「今日も平和で… 世界が優しくあります様に!!!」
「どれ程の民間人の血が!!!涙が流れるというのか!!!」
「この不平等な浮世にも差しのべられる正義はあると!!!」
「示すのだ!!! たとえこの荒波にこの手が!!足が!!!もがれようとも!!!」
「罪なき市民の明日は必ず私が守る!!!!」
概要
世界の均衡を司る三大勢力の一つ海軍に所属する大佐の1人。2年後編では中将に昇格した。
骨ばった痩躯と相まった異様な風貌から醸し出される陰鬱な雰囲気とは裏腹に、上下の別無く他者の幸福を第一に行動する『自己犠牲の正義』の実践者。虫に刺されてわずかの出血をした部下があると見ると、海軍から支給された大切なマントを引き裂いて止血の包帯代わりに用いるなど、「一日百善」を信念として掲げる度外視の善人。
部下として付き従う一般兵は例に漏れずその外見に薄気味悪さを覚える一方、力を持たない人々に安心の日々をもたらしたいとする熱い胸の内を知るがために深い尊敬の念を寄せている。後述のように曲がったことを許せず融通が利かない部分もあるが、そこも含めて部下から愛されている。こうした外見に見合わない正義感や優しさにあふれる性格ゆえ、読者からは「海兵の鑑」と称されることもあり、活躍は少ないものの、一部読者から根強い人気を誇るキャラクターである。
プロフィール
本名 | Tボーン |
---|---|
通称 | 船斬りTボーン |
年齢 | 51歳→享年53歳 |
身長 | 200cm |
所属 | ある王国の騎士→海軍本部大佐→少将→中将 |
覇気 | 武装色、見聞色 |
武器 | 両刃剣「バンブー」 |
出身地 | 偉大なる航路 |
誕生日 | 9月10日(ふねき(9)り、T(10)ボーン) |
星座 | おとめ座 |
血液型 | X型 |
好物 | 優しい味の精進料理 |
趣味 | 人助け |
モットー | 一日百善 |
初登場 | 単行本38巻 第356話『ロケットマン!』 |
CV | 西村知道 |
人物
外見
下官はセーラー服、上官はスーツ(尉官から正義の文字入り純白コートまたはマント支給)と比較的軽装を旨とする海軍にあって、西洋兜に肘丈のスケイルメイル、さらに割腹防止の和胴と太い荒縄から成る重装に身を包む生粋の武人。
新世界編で横にまっすぐ髭が生えている。
性格
海軍本部付の高官としては無益な殺生を好まない穏健派に位置し、平時には部下に対しても敬語を使って優しく諭す紳士的な一面を覗かせるが、いざ事に当たれば武人としての矜持を貫いて敢然と悪に立ち向かう心の持ち主。
また、生来の性格からかどうあっても曲がったことが我慢ならず、自身の背丈とほぼ同等のバスタードソード(海軍ではサーベルや刀の愛用者が多く両刃剣は珍しい部類に属する)はおろか直線・直角を描く太刀筋にすら色濃く反映されている。
戦闘能力
「竹」を意味する愛刀のバンブーを用い、海王類を簡単に切り刻むほどの優れた剣技を持ち、この腕を以って一太刀で巨大船をも梨割りにする様子からウォーターセブンのフランキー一家に「船斬り」の異名で恐れられている。その実力にはゾロも一目置いており、戦う前からゾロに「強い」と言わしめた。
- 直角閃光 “ボーン空割(ソワール)”
縦と横の内角が直角となる斬撃を放ち、対象物を正確な四角形に斬り抜く。
- 直角飛鳥 “ボーン大鳥(オオドリー)”
直角に折れる軌道を描く斬撃を放ち、直線上の対象を一直線に貫く。
活躍
過去
かつては某王国で騎士の任にあったが思う所あって海軍の門を叩き、当時の海軍大将にして練兵教官であったゼファーの下で厳しい訓練に耐えながら徐々に頭角を現す。
2年前当時は将官の地位に最も近い大佐として多くの部下を抱え、自らの信念と海軍が掲げる正義に従って「世界の平和」「民衆の幸せ」のために海賊討伐に奔走した。
第1部 サバイバルの海・超新星編
エニエス・ロビー編
エニエス・ロビー行き海列車の一件で、同じく剣の道に生きるロロノア・ゾロと対峙。お互いの奥義を繰り出して技で一歩秀でたゾロに敗北を喫するも、決して退かない胆力と己の正義を貫き通す揺るぎない心を顕わにし、当時のゾロをして「こいつは強い」と言わしめた。
マリンフォード頂上戦争編
2度目の登場であるマリンフォード頂上戦争では、わずか2コマに小さく姿が描かれただけであるため戦績の詳細は不明。
第2部 最後の海・新世界編
世界会議
