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薬莢の編集履歴2013/08/09 16:09:28 版
編集者:AGILE
編集内容:「排莢」を簡略化し、「薬莢の種類」に書き換え

薬莢

やっきょう

薬莢とは、弾薬を構成する部品の一つ。 カートリッジの略称の「カート」とも呼ばれることがある。

概要

大まかには金属製の円筒で、内部に火薬を詰め、先端に弾丸を固定し、尾部に雷管を装着する。

雷管を撃針ならびに同様の役割を果たす部品が打撃することにより起爆薬が起爆、爆轟により火薬に誘爆する。

火薬が爆発的に燃焼することにより発生した燃焼ガスの勢いで弾丸を押し出す。

薬莢の種類

主に金属(鉄や真鍮)が用いられるが、プラスチックなども使用されることがある。

基本的には弾丸や火薬を内蔵するために円筒形で、後端にリムと呼ばれる円盤がついている。

ボトルネック薬莢

薬莢の前端を絞ることで、銃弾に対してより多くの火薬を使用することが出来る薬莢

オートマチック用薬莢

自動機構とマガジン装填に対応するため、リムは薬莢本体と同径で、エジェクターを引っ掛けるためにリムの直前が絞られている。

リボルバー用薬莢

シリンダに装填される関係上、後端のリムと呼ばれる円盤上の部分が大きく張り出している。近年のモデルではリボルバー弾倉に銃弾を保持するだけでなく、これにエジェクターが引っかかることで、一気に銃弾を抜き取ることが出来る。

散弾(ショットシェル)

主に弾丸と装薬を装填する「ケース」の種類によっていくつかある

  • 金属ケース

 全体が金属で作られた薬莢。丁寧に扱えば発砲後、何度も再装填可能なエコ薬莢。代わりにコストが高い

  • 紙ケース

 リムと雷管を保持する部分のみを金属とし(ロンデルと呼ばれる)、装薬や弾丸、ワッズなどは紙製の筒で保持した薬莢。非常に安上がりだが変形しやすく湿気に弱いなど信頼性も今一。

 逆に柔軟性があるため数回の再装填に耐えることもできるのは利点である。

  • プラスチックケース

 現在の主流。基本的には紙ケース薬莢の紙部分をプラスチックに置き換えたもの。

 生産性が高く、湿気にも比較的強い。材質によっては熱に弱いが、薬室が加熱するほどバカスカ撃つものではなく、仮に溶けたとしても、次弾と一緒に飛んでいくので(多少の不安はあるが)大きな問題にはされない。

そのほか

H&K G11のように薬莢の存在しないケースレス弾と呼ばれるものも存在している。

ショットシェルに限らず底部等一部の部分を除いて樹脂製であったり、雷管を除いて完全な樹脂製になるなど、非金属薬莢の開発が進んでいる。

排莢

発砲操作後の空薬莢(不発であれば空ではないが)を薬室から取り出す作業。

基本的に「エジェクター(イジェクター)」と呼ばれる爪やアームがリムに引っかかることによって取り出される。

また初期のリボルバーやリボルバーカノンなどのように、棒状のエジェクターが薬室に直接突き込まれることで排莢を行うものもある。

との照合

発射された弾丸と発射した銃の照合はライフルマーク(旋条痕)で行うことはドラマなどで広く知られている。

しかし薬莢と発射した銃の照合も行うことができる。

弾丸の発射には薬莢の雷管に撃針による打撃を与えることが不可欠であり、撃針によって雷管部に刻まれる痕跡(撃針痕)はライフルマークと同じく銃によって固有のものである。

よって、撃針痕を照合することによりどの銃で発射された薬莢かを判別することが可能なのである。

また、発射時の圧力による薬莢の変形によって薬室の形状となるため、変形の違いによって使われた銃身を絞り込むこともできる。

ボトルネックのある薬莢の場合、用途によって角度の違うショルダー(絞り)や射撃後の変形により銃の種類を絞り込むことも出来る。

自衛隊では

有名なことであるが、自衛隊においては使用済みの薬莢をすべて回収する

これは薬莢を敵勢力に回収されて再利用されることを防ぐほか、発射した数と薬莢の数を照合することで弾薬の管理を徹底するという目的がある。

事実、以前訓練後に濡れた野戦服をストーブで乾かしていたところ、野戦服に紛れ込んでいた弾薬が加熱されて暴発したという事故があった。

そのため、自衛隊が装備する火器には薬莢受けが装備されたり、を用いて排莢された薬莢を受け止めたりする。

薬莢受け自体は室内戦での薬莢の散乱による事故を防いだり、回収され再利用、残す事での存在を示す等を防ぐために付ける事は珍しくない。

網での回収は競技練習では珍しくはなく、拳銃用のカートキャッチャーなど様々な商品が出ている。(回収後に再利用するため)

薬莢がないもの

戦車などの砲においても、ほとんどは銃器の弾薬をそのまま拡大したような『弾丸』『薬莢』『火薬』『雷管』がセットになった弾薬を用いる。

しかし戦艦の主砲などは薬莢が存在せず、火薬を詰めた巨大な袋を砲身に詰めて用いる。

また個人携行火器についても、装薬を固めて弾丸と雷管を固定した無薬莢弾薬(ケースレス弾)というものがある。

もっとも、火器の内部に火薬が直接接触するため暴発の危険性が高い、薬莢による放熱効果がないため熱が篭りやすいなどの問題が多く、無薬莢弾薬はほとんど実用化されていない。

燃え尽きる焼尽薬莢というものもあるが、現在の技術では薬莢の基底部は金属製のために完全に燃え尽きず、無薬莢同様に扱えるものは無い。

火縄銃において

火縄銃では弾丸と火薬をそれぞれ別個に銃口から装填するため、薬莢はない。

だが『弾丸と装薬を一体にしておく』役割のものは存在した。

『早合(はやごう)』と呼ばれるものがそれで、紙の筒の中に規定量の火薬と弾丸をまとめて入れておく。

使用に際しては早合の端部を破って火薬から弾丸の順で火縄銃に注ぎ入れ、朔杖で突き固めることにより、火薬の量を測ったり弾丸を取り出す手間をかけずに装填が可能になる。

なお、火縄銃は連続使用することで熱によって銃身が膨張していくので、後に使用するものになるにつれて小ぶりにしていくという工夫もあった。

西洋でもペーパーカートリッジと呼ばれる同様のものがあり、名前のとおり火薬と弾が紙で包まれたものとなっている。

よくある間違い

少女漫画など、火器についての知識が乏しい作者はしばしば銃から薬莢が付いたまま、つまり『弾丸』ではなく『弾薬』のまま発射される描写をすることがある。

これは火器の作動原理上あり得ないことであり、正しくは薬莢の先端についている弾丸だけが発射されるのである。

さらに言うと、多くの銃火器には銃身内部にライフリングという弾丸を回転させることで軌道を安定させるための螺旋状の凹凸が刻まれており、それによって弾丸の側面にはライフルマークが刻まれる。

素のままの弾の雷管を叩き、発射した場合でも銃から撃ち出した場合と同様の弾道特性を示すということは無い。

余談

当然ながら射撃直後の金属薬莢は非常に熱く、背中等に入ることで軽いとはいえ火傷をしてしまう。

排出された薬莢が隣で撃っていた人の背中に入る、射手自身の胸元から入るなどが起きている。

珍しい例では排出された薬莢がすぐ傍の防護壁で跳ね返り、アイウェアとの間に挟まり眉毛がこげたという事例もある。

第二次世界大戦で、戦車兵は戦車の空薬莢にトイレをしたことがある。

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