テレビアニメ「ベムベムハンターこてんぐテン丸」の原作にあたる、かぶと虫太郎による漫画である。コミックボンボンにて1982年8月号から、アニメ版に合わせた改題を経て1984年5月号まで連載された。改題後のタイトルの方が一般に通りがよいため、本作品全般の説明はそちらの項目に譲るとして、本項では改題前後の変化などを記すこととする。
アニメ版との最大の違いは主人公の名前がテン丸ではなく天坊であることで、アニメ版の放送開始にタイミングを合わせ、作中で天坊からテン丸へと改名(天狗族は成長に合わせて生涯で三回改名を行う設定である)、それにより作品タイトルもアニメ版と同じ「ベムベムハンターこてんぐテン丸」に改められた。単行本一巻あたり6ヶ月分を収録するのに対し、タイトルが「ベムベムハンター」だった期間(連載開始からアニメ放送開始までの期間)は9ヶ月であり、そのままでは第一巻は「ベムベムハンター」になってしまうところだが、上記の改名エピソードの回を収録順を入れ替えて第一巻ラストにもってくることで、単行本でもタイトルは第一巻から「ベムベムハンターこてんぐテン丸」になっている。今日では原作版を指す際でも『~こてんぐテン丸』のタイトルを使用するのが一般的である。
(ちなみに本来の順番だと、単行本2巻収録の「音楽妖怪,ザ=ボンボコバンドの巻」と「氷の精,クリスタルの巻」が改題前のエピソードである。)
ただし、アニメ版に合わせた原作版の改装はタイトルだけに止まらず、一部設定の簡略化や、主人公が従来以上にお調子者に描かれている、「ウォンチット」「~ちょんぱ」等の本作独特のフレーズの使用(語尾に「~プリン」と付けるニーナ姫もアニメ開始後のキャラクターである)など、アニメ開始前とは人物の印象や作品の雰囲気が変わってしまった部分も見受けられる。そのため、アニメ開始前の原作版をそれ以降と区別する意図であえて「ベムベムハンター」と呼ぶ向きもある。
妖怪退治まんがとしては珍しい、すべて横文字のタイトル。ベムとは20世紀前半のスペースオペラ全盛期によく見られた宇宙怪獣のことで、虫のような目をもつデザインが多用されたことから Bug Eyed Monster、略してBEMである。
本作が連載された1980年代当時、妖怪と言えば日本古来の伝承に基づく古風な存在というイメージが大きかった(口裂け女や首なしライダー等の現代的な怪異はまだ妖怪とは別のものと認識されていた)。それに対して本作における妖怪の設定は、実は異次元からの来訪者であり、こちらの世界以上に発達した文明を持つ現代的な存在というもので、「ベムベムハンター」という英語タイトルはその今風な(と言っても1982年の「今風」だが)イメージを表すものだった。