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薬師寺涼子の怪奇事件簿

やくしじりょうこのかいきじけんぼ

小説・アニメ・漫画「薬師寺涼子の怪奇事件簿」に関するイラストにつけられるタグ。
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概要編集

『薬師寺涼子の怪奇事件簿』とは、田中芳樹の伝奇アクション小説シリーズ作品、及びそれを原作とした漫画作品のことである。TVアニメ化もされた。

題名だけ見るとミステリー作品…と思いきや、その内容は前述の通り人外の怪物や怪異を相手取った伝奇作品かつアクション物であり、主人公がそれらを理不尽に薙ぎ払っていくというのが主旨である。

ライトノベルとしなかったのは発表当時はそのレーベル自体が黎明期であったのと、読者の対象年齢が理由と考察される。)

初出は講談社文庫から書き下ろされた『魔天楼』(1996年刊)だが、後にノベル版として複数の出版社から刊行されるようになる、という変則的な経緯を持つ。(田中作品の中では珍しいことでもないのだが…)


エピソードと評価編集

現段階において、中断・遅筆作家であることで悪名高い田中芳樹がシリーズ物の中では唯一安定して執筆を継続できている作品として有名である。

(完結した『銀河英雄伝説』等は含まず。)


作品が生まれたきっかけとしては、作者と当時の担当者との間で『近頃の作品の名探偵は皆悪びれているタイプばかりなので、そうではない、犯人に対して情け容赦ない探偵役を主人公にした話を。人間相手では加減してしまうから、魑魅魍魎を相手にしよう』という話がなされたのが端緒とされる。


よく言えば主体的かつ自信家、悪く言えば毒舌なうえに高慢ちきという強い女の見本のような薬師寺涼子(以下「お涼」)が主人公だが、ストーリーの語り部は相棒の泉田準一郎が担う。この理由は、当初は男性である作者が「女性主人公」の細かな心理描写を描き切れる自信が無かったからといわれる。(ハンドブック『女王陛下のえんま帳』より)


同じ作者の伝奇アクション作品として名高い『創竜伝』と比較されることも多く、この作品で培ったノウハウがお涼シリーズでも生かされているが、反面として『負の側面』とされてきた部分も継承されていると一部読者からは指摘されていて、

・作者の(「政治家・公務員、アメリカ軍嫌い」から来るかなり偏った、と常々評価される)見方によっては偏った社会論評がストーリーの節々に織り込まれている。

・それだけなく、ストーリーに中だるみが生じてくるとその間隙を埋めるかのように時事ネタが増加していき説教臭くなっていく。

・近年では、東海村JCO臨界事故を皮肉って「市街地の真ん中に核処理施設を作る非常識な民族は日本人くらいよ!」(『巴里・妖都変』より)東日本大震災に関連して「放射能だらけの日本」(『魔境の女王陛下』より)、時の首相を指して「ウルトラナショナリスト」と表現(『白魔のクリスマス』より)するなど極論じみた発言が多い。

…といった批評が根強い。


特に「放射能だらけの日本」という表現は原発事故から1年経ったばかりの2012年のものであり、当時は往年のファンからも不謹慎な上に独善的という批判に見舞われることになった。


このため、『創竜伝』と同じく田中芳樹の現代社会への批判がストレートに表現されている作品としても名高いものの、2010年代以降はこの部分にリソースが割かれがちであり、その点に旨みを感じていないファンからの評価は芳しくない。

『作者が愚痴りたいのは分かったから、昔みたいにお涼をもっと暴れさせろ!

