CV:堀江由衣
概要
『映画ハピネスチャージプリキュア!人形の国のバレリーナ』に登場するバレリーナ人形。
めぐみと似た感じの明るく優しく元気な女の子で、踊るのが大好き。ドール王国ではプリキュアたちの案内役を務めた。
プリキュアたちを歓待する舞踏会ではバレエの演技を見せていた。
関連タグ
正体
以下は、物語のネタバレを含みます。
つむぎは実は人形ではなく、人間の少女である。年齢については公開されてないが、めぐみたちよりも年下の様子で、小学生高学年くらいだと思われる。ドール王国では「自分をモデルにしたバレリーナ人形」の姿をとるため、本当のつむぎよりも若干大人びた外見となっている。
バレリーナを目指して幼いころから日々練習を積んでいたのだが、ある日突然、足が動かなくなる病にかかる。それは全く未知の病で、つむぎはそれでもへこたれず、いつかもう一度踊れるようにあらゆる治療とリハビリに耐えた。快気を信じて友人たちも応援してくれた。
しかし何をどんだけやっても足はピクリとも動かない。バレエどころか日常生活さえままならなくなり、友人たちもつむぎがもう人生積んでしまっていると理解してからは次第に疎遠になる。
そして、つむぎは自室から出てこなくなり、心の殻に閉じこもって人形だけを友にするようになった。
そんなある日、部屋でニュース番組『プリキュアウィークリー』を見ていると、サイアークを見事退治して増子美代のヒーローインタビューを受けるキュアラブリーが映っていた。明るいピンク色のコスチュームに身を包むそのスーパーヒロインは、とびきりの明るい笑顔で「みんなを幸せにするために戦う」と無邪気に語っていた。つむぎはそれを暗く冷たい瞳で見つめる。プリキュアが怪物を倒して世界が平和になったところで自分の絶望は何ら変わらない。あのお姉さんは本当に救われない不幸な人間がいることをどこまで理解できているのだろうか? そこからつむぎはキュアラブリーを「できもしないことを口にする無責任な人」として不快感を持つようになる。そんな彼女の心の闇を幻影帝国のブラックファングが利用した。
つむぎの前に現れたブラックファングは、彼女だけの楽園「ドール王国」を与えた。そこは次元の狭間の中にある異空間だが、そこの中ではつむぎは足が自由に動き、好きに踊れることができる。さらにブラックファングはつむぎが望んだ通りのものを王国に次々と作り出していった。その王国はおとぎ話に出てくるような夢の国の風景となり、さらにはつむぎがさみしくないように、人形たちに命を与えて王国の住人とした。つむぎはこの王国に夢中になった。
だがそれは同時に、王国の中での理想の自分と、現実でのみじめな自分とのギャップを否応なく感じさせるものであり、つむぎが王国にのめりこむことに比例するように現実に対する絶望を加速させていった。しかし、そのつむぎの不幸と絶望こそが、ドール王国を形作るエネルギー源だったのである。つむぎは光あふれるドール王国にいつまでもいつづけるために、心を闇に染め続ける必要があるのだ。
つむぎが夢の王国への依存しきったとみなしたブラックファングは次に、「正義の味方であるプリキュアは、いつか悪者である私を倒してこの王国を滅ぼすかも知れない」と囁く。当然、つむぎはそれをさせまいとして、ブラックファングの考えたプリキュア殲滅計画に協力することになる。ターゲットにするのはハピネスチャージプリキュア。あのキュアラブリーに本当の不幸というものをみせつけてやるために。
被害者を装いプリキュアに接触。王国を助けてくれるように頼んでプリキュアたちをこの世界におびき寄せた。最初は信用させるために舞踏会などを開いて歓迎したが、油断したところにサイアークの群をけしかける。
つむぎの心の闇からできたドール王国では、つむぎは無限に等しい力を得る。自分自身の絶望を糧に王国内にサイアークを無限に作り出し、また、王国民である人形たちも彼女のためにプリキュアたちに襲い掛かった。さっきまで友好的だったファンシーな人形たちはサイアークとともに襲い掛かることにプリキュアたちは困惑し、次第に追い詰められる。そしてつむぎはキュアラブリーの心を折るために、すべては自分があなたたちを倒すために仕組んだことだと邪悪な笑みで宣言。幻影帝国が与えた力は私を救ってくれるが、プリキュアの愛では私は救われないと語り、めぐみに無力感をつきつけた。
深く落ち込んだめぐみだが、他人に迷惑をかけようが嫌がられようが拒否されようが、人助けをやめられないのが愛乃めぐみである。幸福であるめぐみはやはりつむぎの不幸を本質的には理解できないことを悟りつつ、それでも自分がつむぎを助けたいから助けるというワガママを貫き、つむぎをブラックファングの手から取り戻すために再戦を行う。
一方、つむぎも自分の不幸で自分だけの世界に閉じこもるだけならまだしも、他人であるめぐみたちを傷つけたことにはある種の後悔を見せていた。めぐみはそんなつむぎの様子を見逃さず、つむぎは本当は優しい子なんだとして説得を試みる。つむぎはめぐみの必死な言葉に流されるが、それは同時につむぎが自分がやったことに対して罪悪感を芽生えさせることであった。
めぐみの前向きな言葉は、逆につむぎを追い詰めてしまうという最悪な展開となり、つむぎは自身に対してより絶望し、自分の力をコントロールできなくなる。そして、ブラックファングはそんなつむぎを繭にとじこめる。繭の中ではつむぎは、今まで自分が送ってきた人生と、今までやってきたことを悪夢として反復してみせられ、自分に対して絶望を加速させる。つむぎの繭からは不幸のエネルギーが具現化した「不幸の糸」が無尽蔵に紡ぎだされ、それはクモの巣のように地球全土を覆っていく。
これこそが、ブラックファングの最終的な計画だった。つむぎの足を動かなくしたのはもともとブラックファングである。彼女を闇堕ちさせて外の世界に絶望させたうえ、そんな彼女に罪悪感を与えて今度は自分自身に絶望させる。本当は優しいつむぎが、めぐみの愛で改心することまでを計画に盛り込んだ周到なものだったのだ。
しかし、めぐみの「友達になろう」という言葉はつむぎに罪悪感以上に「めぐみたちのいる外の世界に戻りたい」という勇気を残していた。その純粋な気持ち、すなわち「イノセントな思い」はシャイニングメイクドレッサーの力を解放させるカギの一つとなり、スーパーハピネスラブリーとなったキュアラブリーの力によって、ブラックファングは倒され、ドール王国は彼女の成長の代償として消滅した。
エピローグでは足が動くようになりバレエの発表会に参加したつむぎの姿が映し出された、