概要
本作の主人公。帝都で探索者(ハンター)として暮らす青年。年齢は作中の描写から20歳前後。
帝都で3人しかいない認定レベル8のハンターで、『千変万化』の二つ名を持つ。
見た目こそ黒髪中背の平凡な青年だが、『千の試練』と呼ばれる過酷な試練を仲間に課して若手最強格のパーティ『嘆きの亡霊(ストレンジ・グリーフ)』を育て上げ、更には新進気鋭のクラン『始まりの足跡(ファースト・ステップ)』のクランマスターでもあるという、まさに若手最強ハンターと呼ぶべき人物……。
人物
以下、本作のネタバレを含みます。
あー……ゲロ吐きそう
そんな彼の実態は最強のハンターと誤解されたまま評判が独り歩きしてしまった凡人。
幼い頃に最強の「レベル10ハンター」を夢見て幼馴染たちとパーティ『嘆きの亡霊』を結成するが、冒険をはじめて早々に自分と幼馴染たちとの絶望的な才能の差に気づいてしまう。
このままでは仲間たちの足を引っ張るばかりか、いつか自分のために彼らを死なせることになる。それを危惧した彼は引退を申し出るのだが、話を聞かない幼馴染たちに何故かリーダーにされてしまい、自分の代わりのメンバーを見つけるべくクランを作るも、発起人としてクランマスターまで引き受けることに。
レベル8という高い認定レベルも、パーティおよびクランの功績の一部がリーダーに加算されるというシステムによる部分が大きい。
『千変万化』という大仰な二つ名も、「何をしているかわからないが『嘆きの亡霊』のリーダーだからすごいに違いない」という経緯で付けられたもの。
現在では実力に見合わない立場と、立場ゆえに降りかかってくる面倒ごとにすっかり辟易しており、ハンター活動はおろかクランの運営も仲間に丸投げし、趣味の宝具を眺めたり甘味巡りをする自堕落な生活を行っている。
ハンターとしての能力
ハンターとしての才能は皆無であり、戦闘力は一般人と大差ないレベル。彼のように強そうに見える等ということもなく、初対面の相手からは例外なく「弱そう」「覇気がない」と評されている。
一応宝具の扱いに慣れていることと、ハンターのわりに温厚で争いごとを好まないこと(自称)が長所。
とはいえ、前者はクライ本人の貧弱な戦闘力を補えるほどではなく、後者も仲間が凶暴すぎたり、本人は本人で無自覚に他人を煽って怒らせる天才だったりで、あまり役に立っているとは言い難い。
そんな彼の唯一にして最大の武器がその悪運の強さ。
いくつか例をあげると、
- 宝物殿(所謂ダンジョン)で道に迷うが、結果的に要救助者を偶然発見
- 「ピクニック行こうぜ!一応フル装備でね」と言ってパーティ総出で出かけたら目の前で超難関宝物殿発生(普通は「いつの間にか出来ている」もので発生の瞬間に立ち会うというのは奇跡レベル)
- 遠征中に宝物殿に飲み込まれるが、結果的に部隊に潜んでいた裏切り者の排除に成功。
- うっかり破壊兵器を起動しかけるが、結果的に敵対する犯罪結社に罪を着せて国を味方につける。
- こうした数々の不幸に巻き込まれた結果、仲間が飛躍的に成長をとげる。
といった具合。
そのほとんどは偶然の産物であり、本人は解決まで事態を何一つ理解していないどころか、クライ自身の軽率な行動が原因で問題が大きくなっていることも多いのだが、結果的に全てが丸く収まることもあり、周りからは「緻密な計算により狙った結果を手にする稀代の策士」「あいつには未来が見えている」「秘密主義」と見られることに。
また、どういうわけか彼が仲間や傘下に振る任務はその悉くが様々なイレギュラーが乱舞する凄まじい超難関になっており、彼を神聖視するティノ・シェイドですら「ますたぁは死ぬ限界ギリギリを見定めている」「スパルタも大概にしてほしい」と溢すほどもので、「彼が何か仕事を振ってくる=一歩間違えたら死ぬ」が共通認識となっている(一応全部が全部そうというわけではないが)
逆に言えば死ぬ気で突破すれば得難い経験と成長に繋がるためこの無茶振りは「千の試練」と称されている(更に言うとこれもまたどう言うわけか「絶対にどうにもならない事態に陥る」ことはほぼなく、なったとしても、偶然が重なって「嘆きの亡霊メンバーの誰かが気まぐれなどの理由で駆け付けてなんとかする」ため失敗している描写がなく、そういった偶然も「全てを掌の上で転がしている」という風評に繋がっている)
加えて、当人は周囲に積極的に自分の弱さをアピールしているものの、
- 不運への慣れから来る危機感のない態度。
- 具体的な事態を理解していない故の曖昧な物言い。
- 上述した宝具の扱いの上手さは自前
- 一応コレに関しては結構非凡な才を見せている。特に序盤に見せた「魔剣(魔法剣)に足で軽く触れただけで炎を吹き出させ派手に演出しつつ周りに被害を出さない」というパフォーマンスは強力な宝具ほど扱いも難しく上記の魔剣「煉獄剣」などはそれ頼りですらある程度のレベルまで行けてしまうほどの物であるため「初見で柄さえ握らず足で触れただけで効果を使う」というのは実際かなりヤバい行いである。逆に言えば「非凡止まり」とも言え、彼の活躍の殆どは「一流魔法職がフラフラになる程の魔力を使用してようやく一つ満タンにチャージ出来、魔力の扱いに秀でた精霊人(ノウブル)でも十数個でフラフラになるほどのクソ燃費の宝具をダース単位で併用」して(嫌々)行っているものである。
- ちなみに上記のチャージはリィズですら3個目でフラフラになるレベルのクソ燃費であり、本来はメイン魔導士のルシアが(何百個もの宝具を)全て行っている(逆説的に言えば盗賊であるリィズですら並の魔法職の3倍、ルシアに至っては精霊人と比較してすら何十倍にもあたる魔力を持っていることになる)
等々が認定レベルの高さもあって余裕の表れと深読みされやすく、かえって誤解を大きくする要因となっている。