『田中先生の主義主張天丼な上にお腹いっぱいです。お願いだから、もっとお涼と泉クンをイチャイチャさせてください

ネット上の感想欄にはだいたいこんな感じの文面が主流となっている。

そう、この作品はヒットメーカー田中芳樹が手掛ける安定のアクション物であると同時に、田中作品の中では珍しいラブコメ作品でもあるのだ。


こうした内容から、堅実かつ緻密なSF中国歴史物でしか田中作品を知らないファンがこの作品に手を付けた際には、そのはっちゃけ具合から色々な意味でショックを受ける仕様になっている。


同作に関しては作者も主人公のお涼に関連して特別な感情を抱いている発言をしているが、同時に「ストレス発散のために書いた」とも発言している。

このため、ファン界隈では作者にある程度のフリーハンドが与えられていると同時にある種のライフワークのような立ち位置ではないかと推測されている。


現状では「純粋な娯楽小説」なのか「作者の主義主張の代弁の場」なのか読者の中でも議論が絶えず、良くも悪くも今後の展開が見逃せない作品となっている。


ストーリー編集

東大卒の警視庁キャリア官僚、加えて絶世の美女だが性格は最悪の主人公・薬師寺涼子が部下を引っ張りまわして怪奇事件を解決していくのを、当の部下である泉田視点で語られる。


主な登場キャラクター編集

JACES・薬師寺家編集

警視庁刑事部参事官室編集

警察上層部編集

その他編集

本名は若林健太郎。由紀子や涼子の大学の先輩。

財務省のエリート官僚だが、政界の暗部に当てられて鬱になっていたところ、涼子に連れられていった女装クラブで「真の自分」に目覚め、精神の健康を取り戻す。以後は涼子の信奉者として政界の情報を流すなど涼子に協力する。

ドラァグクイーンとしての名はジャクリーンで、愛称が「ジャッキー」

これは本名の若林を音読み(じゃくりん)したものからの命名。

アニメオリジナル編集


作品リスト編集

タイトル
東京ナイトメア
魔天楼
巴里・妖都変
クレオパトラの葬送
黒蜘蛛島
夜光曲
霧の訪問者
水妖日にご用心
魔境の女王陛下
海から何かがやってくる(※ノベルス版のみ)
白魔のクリスマス(※ノベルス版のみ)

TVアニメ編集

2008年7月よりチバテレビ他で放送。完全オリジナルストーリー全13話。


主題歌編集

  • オープニングテーマ

「Theme principal」

作曲・編曲 - 倖山リオ、KATSU(angela)

  • エンディングテーマ

「A demain sur la lune」(第1・3話)

「Ryoko2」(第2・6話)

「Songe dune nuit dete」(第4・7・9A・9B・9D話)

「La Vie en rose」(第5話)

「Le combat」(第8・9C話)

作曲・編曲 - 倖山リオ、KATSU(angela)

「Theme principal La chanson d'atsuko」(最終話)

作詞 - atsuko / 作曲・編曲 - 倖山リオ、KATSU(angela)


各話リスト編集

話数サブタイトル
第1話銀座クライムタワー(前編)
第2話銀座クライムタワー(後編)
第3話桜田門事変
第4話武蔵野すみれいろどき
第5話表参道を這う蟲
第6話メイド in 霞ヶ関
第7話沖縄、神の島
第8話多摩川スーサイド
第9話芝の女王
第10話麻布の罠
第11話高輪のプリンセス
第12話東京デッド・オア・ラブ(前編)
第13話東京デッド・オア・ラブ(後編)

コミカライズ編集

2004年より漫画版が連載。作画は小説挿絵の垣野内成美

P数の制限もあってか、上記のような込み入った政治思想や時事ネタが真っ先に排除され、その分ラブコメ色が強くなっている。

当初は月刊マガジンZに連載していたが休刊、その後は月刊アフタヌーンにて再開される。

「水妖日にご用心」で一旦終了し、幾つかの短編と「女王陛下の招き猫(シナリオ:植竹須美男)」を挟んで「魔境の女王陛下」まで刊行中。


関連タグ編集

田中芳樹 垣野内成美

ミステリー 伝奇 俺TUEEE ラブコメ 作者は病気


美味しんぼ作者同じようなことをして批判された。

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