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ゾンビ

ぞんび

ゾンビ(Zombie)とは、生ける屍のこと。主にホラー、もしくはファンタジーものに登場する怪物。
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概要

 主に創作作品などでは「無差別に人間を襲う腐敗した死体」として描かれることが多いが、本来は西アフリカやカリブの民間信仰(ヴードゥーまたはブードゥー)の司祭によって呪術で蘇らされた「奴隷化された死体」を指す。(ゾンビのモンスター化については後述)

西アフリカ・カリブの民間伝承としてのゾンビ

 ゾンビの起源は西アフリカの民間信仰(ブードゥー教)である。確認できる限りでの大本のゾンビのアイデアは、死者から抜け出たばかりの魂を司祭(ボゴール)が捕獲して容器に詰めておくことで、持ち主の霊力を高め、また魂を通じて死体を使役できるようになる、というものである(持ち主の霊力を高めるお守りというアイデアは西アフリカには広くあり、アルビノの人の身体の一部もそういったもののひとつで、お守りのためにアルビノが殺されることが多く社会問題ともなっている)。ゾンビの語源はコンゴ語族の言語に広く見られる単語「ンザンビ」(神)であると考えられている。

 西アフリカの人々が奴隷としてアメリカ大陸に連れ去られたことで、アメリカ大陸、特にハイチなど黒人比率が高かったカリブの島でブードゥーは継続された。カリブの島々はアメリカとの接触が多かったため、この地域でのヴードゥーは好奇と研究の対象となり、この過程で様々な伝説や設定が付与されていった。この中でも1980年代に植物学者ウェイド・デイビスが発表した「フグ毒やチョウセンアサガオ毒などの神経毒を用いて意識を混濁させられた囚人がゾンビの正体」というものは有名となった(ただし、これらの神経毒は死なない限り長くて数日で抜けるため、長期にわたって存続する元々のゾンビ伝承とは合わない)。もう一つの有名な伝承としては、死体をゾンビ化されないために埋葬直後は遺族が墓守をする、わざと死体を損壊するといったことが伝えられている。

創作におけるゾンビ

 ゾンビをモチーフとしたサブカルチャー作品は1930年代からあり、ホラー映画の一つの題材として使われ続けた。その描写はブードゥーにおけるゾンビのように使役される怪物としてのものが多かったが、古い時代から「墓場から際限なく湧いてきて街を埋め尽くすモブキャラモンスター」という登場のさせ方もあった。「墓場から復活するモブ怪物」というモチーフは、例えばマイケル・ジャクソンスリラー」のPVでも踏襲されている。

「感染するゾンビ」の創作

 ただのモブ怪物にすぎなかったゾンビは、1960年代に大きく変化することになる。その予兆となるのが小説(のちに映画化)「I am legend」である。この作品では「吸血鬼に血を吸われると吸血鬼になる」という伝説を拡大解釈し、吸血鬼を蚊の吸血によって媒介される感染症と設定、世界中の人類が吸血鬼に感染する中で感染を逃れた男の逃避行というプロットを作りだした。現代の Zombie Apocalypse と呼ばれる設定はほぼこの作品に端を発する。

 "I am legend"の吸血鬼をゾンビに置き換え、感染するゾンビとして再構築したのがジョージ・A・ロメロの「ナイト・オブ・ザ・リビング・デッド」(1968)である。この映画はかなりヒットし、最終的に3部作となった。このシリーズで「ゾンビは生肉を求め人々を襲う」「ゾンビに襲われた人もゾンビになり、最終的に世界はゾンビで埋め尽くされる」「ゾンビは死体から復活したため動きが緩慢」という、現代につながる「感染するゾンビ」の設定が確立された(ただしロメロ作品ではゾンビ発生は墓場の死体に宇宙放射線が降り注いだのが原因と設定されている)。またこのヒットに影響され、ゾンビもののB級映画が大量に作られた。しかし、これらの流行は1990年代には下火となり、1995年にはゾンビ映画はほとんど撮られなくなる。

