弦楽器
げんがっき
概要
弦鳴楽器。
胴体に「弦」と呼ばれる糸状の構造物が張ってあり、弾いたり、擦ったりする事で振動させ、音を出す。通常は複数本が平行になるように張られている。
ほとんどの弦楽器には、弦の音を増幅するための「共鳴胴」と呼ばれる部分がある。
音程の調節は、弦を指で押さえる他、弦の張力を変える事で行う。鍵盤やそれに類する器具を用いる物もある。
奏法によって●擦弦楽器(さつげんがっき)、●撥弦楽器(はつげんがっき)、●打弦楽器(だげんがっき)の3種類に分類できる。
●擦弦楽器
弦を弓などで擦ることで音を出す弦楽器。弓には馬の尻尾の毛に松脂をつけて摩擦を大きくしたもの、木の棒などがある。擦り続けることで音をサステインさせるのが特徴。
バイオリン属
バイオリン(ヴァイオリン)、ビオラ(ヴィオラ)、チェロ(セロ)、コントラバス(ダブルベース)の4種の弦楽器からなる楽器群のこと。
演奏の際に弓を自由に動かせるよう、特徴的なくびれを有する。
弦は棹(ネック)の先の渦巻(スクロール)の糸巻(ペグ)から緒止(テールピース)の間に張られ、上駒(ナット)と駒(ブリッジ)により指板から浮いている。
胴は左右にf字型の響孔(サウンドホール)が一対開けられたヘルムホルツ共鳴箱となっており、胴体内に設けられた魂柱(サウンドポスト)が駒を通って表板に達した振動を裏板に伝える。
弦は4本で、指板上で押弦し、指板と駒の間で弦を擦って音を出す。
コントラバスはその歴史からヴィオラ・ダ・ガンバ属とされることもある。
ヴィオラ・ダ・ガンバ属
パルドゥシュ、トレブル、アルト、テノール、バス、コントラバス(ヴィローネ)などの弦楽器からなる楽器群のこと。
16世紀より用いられた古い楽器群だったが、音量が小さいため劇場での演奏に適さず廃れてしまい、コントラバスだけが生き残り、バイオリン属に加えられた。
バイオリン属より表板が薄く、弦の張力が弱い。響孔はC字型のものが多い。胴の肩の線はなだらかに棹と繋がる。
●撥弦楽器
弦を指やピックなどで弾いて音を鳴らす弦楽器の事。
リュート属
棹(ネック)があって指板上で押弦し、弦が振動する長さを変える仕組みを持つ撥弦楽器のグループをリュート属と呼ぶ。
ギター
8世紀にイスラム圏よりスペインに伝わったリュート属の楽器が、リズム主体の舞踊に合わせて改良され、14世紀頃からギターラと呼ばれるようになった。
弦は6本で、共鳴胴の表板上にブリッジがあり、表板に振動を伝える。響孔は丸く大きな穴、F字型、C字型など様々。ネックにはフレットが施されている。
生音が小さいため、弦の振動を電気信号に変えて増幅するエレキギターが作られた。
ツィター属
ネックが無く、共鳴胴の表板上に弦が張り渡されている。
弦を指で押さえて調音するものと、琴柱(ことじ)とよばれる部品を移動させる事で調音するものとがある。
床やテーブル、膝などの上に置いて演奏するものが多い。