世界会議に参加するため各国の王族が聖地マリージョアに集まる中、サカズキから「麦わらの一味およびトラファルガー・ローを捕縛するまで一切の海軍施設への立ち入りは許さない」と厳命を受けたはずの“藤虎”ことイッショウが姿を現した。
この一件を耳にしたサカズキはイッショウを追い返さなかったTボーンに憤慨するも、「ここ(マリージョア)に軍の敷居は無い=海軍の権威が及ぶ所ではない」というイッショウの筋目を通した反論(Tボーン曰く「完璧なる"理論武装"」)で追い返すことが出来ず、その旨をそのままサカズキに報告したことでさらに怒りを買う羽目になった。
エッグヘッド編
第1082話のチョイ見せで死亡が発覚。クロスギルドにより懸賞金が賭けられていた事が発端となり、ペペ王国にて市民に背中を刺されて死亡した事が判明した。
- 作中屈指の善人の死に、ちょい見せの段階で彼の名前が Twitter のトレンド入りをする事態となった。
- センゴクとおツルの会話では、ペペ王国の貧困が発端の一つだと示唆されているが、この会話が海軍の食堂で行われていることも皮肉的である。また、犯人や犯人の家族の特定すらできていない状況を見ると、Tボーンの暗殺に関わったり隠蔽など何らかの形で協力した市民は一人や二人どころではないと思われる。
- Tボーンの出身地は「とある王国」ということ以外は不明だが、もしペペ王国だとしたら今回の殉職はさらに悲劇的である。
- 今回は、Tボーンの殉職だからこそ大きく報じられたのであり、海兵狩りの犠牲者は他にも大勢いる可能性もある。
本編以外での活躍
ONE PIECE FILM Z
本編より一足先に少将に昇格し、劇場版アニメ第12作目『ONEPIECE FILM Z』に登場。恩師ゼファーが率いる過激組織『NEO海軍』の対策会議関係者の1人として出席した。
余談
- Tボーンの殉職やクロスギルドによる海兵狩りは、ルフィの行動が間接的に招いた悲劇を描いた珍しい事例である。当然ながら、インペルダウン事件の余波は言わずもがな。強いて言えば、マリンフォード頂上戦争で家族の所に戻ろうとしてサカズキに殺害された海兵やその他の海軍側の犠牲者、エニエス・ロビーや海軍の力が落ちたことにより発生しただろう数々の犯罪の被害者も、ルフィが関与したことによる被害者と言えるかもしれない。
- さらに恐ろしいことに、クロスギルドによる悪影響は、最終的には一般市民や海軍や海賊を問わず、ルフィの知己にも被害を与えかねない。実際、ガープやコビーやヘルメッポが現時点ですでにクロスギルドの悪影響に晒されている。
- クロスギルドは、あくまでもインペルダウン事件の弊害の一部にすぎない。インペルダウン事件で脱獄した囚人には、後の黒ひげ海賊団のクルーや革命軍のメンバーなど、世界情勢に影響を与える存在が多数いただけでなく、凶悪犯の大量出現により、触発された民衆の悪行や犯罪者が増えたり、海軍や治安組織などの力が削がれたことによる社会情勢の悪化などもあったと思われる。
- 読者目線では、義賊寄りの海賊や革命軍や麦わらの一味の味方に同情心が集まりやすいが、彼らにも以下の様に負の側面があることも事実である。「聖者でも相手にしているのか」というベン・ベックマンや「自分はヒーローになることなんか興味ない」「普通は海兵が味方で俺たちの方が悪者だよ」というルフィ自身の言葉、小説版でとある少女からの「お兄ちゃんたちは良い海賊なの?」という問いへのエースと黒ひげの返答など、これまでも「義賊寄りの海賊も決して正義のヒーローではない」という描写は散見されてきた。
- 巨大な権力とその弊害を解決するためとは言え、インペルダウン事件や頂上戦争にも加担したり、一般市民を戦闘に参加させるなど、力に訴えて世界規模で社会秩序を脅かすモンキー・D・ドラゴンと革命軍の面々
- 革命軍のために大勢の無関係な人民や動物などが虐殺された事例もあるだけでなく、クロスギルドに煽動された一般民の事情の背景には、革命軍による影響 (世情や経済の混乱と煽動された権力側への叛乱心など) も関係している可能性もある
- 巨大な権力とその弊害を解決するためとは言え、インペルダウン事件や頂上戦争にも加担したり、一般市民を戦闘に参加させるなど、力に訴えて世界規模で社会秩序を脅かすモンキー・D・ドラゴンと革命軍の面々
- 『Film RED』にてその恐ろしさが描かれた大海賊時代を生み出した張本人であり、一国の軍隊を壊滅させるなどの行動を行い、自身の意思ではないが「妊婦狩り」を誘発させたゴール・D・ロジャー
