パニック映画
ぱにっくえいが
災害や大惨事など突然の異常事態に立ち向かう人々を描く映画のジャンル。
日本におけるパニック映画
ゴジラに代表される怪獣映画が政府や市民のパニックを描いた作品として1950年代より制作されており、同時期には天体衝突や全面核戦争などを描いた作品も作られていた。
しかしこれらの作品群は特撮映画、あるいはトリック映画と呼ばれてた。
1970年代になり、ハリウッドでディザスター・ムービーが多作されるようになると、そのジャンルを分かりやすく、かつインパクトを与えるように意訳された「パニック映画」なる言葉が生み出されポセイドン・アドベンチャーやタワーリング・インフェルノなどが大ヒットした事で一般に定着した。
以後この言葉は東映や松竹などの配給会社やテレビ局などによって戦略的に使用されるようになり、災害によるものだけでなく、「何らかの異常事態により人々がパニックに陥るもの」がほぼ全てパニック映画として宣伝されるという事態となった。
1970年代中盤になるとジョーズやグリズリー、オルカなどの動物や昆虫が人間を襲う映画が動物パニック映画として次々に公開された。
なおこの1970年代というのはゴジラシリーズに代表される怪獣映画が下火になり、そこにオイルショックも重なった事から、特撮の技術活用も兼ねてパニック映画が作られていた。
東宝の日本沈没、東京湾炎上、地震列島や東映の新幹線大爆破がこれに該当する事例である。
特に新幹線大爆破は日本国内での興行成績はあまり良いものではなかったが、フランス公開時に大ヒットを記録している。
これらの作品は、火薬を用いた都市やコンビナートの爆発シーンを売りにしていた一方で、地震の発生原因や実際に起きた際のシミュレーションに竹内均、大崎順彦をはじめとした地質学、建築学の第一人者の協力を仰ぐというリアリティの追求も見られるのが特徴。