印刷方法としての「グラビア」
グラビア印刷は凹版印刷の一種である。
版に溝や穴を彫り、そこにインクを埋め込んでから印刷用紙に押し付けると、穴に入っていたインクが紙に転写されるという仕組みである。
凹点内に流し込むインクの量を調節することにより、微細な濃淡まで表現できるので、写真や絵画を詳細かつ美麗に印刷できる印刷法として広く使われている。
もっとも現在ではオフセット印刷の方が主流になって久しい。
グラビア印刷の原理は、イギリスのヘンリー・フォックス・タルボットやフランスのニセフォール・ニエプス(ともに初期の写真発明家としても知られる)によって考案された。チェコのカレル・クリッチが彼らのシステムを発展させ、現在知られるようなグラビア印刷法が生み出されている。
現在の日本における「グラビア」
現在「グラビア」と言うと、きわどい水着姿のアイドルなどが大写しになった雑誌写真を指すことがほとんどである。
日本で女性タレントの写真ページを扱う雑誌が続々と出版され始めたのは、1960~70年代。
当時写真ページと言えばグラビア印刷での印刷が主流だったことから、グラビア印刷で印刷された写真ページについて「巻頭グラビア」「グラビアページ」などと呼ばれるようになった。
ついでに、こうしたグラビアページをメインに活動する人気女性タレントを「グラビアアイドル」と呼ぶようになった。
(写真の撮影や印刷の用語から写真そのものを言い表すように変化した言葉には、ほかに「ブロマイド」が知られる。)
したがって、本来「グラビア」という言葉には「水着のねーちゃん」とか「アイドルがはしたない格好をしている姿」などという意味は、微塵もない。ないったらない。
たとえばっちゃが「グラビアなんていやらしいねえ」などと言っていたって、ないものはないのである。