- 目的こそ不明だがロックス海賊団に所属したり、シャンクスの制止に耳を貸さずに頂上戦争に踏み切り、ひとつなぎの大秘宝の存在を流布してロジャー同様に他の海賊を焚き付け、海軍に大ダメージを与え、「息子」の一人を救うために他の大勢の「息子」などを犠牲にしたエドワード・ニューゲート
- 五老星に謁見できる立場にあることから何らかの裏があることは確実であるだけでなく、ロックスターなど「名の知れた」クルーを抱え、ミホークやバギーなどの危険人物と交流があり、傘下と言えど「海賊」を庇護しているシャンクス(これは白ひげにも言える)
- もっとも、赤髪と白ひげの場合は、傘下をどの様にコントロールし、縄張りをどのように守ってきたのかで評価が変わるとは思われる
- 以前から海兵狩りを自発的に行っていたジュラキュール・ミホーク
- 女ヶ島にて恐怖政治にも近い統治を行い、危険性ゆえに王下七武海に勧誘されるまでは海賊行為を行い、七武海になってからもモモンガを部下ごと石にしようとしたり宝を強奪したりなど、味方だった海軍にも被害を与えてきたボア・ハンコック
- 何の因果か、今回のちょい見せはこどもの日、つまりルフィの誕生日に公開されており、「ルフィが生まれたことによる影響」を暗示しているとも言えるのかもしれない。
- ただ、クロスギルドによる海兵狩りがはびこったのはこれまでの世界政府の行状により、市民からの信頼がとうに消え失せていたというのがより大きな原因である。海賊の対策で海軍が多忙になったからと言って、必ずしも市民が政府を見限ることにはつながらない。逆に、海兵狩りが起きているというのはそれを是とする層が社会に広まっているからに他ならない。
- 世界政府は加盟国には「天上金」に代表される重税をたとえその国が滅んででも搾取し、非加盟国には「人権がない」「七武海による略奪対象に認定」という扱いをしてきた。そうした世界政府への反発意識が内外問わず高まっていたが故に、海兵狩りが現実のものとなったのである。もちろんこれはルフィとは関係のない話である。
- 世界政府の権威が落ちた一つに「ドフラミンゴ七武海失脚の公報を『誤報』で済ませた」ことも一因であろう(しかもドフラミンゴは直後に本当に失脚し、誤報すら誤りとなった)。LEVEL6囚人の脱獄も表向きは隠蔽したが、かつて投獄されたはずの大海賊が(ティーチの解放により)活動を開始したのを見れば、政府がウソをついたとバレて当然である。しかも政府としてはこの脱獄海賊にもいずれ懸賞金は掛けざるを得ない=脱獄事件を認めざるを得ない。世界政府自身が政府の信用を毀損する真似をしてきたのだ。
- そもそもこの世界は、ルフィやロジャーが生まれる前から海賊がはびこり、実力が物を言う弱肉強食の舞台だったことが描かれている。クロスギルドの結成や海兵狩り、そしてTボーンの死に、ルフィたちの影響は確かにあるが、それは数ある原因の一つに過ぎないとさえ言える。
- 尾田栄一郎氏は『るろうに剣心』の作者である和月伸宏氏のアシスタントを経験しており、主人公の行動による直接的・間接的な犠牲者を描いている点で似ている。また、主人公とその相棒が徒手格闘で戦うのか剣術を使うのか、権力に与するのかどうか、主人公が己の戦闘能力によって寿命を縮める描写がある、など、両作品で共通していたり対照的になっている項目も少なくない。
- 後述の(中の人が同じである)パンズフライは、餓えに苦しむ市民を救うために持てる強者(海軍や政府関係者)から食料を強奪するアニメオリジナルの海賊であり、結果的にTボーンとは真逆の役回りとなっている。
関連イラスト
関連タグ
ハンニャバル:Tボーンと同じく「死」を連想させる姿ながら「力を持たない市民を守る」という正義心の持ち主。インペルダウンにて彼がルフィたちに切った啖呵が、他ならない市民の手によるTボーンの死という凄惨な形で返ってくることとなった。
バスティーユ:Tボーン同様、「○○斬り」という異名を持つ海軍中将。
ブルック:詳細不明の王国に所属していた騎士、骸骨をモチーフとしたデザイン、外見のために気味悪がられる場面がある、剣士ながら癖のある長毛を持つ、ゾロを認めさせた実力者である、西洋刀を得物にする、刺突や直線的な斬撃が特徴的で技名にフランス語を用いている、死亡したキャラクターである、などの共通点がある。