「ぼくにはベルトーチカとお腹の赤ちゃんがいる。これは絶対的な力だ」
概要
当初『劇場版:機動戦士ガンダム 逆襲のシャア』として書き上げた映画シナリオの第1稿は、内部での審査時に「アニメーション映画の主人公が妻子持ちになるのはどうか?」という批判を受けて改訂が行われた。
本来は発表されない第1稿であるが、モチーフ小説『機動戦士ガンダム 逆襲のシャア ベルトーチカ・チルドレン』として角川スニーカー文庫より刊行されている。本書の後書きには「ロボットアニメのストーリーの結末が、ロボットの否定であってはならない」というスポンサーからの抗議によって、結末のディテールが変更されるなど、映画化における顛末の一部が記述されている。本書においては、ストーリーの大筋は映画版の展開をなぞるものの、一部の設定や登場キャラクターの変更など、よりシナリオ第1稿に近い構成が採られている。特にテレビシリーズ『機動戦士Ζガンダム』の続編であることが、より明確に伝わる内容となっている。内容的にも、クェス・パラヤがハサウェイの誤射により死亡するなど、ストーリーに影響を及ぼす変更があり、後の小説『機動戦士ガンダム 閃光のハサウェイ』は、こちらの作品の歴史を引き継ぐものとなっている。
ベルトーチカ・チルドレンの口絵は出渕裕による描き下ろしだが、νガンダムのデザインにアレンジが施されており、後に「Hi-νガンダム」と呼ばれゲームに登場したり、模型化されるなど独自の人気を得た。またサザビーに代わるシャア専用MSナイチンゲールが登場し、こちらも人気を得ている。
なお角川書店が一時期展開した角川カセット文庫には本作のサウンドドラマ版がラインナップされた。ベルトーチカが登場するためクェスの声が川村万梨阿から荘真由美に変更されているなどキャスティングが一部異なっている他、音楽も増田俊郎の手によってこのカセット文庫版用に書き下ろされている。
富野由悠季(著)、角川書店〈角川文庫〉、全1冊。
劇場版との差異
- アムロとベルトーチカが順調に交際を進めており、同棲中。懐妊までしている。(副題「ベルトーチカチルドレン」はベルトーチカのお腹の子を指している)
- チェーン・アギが登場しない(元々ベルトーチカの役割だったものを劇場版にするにあたって彼女が引き継いだ為)
- 登場人物の名前が違う。(人物そのものは同一であり、ただ名前が違うだけ)
- 登場するMSなどの名前が違う。(↑上記に同じく)
- クェスがハサウェイの誤射により戦死。
- クライマックスシーンでのサイコフレームの共振の動機がベルトーチカのお腹の子。
- チェーンと違い、ベルトーチカは生還している。
などが挙げられる。