概要
小説家・夏目漱石が英語教師をしていたとき、生徒が " I love you " の一文を「我君を愛す」と訳したのを聞き、「日本人はそんなことを言わない。月が綺麗ですね、とでもしておきなさい」と言ったとされる逸話から。
漱石の感性や人間性を説明するためによく引き合いに出される。
また、同じく小説家の二葉亭四迷はロシア文学を翻訳した際、腕にキスして抱き寄せるというロマンチックなアプローチに対して女性が " Ваша… " =「yours(あなたに委ねます)」と囁いたシーンを「死んでもいいわ」と訳しており、しばしばこの「月が綺麗ですね」と「死んでもいいわ」はセットで使われる。
解説とか余談とか
都市伝説的な逸話であり、正式な記録や著作に残っているものではない。一説では後世の創作ともされる。
漱石ないしはこれを吹聴したものの意図を汲むならば、「日本人は奥手で、ストレートに『愛しています』だとか言わないから、なんか適当にロマンチックなこと言わせとけ」といったところだろう。もしくは「漱石はひねくれものだから、普通の訳では満点はやらんだろう」ということかもしれない。
なお個人的な解釈を申し上げておけば「月が綺麗ですね」とは「貴方と今宵を共にしたい(共にできて幸せである)」という意味ではなかろうかと・・・
洋の東西を問わずロマンチックなシーンの定番である「月」を持ち出したのが、留学経験のある漱石らしい題材といえるかもしれない(ヨーロッパでは同時に狂気の象徴でもあったりするのはナイショだ)。
文学少年少女の間で洒落た告白の文句として使われていたら素敵だと思う。
関連イラスト
元の逸話以外にも、「単純に月が綺麗な作品」「登場人物の気を惹きたい作品」等にも付けられる。