Ta152の開発
Fw190D-9で液冷エンジンを採用したFw190だったが、設計者クルト・タンク技師は満足していなかった。性能的に、高高度戦闘機とは言えなかったためである。
そこで主に、
- 高高度用エンジンの搭載
- コクピットの与圧
- 主翼の拡幅
といった強化を取り入れた高高度戦闘機の設計に着手した。
エンジンは当初DB603を希望していたが、メッサーシュミット社への供給が優先されていた為、ユンカースのユモ213となる。
このエンジンは生産しやすく、DB603の気難しさ、繊細さはなく、爆撃機や輸送機に用いられていて供給が潤沢という利点があった。
武装は機首の13mm機銃2門に代わって30mm機関砲をモーターカノンとして搭載し、主翼付け根の20mm機関砲はそのまま残している。
Ta152の活躍
登場が戦争終結間近だったため、殆ど活躍していない。
配備された頃には全ドイツの燃料は尽きており、航空機はもちろん、補給トラックの一台を動かす燃料さえ事欠く有様だった。
また、高高度戦闘機と言いながら、肝心の過給機(スーパーチャージャー)が不調だったため実際には低空での防空が主で、Me262離着陸時の援護に活躍したという。
Ta152で5機以上を撃墜してエースに序せられたパイロットも何人かいる。
Ta152のバリエーション
生産は150機程度だったと言われ、高高度性能も過給機の不調で揮わなかった。
完成数はH-1が67機だと言われている。(という事はH-0が80機程度か)
H-0
Fw190D-9用のエンジンを使った前生産型。
エンジンが同じで重量が増えているが、「タンク技師が操縦中にP-51に出くわしたが逃走に成功した」という話なので、たぶん機体の空力的改善により性能は向上していたのだろう。
H-1
エンジンを換装した本格的生産型である。
過給機の不調でエンジンの信頼性が低かった。
主翼を短くした低高度型も計画されていた。
Fw190の性能向上のための案の、DB603を使用する「C型」に近いが、敗戦までに完成しなかった。