概要
荒木飛呂彦氏の漫画作品『ジョジョの奇妙な冒険』第5部『黄金の風』に登場する、台詞または思想である。
レオーネ・アバッキオの警官時代の友人が、彼に語ったもので、この台詞は本章の一つのテーマになっており、果てはジョジョシリーズ全体のテーゼとなっている。
コミックス第59巻より
アバッキオ「…ああ」「その……」「なんだ…」
警官「なにか?」
アバッキオ「いや…その、参考までに聞きたいんだが」「ちょっとした個人的な好奇心なんだが」
アバッキオ「もし見つからなかったらどうするつもりだい?」「『指紋』なんて取れないかも………」
「いや…それよりも見つけたとして」「犯人がずる賢い弁護士とかつけて無罪になったとしたら」「あんたはどう思って……そんな苦労をしょいこんでいるんだ?」
警官「そうだな…わたしは『結果』だけを求めてはいない」
警官「『結果』だけを求めていると、人は近道をしたがるものだ…近道した時真実を見失うかもしれない」「やる気も次第に失せていく」
警官「大切なのは『真実に向かおうとする意志』だと思っている」「向かおうとする意志さえあれば、たとえ今回は犯人が逃げたとしても、いつかはたどり着くだろう?」「向かっているわけだからな…違うかい?」
概説
トリッシュの記憶からサルディニア島に辿り着き、ムーディー・ブルースの能力で島内を探索中に、一人の少年に出会い、その場面で何の前触れもなく誰かに攻撃され、呆気なく始末されてしまう。
そこから回想が始まり、アバッキオの過去と経歴が語られ、そして場面はどこからのオープンカフェに変わる。
カフェで食事を摂るアバッキオの近くで、割れたガラス瓶の欠片を集めて指紋の採集を試みる警官が登場し、そして先の会話が始まる。
そしてアバッキオははたと気が付く。
その警官は、かつて自分のふがいなさから殉職させてしまった、あの警官だったと。
場面は切り替わり、ジョルノたちがアバッキオの遺体を見降ろし、悲劇を防げなかったことを悔やむ姿があった。
しかし、アバッキオは確かに遺していた。
死の寸前、スタンドによる再現機能は完了し、アバッキオは最期の力をありったけ込め、近くに合った銅像の台座にスタンドの顔を思いっきり叩きつけ、ボスの素顔(デスマスク)と指紋を刻みつけていた。
このダイイングメッセージを基に、ジョルノたちはボスを追ってローマへと向かった。
キング・クリムゾンへの反命題
このストーリーは、全てを覆い隠し、他者を犠牲にして有耶無耶にし続けることで、永遠の絶頂を得ようとしたディアボロとその精神の体現である「キング・クリムゾン」とは、真っ向から反するところにテーマが存在する。
その末に、ディアボロは「自分が死んだ」という真実に辿り着くことも出来ず、永遠に死に続けるという最悪の状態だったことは、ファンならばもう存じているだろう。
太刀打ちしようもない絶大な力を前に屈するか、それでも針さえ通し難い小さな突破口を求めて足掻き続けるか。
その意思と行動次第で、結末は無限に変わっていけるのだ。