ゲームのモブ敵から爆発的流行へ

 ゾンビもの作品の流行は一時収束したが、1996年に発売されたゲーム「バイオハザード」がヒットし再び注目を浴びる。このゲームでゾンビが(表現規制の関係もあり)ガンシューティングゲームやFPSのモブ敵として使いやすいこと、腐った死体のビジュアルや感染による世界の崩壊というモチーフが恐怖や絶望をほどよく演出してくれることが再確認され、これらのゲームジャンルの流行とともにメジャーな敵役として復活する。
 ゲームにおける流行を受け、映画ジャンルにおいてもゾンビ物が増え始め、2002年に公開されたバイオハザードの映画化と「28日後...」はともに続編が作られるヒット作となった。ゾンビ感染ものは2000年代を通じて再生産され続け、2010年には「ウォーキング・デッド」でテレビドラマに進出、2011年にはアメリカ政府機関がゾンビウイルスをモチーフにしてパンデミック時の安全確保のパンフレットを発行するなど、特定のシリーズやB級作品にとどまらない大きな広がりを見せている。

 こうした創作もので設定変更されたゾンビについては「フィクションの暴走に拠り、ハイチ島のイメージが頗る悪くなってしまった」と批判的に捉える向きもある。

創作上のゾンビ像

 上記のようなゾンビものの流行とともに、描かれるゾンビ像も多種多様となっており、Pixiv内でもその数は多数に上る。

 多いのはロメロ設定に忠実なもので、無差別に人を襲いねずみ算式に仲間を増やしていく恐ろしい怪物として描かれる。襲い方にもいくつかの種類があり、噛みついてくるものが最も多いが、爪でひっかいたりするものや、毒まみれの体液を口などから吐きつけてくるグロテスクなものもある。
 その一方で、もともとのブードゥーにおけるゾンビをもとに、自分に攻撃しない人間に対して大人しく、生前の習慣を延々と繰り返したり、茫漠とした意識のまま生きていく存在として描かれる事もあり、生前とほとんど変わらない知性と理性を持つ、人外キャラの一種として描かれる事もある。また、一部の作品ではこれらのハイブリッドと位置づけられる設定を持つものも存在する(普段は生前の行為を繰り返すだけだが、生者を見つけると積極的に襲ってくるなど)。

 生物がゾンビになる原因も様々で、呪術等で操っているものもあれば、ウイルスや細菌に感染しているものもある。ロメロ設定の場合後者が多く、バイオハザード以降の作品では、人が凶暴化する感染症として狂犬病が実在することもあってか、(人為的な遺伝子操作を施された)ウイルスや細菌であるという設定が多く、"I am legend"のリメイク版(2007)でもそのような設定に変更されている。このため、厳密にはウイルスに感染しているだけで死んでいないこともあり、場合によっては抗生物質特効薬で症状を抑えたり、治療したりできる(とされる)こともある。
 呪術で操っているゾンビの場合、呪術をやめさせたり術者を倒したり事で大抵は解ける。この場合解いてももとの死体に戻るだけであり、生き返って生前の姿に戻る事はほとんど無い。

 ゾンビの姿についても様々であり、肌が青白く変色しているものが比較的多く、体中がつぎはぎだらけになっていたり、みそや内臓骨格がむき出しになっているものも見られる。また、衣服も身体の腐敗と共にボロボロに朽ち果てており、下着の無い裸のものもある。

