天然痘(てんねんとう)は、非常に危険なウイルス感染症の一つ。医学界では痘瘡(とうそう)とも言う。
概要
天然痘患者と接触することで感染する。感染力は非常に強い。
高熱・頭痛・筋肉痛・嘔吐・下痢などの初期症状の後、全身に特徴的な発疹ができる。ひどい場合は全身の臓器が侵され、呼吸不全により死亡する。致死率は30%と非常に高い。
この病の恐ろしさは高い死亡率もそうだが、何より体中に大きな発疹が大量にできることだろう。大量のボツボツに埋め尽くされた身体の見た目は鳥肌が立つ程非常におぞましく、例え病が治っても発疹痕は残りあばた顔になってしまう。女性にとってこれほど恐ろしい事はないだろう。
ワクチン(種痘)で予防できるが、現在は発生していないため、一般の人に接種されることはない(軍人など一部の人のみが接種できる)。
現在、人類が根絶に成功した唯一の感染症である(ただし、アメリカとロシアの一部の研究所にはウイルスが厳重に保管されている。また北朝鮮が天然痘ウィルスを保有していると一部で囁かれている。)
昔は天然痘にかかった名残の「あばた顔」の人がしばしば見受けられ、夏目漱石も幼少時に天然痘に感染したとされている(しかし、昔は肖像写真が修正されることがよく行われていたため、現在残っている写真には漱石が気にしていたという「あばた」の跡が見受けられない)。
1類感染症
天然痘は感染力・致死率ともに高い、非常に危険な感染症であるため、感染症法では1類感染症に指定されている。1類感染症では患者は疑いのある者を含め強制的に入院・検疫・交通規制・病原体の所持の禁止といった措置をとることができる。
1類感染症には天然痘のほか、エボラ出血熱、マールブルグ病、クリミア・コンゴ出血熱、ラッサ熱、南米出血熱、ペストがある。なお、ペスト以外はすべてウイルス感染症である(ペストは細菌感染症)。
創作における天然痘
感染力の強さ、致死率の高さ、感染した後も痘痕が残る事等から古代から恐れられ様々な題材に取り上げられてきた。
黒死病と並び死のメタファーに使われ、医学の発展後もワクチン接種のポスターに何度となく取り上げられており、日本では牛痘によるワクチン接種が伝わるも、接種すると牛になるという迷信が信じられ、神獣の牛が天然痘の妖怪を討伐するチラシが作られ配布されていた。