CV:井上喜久子
人物像
米国連邦聖遺物研究機関「F.I.S」に所属していた老技術者。
同時に武装勢力「フィーネ」の、事実上のトップでもある。
実験中の事故で下半身に麻痺を負っており、普段は車椅子に乗って生活している。また何らかの病を患っており、度々吐血する姿が見られる。
かつてはマリア・カデンツァヴナ・イヴら「レセプターチルドレン」を観察する立場であったが、彼女らに対する愛情は深く、実の孫のように見守っている。
マリア達も同様に、彼女に対して全幅の信頼を寄せており、「マム」と呼んで慕っている。
一方で、世界を相手にした過酷な使命を達するために、敢えて彼女達に厳しく接することも多い。
F.I.Sでは聖遺物研究を専門としていたが、米国の隠匿していた不都合な事実――すなわち「月の落下」を公表し、無辜の命を救うため、同機関を出奔。
同時に、「新生フィーネ」として覚醒したマリアという研究成果を示すことで、生化学の専門家であるウェル博士を組織に引き込み、武装勢力「フィーネ」を結成した(実際にはマリアの身体には、フィーネの魂は宿されておらず、ウェル博士に対する交渉材料としての詐称である)。
その後、マリアの出演する音楽ステージ「QUEENS of MUSIC」に乗じて、ライブステージを占拠。活動拠点としての国土割譲を要求すると同時に、計画実行に必要な完全聖遺物「ネフィリム」の起動と、月落下の事実の公表を目論む。
しかし、ネフィリムの起動には成功したものの、特異災害対策機動部二課のシンフォギア装者達の予想外の奮闘と、緒川慎次の妨害工作により、彼女らは中途半端な形での撤退を余儀なくされる。
その後も、本物の装者と「インチキ装者」の戦力差や、ウェル博士の強引な作戦展開などにより、武装勢力「フィーネ」は敗走を繰り返すことになった。
そして、無理な絶唱を強いられた月読調と暁切歌の姿を見たことで、ナスターシャは「自分の考えが間違っていた」と判断。
これ以上マリア達を巻き込むわけにはいかないと、米国政府との講和により、月の落下に対処することを決意する。
しかし、この決断はウェル博士の逆鱗に触れ、ナスターシャは彼に指揮権を剥奪されることになってしまった。
ウェル博士がフロンティア浮上に成功し、月を地球に引き寄せて以降、彼女は月落下阻止の方法を、密かに模索し続けていた。
そして、シンフォギアのフォニックゲインを届ければ、カストディアンの装置たる月の機能を回復し、正常な公転軌道に戻すことができると仮定。その時唯一戦闘に参加していなかったマリアに通信を送り、全ての希望を彼女に託す。
しかし、この件がウェル博士に露見すると、彼女は遂に「粛清」の対象と見なされてしまい、管理ブロックごと月に射出・衝突させられてしまった。
ライブステージ占拠作戦について
ライブステージ占拠作戦は、ネフィリム起動以外の表面的な成果を得られなかったと見られがちだが、実は間接的とはいえ、ある成果を得ることに成功している。
マリアが「フィーネ」を名乗ったことによって、レセプターチルドレンの生き残りがいることを悟った米国政府が、他のレセプターチルドレンを保護する方向に傾いたのである。
当初、フィーネの魂を受け止められなかったレセプターチルドレン達は、実験の失敗作として、秘密裏に廃棄処分される予定だった。
しかし、マリア達の存在を通じて、その事実が明るみになる危険性を察知した米国は、国際社会からの批難を恐れて方針を転換。彼らは解放・保護という名目で、処分を免れ救出されることになる。
ナスターシャがこのことを意図していたかは定かではないが、マリア達の行動は、1つの「不都合な真実」を暴き、いくらかの「無辜の命」を救うことに成功していたのだ。
補足
ナスターシャという名前は、一般にアナスタシアという名前の愛称として用いられる。
このアナスタシアという名前だが、金子彰史氏の過去作・「ワイルドアームズ セカンドイグニッション」には、アナスタシア・ルン・ヴァレリアというキャラクターが存在している。
更に同作には、アナスタシアの友人として、マリアベル・アーミティッジというキャラクターが登場する。
ナスターシャを支えるマリアが、マリアベルに似た名前を名付けられたことには、何らかの意図があったのかもしれない。
ちなみにナスターシャの車椅子は、F.I.Sの技術の粋を集めて作られた、彼女専用の「万能椅子」である。
彼女が病体であったためか、その機能はほとんど披露されなかったが、その気になれば時速80kmで爆走することも可能であるらしい。
ちなみに、8話まで使用していたものが基本形の《Technical_1》、9話から使われ始めたものが出力特化型の《Powerful_2》である。
恐らくネーミングの由来は、「技の1号・力の2号」と思われる。