概要
ラッサ熱(ラッサねつ)は、危険なウイルス感染症の一種。西アフリカで流行している。
主にねずみがウイルスを持っており、ウイルスを持ったねずみを触ったり、糞や尿で汚染された水や食べ物を食べたり、ほこりを吸い込むことによって感染する。また、患者の血液・唾液・排泄物に触れた際に皮膚から感染することもある。
感染症法ではエボラ出血熱やクリミア・コンゴ出血熱などと同じ1類感染症に指定されている。
現在、日本国内での感染例は報告されていないが、1987年にシエラレオネから帰国してきた日本人が発症したことがある(後に回復)。
症状・治療
ラッサ熱は「軽症型」と「重症型」の2つにわけることができる。患者の80%は軽症型、残りの20%は重症型と言われている。
発熱・頭痛・筋肉痛・嘔吐・下痢などの症状があらわれる。軽症型ではこれら以外の症状がなく1週間程度で回復する。
しかし重症型では、やがて脳・肝臓・腎臓などの機能が低下し、並行して全身の出血傾向(鼻血・歯茎からの出血・全身のあざ)がみられ、最悪の場合は死に至る。重症型の致死率は約10%と高く、治っても麻痺や難聴などの後遺症が残ることがある。
治療法としては、ウイルスの活動を抑える薬を使用する(ただし、早期に使う必要がある)。1類感染症のため、患者は原則入院が必要である。
予防方法
西アフリカでは、ねずみに咬まれないように、ねずみの糞尿による汚染の可能性があるところを触らないようにする。
その他
ウイルス性出血熱の中では比較的軽症であり、エボラ出血熱やマールブルグ病ほど致死率は高くない(それでも重症型の致死率はかなり高いが)ものの、流行の規模が大きいとされる。