作品解説
20世紀初頭の中央ヨーロッパの架空の小国・アップフェルラント王国を舞台に、廃鉱山に埋蔵されたという超兵器を巡る争いを、主人公の少年ヴェルギールおよびフライシャー警部の視点から描いた冒険小説。
小説は田中芳樹、挿絵および漫画版はふくやまけいこが作者となっている。
書籍には、田中の「近代または現代の欧州の何処ぞに架空の国をでっち上げ、そこで大冒険をする話」を描くぞというマニフェストが入り、そこで、「列車砲は火を噴くわ、複葉機は墜落するわ」という話の宣伝(Wikipediaでは否定的であるが、こういう描写が本作にはある)をしているが、一応「(本作の時代である)1905年には存在しない飛行機」が登場しているので、「スチームパンク」に入れる向きもある。こっちで力説して「他を書けとは言われんだろう」とか言ってるけど、そのインスパイア源である『ゼンダ城の虜』に出てくるルリタニアに似た国名の「ルシタニア」が出てくる『アルスラーン戦記』の方が巻数でてるんだよなぁ。
電信が出る等、一応「科学は進歩であり、進歩は幸福であると信じこむことができた時代」を描いているが、女王(アニメではぽっちゃりしたおばさんであるが、ドイツへの怨念をたぎらせる一族に属し、復讐のための根回しをしている)が縁戚を使って外交努力するなど、権謀術数が描かれてもいる。
なお作中で言われる「ホクスポクス・フィジブス」は、「『ケストナーの終戦日記』から取った」とあるが、マジシャンの唱える一般的な呪文である。
登場人物
ヴェルギール・シュトラウス
本作の主人公であるアップフェルラント人少年。周囲からは「ヴェル」と呼ばれており、詳細はそちらの項目を参照。
フリーダ・レンバッハ
アルフレット・フライシャー
もう一人の主人公と言える、アップフェルラント人男性。警視庁警部。
アリアーナ・ヴィシンスカ
もう一人のヒロインと言える、ポーランド人女性。
関連作品
夏の魔術 - 本作と同じ作家および挿絵画家による小説シリーズ。
薬師寺涼子の怪奇事件簿 - 本作と同じ作家による小説シリーズ。30代前半の男性警察官と20代後半の女性が主人公。
関連タグ
アニメージュ - 1992年2月号から1992年11月号まで漫画版が連載された。
講談社 光文社 徳間書店から出ているが最初の物
