2リッターにも追加された。2リッターにルラーンが追加され、2.5リッターNAのルラーンはルラーンSとグレード名称を変更した。カジュアルなイメージが排除された落ち着いたものとなった。
2001年7月 - チェイサーとともに生産終了した。後継車はヴェロッサであるが、販売不振のため2004年4月のネッツ店統合時に廃止された。
車名の由来
スペイン語で「西洋の紋章の頂に輝く飾り」と言う意味からつけられている。なおエンブレムは兜をデフォルメしたものが使われた。
その他
- 5代目のX100系は、全日本プロドリフト選手権(D1グランプリ)に赤いクレスタがマークⅡ・チェイサーとともに出場している。ドライバーは高橋 "ユウボウ" 雄一郎。
- GTOでは内山田教頭の愛車である。そして定番ネタの一つとして、このクレスタが何度となく破壊されている。