機体概要
一年戦争末期に於いてジオンはニュータイプ専用機としてブラウ・ブロを開発したが、ニュータイプ専用機として開発されてはいたものの、砲手と操縦士の二名が搭乗すれば一般兵士にも操縦可能な不完全なものであった。
本機は、ブラウ・ブロの設計思想を推し進め、完全なニュータイプ専用機を目指して開発された機体である。
サイコミュシステムを用いて機体本体と機体内部に搭載する浮遊砲台「ビット」を制御するが、それらは基本的にパイロットの感応波によって操作される為、コクピット内部は必要最低限の操縦機器が配されている程度であり、そのほとんどはコンソール類である。また、高Gによるパイロットへの負荷を軽減するため、機体前部に配置されたコクピットには高性能の緩衝装置が設けられている。
対弾性を向上させる為、コックピットブロックは装甲板で覆われており、また姿勢制御用のスラスター類は、三基のバーニアを有する左右エンジンユニットが確認できるのみとなっている。
姿勢制御用スラスターやAMBAC作動肢を持たない為、姿勢制御は機体内部のジャイロで行うとされる。
欠点として、ビット運用の際にパイロットがビットのコントロールに集中する必要があり、その間機体が無防備になってしまうという点が挙げられ、実戦ではこれを克服する為に護衛機を随伴させるケースも多かった。
機体は4機製造されており、1号機はララァ・スン、2号機はクスコ・アル、3号機は白く塗装されハマーン・カーンが、4号機は赤く塗装されセレイン・イクスペリが搭乗したとなっている(しかし、MSVでは2号機にララァが3号機にクスコが搭乗したとなっている)。
本機のコンセプトやシステムはその完成度の高さからニュータイプ専用機のスタンダードとなり、特にアクシズの開発したキュベレイは本機の後継機種とも言える存在である。
メガ粒子砲
本機唯一の固定火器。
長距離射撃用の武装だが、本機がビットの運用に特化した機体であるということもあり、予備武装的な意味合いが強い
ビット
本機が運用するオールレンジ兵装。
ブラウ・ブロやジオングといった同時期に開発されたニュータイプ専用機のオールレンジ兵装が有線式であったのに対して、本機のそれはミノフスキー粒子を用いたミノフスキー通信による無線制御を可能としている。
機体後部から射出され、一基のメインバーニアと無数の姿勢制御スラスターによって高い機動性を発揮し、搭載された小型ジェネレーターによってメガ粒子砲をドライブさせる。
これによって本機は長距離からの攻撃もしくは攻撃対象に対して予期せぬ方向からの攻撃を可能とした。
また、ビットにはモノアイが搭載されており、捉えた敵機の映像をサイコミュを介してパイロットに伝達する機能も備えている。
調整によって長距離・広範囲でのビット運用も可能だが、そちらはパイロットに負担が掛かり過ぎるという欠点も存在する。
後のキュベレイに搭載されたファンネルはこれをベースとして発展させた物であり、同機がエルメスの後継機たる所以となっている。
余談
ガンプラは当初エルメスの名称で販売されていたが、ブランド・メーカーのエルメスとの商標上の関係から問題が発生した結果、それ以降商品化の際にはララァ・スン専用モビルアーマーの商品名が用いられている。
なお、全長は84.5m、重量は163t。小説版では28mとかなり小ぶりになっているが、TVで確認するとそのくらいに見えるシーンも多い。
また、「アムロ」繋がりということなのか、安室奈美恵のアルバム『PAST < FUTURE』の収録曲「Defend Love」では安室奈美恵専用エルメスが登場している。なぜかピンク。ジオン軍の女性兵士に扮した安室奈美恵がこれを駆り、ガンダムと戦うという話である。