創作上での生態

 一般的なゾンビは、上記の通り動きが緩慢だが、大抵の場合、個体数が非常に多く、上記のように凶暴化しているため、生者を見付けると群れをなして襲い掛かる。ただし、知性を備えた個体は少なく、大体は原始的かつ物理的な方法で、生者を追いかける。
 嗅覚に関しては、自分たちの腐敗臭のために機能していないことが多いが、視覚や聴覚は生きている可能性が高く、音や光が原因で近寄ってきたり、音や光を発する道具で気を散らすことが出来るケースも多い。
 ファンタジー作品では、腐敗しているイメージからか火が苦手でよく燃えるが、ゾンビ映画などのリアル描写のゾンビの場合、痛覚が死んでいるため燃え尽きるまで動き回るケースが多く、あまり有効ではない。また、筋力や耐久力は平均的な人間以下であり、ドアを破ったり水の中を移動したりは出来るものの、スコップなどの比較的扱いやすい武器でも簡単に致命傷を与えることができ、脚力も弱いため、上方向への素早い移動を苦手とする(「苦手」なだけであり、移動する可能性はある)
。だが逆に世界観や損壊・腐敗の場所と度合いによっては、「脳の腐敗によって生前は身体に掛かっていたリミッター常に外れている」などと解釈されたことで、普通に生きている人間より遥かに強い身体能力を常時発揮して襲いかかってくることもある。
 脳、及び頭部が弱点であることが一般的であり、その部位への攻撃が有効打になることが多い。逆にそれ以外の部位(手足など)は破壊されてもなお大したダメージにならず、寧ろ痛覚や恐怖感が死んでいるため怯むこともなく襲ってくることさえある(移動速度や手段をある程度は奪えるなど、無駄にはならないケースも多いが)。

 ウィルスに感染しているものの場合、感染が進むなどして突然変異が起こり、特殊な能力や突出した身体的特徴を得るケースも多い(肥大化した腕で絶大なパンチ力を発揮、肉体が溶けたり弾力を増した等の理由から特定の攻撃への耐性や再生能力を得たりするなど)。

スラングとしてのゾンビ

 ゾンビは「動く死体」の代名詞となるほど有名になったため、「機能停止すべきであるにも関わらず活動しているもの」にゾンビと呼ばれることがままある。

  • 事実上倒産状態であるにもかかわらず何らかの都合で存続している会社を「ゾンビ企業」と呼ぶことがある。
  • コンピューターセキュリティ業界では、コンピューターウイルスに感染して乗っ取られたパソコンを「ゾンビ」と呼称していることがある。
  • 通常の手順でアンインストールや停止が出来ず、消去前に戻されたり自動再起動するようなソフトを「ゾンビ」と呼称することもある。
  • サバイバルゲームでは本来被弾したらヒットコールの後に退場となるのだが、自主申告である事を悪用して被弾を意図的に無視するものが居る。こういった行為は死んでいるのにまだ居る、動く死体である事からゾンビと呼ばれる。ヒットコールを無視して故意に過剰に撃ち込む、痛みで声を上げさせて絶対に分かるように過剰な威力で撃ち込む等、様々な問題を引き起こしている。服装や興奮した状態などにより無視する意図はなくとも気づかない事もあり、これにより参加者同士の諍いになる場合もある。
  • 議員総選挙において、小選挙区で落選するも比例区で当選した議員を、皮肉を込めて「ゾンビ議員」と呼ぶことがある。なお極めて稀にだが、そのゾンビ議員が何かしらの要因で当選が取り消された場合(当選者の急死等)、その下位にいた候補者が「ゾンビのゾンビ」で復活する場合もある。

関連イラスト

命を愛する死人
ゾンビのもよさん
死霊の罠
ゾンビ娘と髑髏



関連タグ

ブードゥー教 モンスター 死体 人形 ゾンビ化 ホラー映画

同族・類似種

アンデッド
キョンシー グール ミイラ 死人憑
スケルトン タキシム

関連作品

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ヴァンパイアシリーズ  skullgirls  お姉チャンバラ  ロリポップチェーンソー
すれちがいゾンビ

ZOMBIE-LOAN これはゾンビですか 学園黙示録 屍鬼 屍姫
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創作

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