新世界秩序とは、ニューワールドオーダー(New World Order)の訳語で、原語は1ドル札に書いてあるラテン語Novus Ordo Seclorum(ノウスオルドセクロールム)、と言うことになっている。「時代の新秩序」の意であるが、いいんだよこまけぇこたぁ。
この言葉は一応アメリカの国璽で、それをデザインしたチャールズ・トムソンはウェルギリウスの詩から取っただけなのだが、1ドル札の真ん中にでかでかとプロビデンスの目が書いてあるために(多分)「フリーメイソンリーから取られた言葉である」と言うことになっている。国璽のデザイナーとドル札デザインした人はメイソンリーに入ってないけど。
起源
初出は1920年、フレデリック・C=ヒックスが、国際連盟規約に関する本のタイトルで、使っている。この本では国の独裁体制は支持していない。
とてもややこしいことに、ウッドロウ・ウィルソンの、トラストとか独占企業を指して言った、
「どこかに、とらえがたく、用心深い、固く手を結んでいる権力者がいる」
という文章が、陰謀論者の人に引用されまくっているが、そういう人は同様に、
「ウッドロウ・ウィルソンが新世界秩序の土台を作った」
とか言っている。
後H・G・ウェルズが主権国家の完全な根絶と、少数のエリートによる世界規模での全体主義体制を通じた地球管理を訴え、1940年に出版した『新世界秩序』(New World Order)にまとめた。これが具体的な新世界秩序構想の起源である。
一応全然関係ないけど、サヨ入ってるウェルズ大先生は、国民国家の廃止を、なんか諸般の事情で先に出た新世界なんちゃらの改訂版「公然たる陰謀」(1928)の方でも熱く主張しまくっているが、のち第二次世界大戦後日本の憲法(あの第22条第2項で「国籍離脱の自由」を高らかにうたってるのね)の制定にかかわっている。
解説
現在進んでいる新世界秩序に向けた動きは、主に冷戦後に活発化したものである。
1988年、ミハイル・ゴルバチョフが新世界秩序という用語を用いている。
冷戦後、アメリカ合衆国第41代大統領(1989年-1993年)ジョージ・ハーバート・ウォーカー・ブッシュは、1990年の9月11日――ペルシャ湾岸危機が起きて一ヶ月目のこと――連邦議会で「Toward a New World Order」(新世界秩序にむけて)という題名で演説を行なった。
「国連の設立時に思い描かれていたように、こうした混乱の時代であればこそ、国連を中心とした新世界秩序の出番である。われわれは、またとない異常な時を迎えている。今回のペルシャ湾の危機は、もちろん重大な問題であるが、それと同時に、このまたとない機会を利用して、協力の時代へと移行することもできるのだ。今まさに、新世界秩序の生みの苦しみが始まっている。それは、今までわれわれが知っている世界とは、まったく違う世界だ」
その後の91年2月、米大統領も参加して西ドイツで開かれたBrandt commission(ブラント委員会)の議事録より「McAlvany report(マクアルバニーレポート)」に報告された定義は"世界の通貨と産業を統制するための超国家的権力。石油の生産と消費を管理する国際機構。ドルに代わる国際通貨。自由主義諸国、共産主義諸国が等しく利用できる基金作りをする世界開発基金。新世界秩序の命令を行使する国際警察力"である。
ゴルビーもブッシュも普通に新世界の秩序を夢想していたのだが、キリスト教の原理主義な人が、「人類を悪魔と悪魔の信奉者の支配のもとに置くことを目標にしている、団結の固い秘密結社」のおぞましい計画であると言い張りだした。
その後、「九月十一日!モルモン教がマウンテンメドウズで逆切れして迫害した州からの移民を虐殺した日!」とか「フランス革命の記念すべき日!!」等11に関するいろいろ(ネガティヴなニュアンスがあるらしい)を言わないといけないが、言うと黒いヘリコプター(有機宇宙船説がある 但し21世紀には「トンデモ陰謀論」の代名詞になっている)をけしかけられるらしい。
リアクションする人は、アメリカの「とにかくロビイストとっ捕まえてロビー活動かませばアメリカへどんな法案でもかませられる」というオープンな状況に基づき、本当に新世界の秩序をかましてしまおう、国際的な観点から「民主的」なアメリカをぶち建てよう、とかの発想を出さない。