謙虚、堅実をモットーに生きております!
けんきょけんじつをもっとーにいきております
概要
投稿型web小説サイト「小説家になろう」にて、平成25年7月から連載開始。
約2か月で累計ランキングトップ10入りという快挙を成し遂げ、平成29年4月現在でも、「無職転生」に次ぐ累計ランキング2位を維持し続けている。
なお未だ書籍化はされておらず公式のイラストは一切存在していないので、pixivに投稿されているのはそれぞれの投稿者のファンアートである。
ファンの間での通称は「謙虚」「謙虚堅実」。
短くまとまった日常話を少しずつ更新するスタイルの恋愛(?)コメディ小説。
主人公・麗華様の没落回避生活が話のメインだが、それ以外の細かい日々の出来事や事件の描写も多い。
麗華様を始めとした登場キャラの残念な言動で笑わせつつ、時折巧みな伏線回収を行い、話を予想外の方向に転がしていく手腕に定評がある。
一応作品ジャンルは恋愛となっているが、麗華様がとにかく全くモテないため、今のところジャンル詐欺の疑いを持たれている。おいたわしや、麗華様……。
あらすじ
小学校のお受験を控えたある日、主人公は自分が前世で愛読していた少女漫画「君は僕のdolce」の世界に、登場人物の一人として転生していることに気付く。
彼女の名前は『吉祥院麗華』。大金持ちの吉祥院家の令嬢にして、漫画の主人公・『高道若葉』を徹底的にいじめ抜く役割の悪役お嬢様だった。
麗華はその悪行が祟って漫画のラストで見事没落し、身の破滅を迎える。若葉は無事運命の王子様と結ばれハッピーエンド。めでたしめでたし……
となっては困る麗華(の中の人)は、可能であれば没落を回避し、ダメでも一生食いっぱぐれない人生を送る!と決意。存在感をできるだけ消しつつ、極力誰も敵に回さぬよう気をつけ、謙虚、堅実を志しながら生きていくことを誓ったのだった。
登場人物
吉祥院 麗華(きっしょういん れいか)
本作品の主人公。通称「麗華様」。
ロココ調の縦ロールを装備し、圧倒的存在感を醸し出す名家・吉祥院家の令嬢。よくできた西洋人形みたいに綺麗な、優雅な物腰で王者のオーラを放つ大物である。
特権階級集団ピヴォワーヌ所属の超お嬢様として、舞台となる瑞鸞学院では「絶対に逆らってはいけない人」「女帝」「女神カーリー」「女子のラスボス」など様々な通り名で呼ばれ、一般生徒から畏怖されている。
……だが、その中身はド庶民女子だった前世の記憶と人格を持つ転生者にして、ゆえに奇行が目立つ天然お人好しぽんこつ娘。ジャンクフードや駄菓子が大好き。
その場の空気を読む力に長け、次々とその身に降りかかる火の粉を、卓越した調整力・政治力・演技力をもって払いのけてゆく気配りとフォローの達人(別名:苦労人)である。
「君は僕のdolce」では皇帝に執着し、若葉に執拗な嫌がらせを続ける悪役だったが、この世界では原作ファンとしてむしろ裏から若葉を応援する立場に回ることになる。
手先が不器用で料理は下手。前世から今世まで通して男運に恵まれないことと太りやすいことが悩み。なぜか様々な動物に襲撃される。
鏑木 雅哉(かぶらぎ まさや)
「君は僕のdolce」の王子様役。
吉祥院家を上回る格を持つ鏑木グループの御曹司。通称「皇帝」。
漫画ではいわゆる「俺様キャラ」だったらしいが、この世界では麗華のぽんこつに毒されたのか、元々素質があったのか、それとも単に漫画内では描写されていなかっただけだったのか、色々と残念な方向に成長してゆく。
文武両道かつ容姿端麗であり、何でも出来る万能の超人。瑞鸞学院では女子ほぼ全員が彼のファンなので、何人たりとも彼に逆らえない空気が醸成されている。
ピヴォワーヌに所属しているが、本人は権力や付きまとう女子にはまるで興味を示さず、ファン達が起こすトラブルについても基本的に無頓着。相当な負けず嫌いで思い込みが激しい。
恋愛に関してはランボーの詩集を愛するロマンチストかつ束縛系ナチュラルボーンストーカー。好きな相手には一途であるが、相手の行動や自己の行動に関する影響を考慮することなく、さらに行動がいちいち心理的に重く、周囲を巻き込む事に躊躇が無い。そのため巻き込まれた方は大抵の場合、大迷惑この上ない。
その影響力と性格から実質的に作中最大のトラブルメーカーとも言える存在であり、漫画での因縁もあって麗華からの心象は最悪。
円城 秀介(えんじょう しゅうすけ)
鏑木雅哉の親友。
やはり大金持ちの息子であり、容姿端麗かつ頭脳明晰。ピヴォワーヌ所属。
「君は僕のdolce」では笑顔で主人公カップルを応援する癒し系のフォロー役だったが、この世界では何かと腹黒的な言動が目立つ。皇帝同様、表立って権力を振りかざすことはしない。皇帝と並び称される瑞鸞の花形である。
麗華のことは愉快な観察対象として認識している模様。身体の弱い弟がいる。
吉祥院 貴輝(きっしょういん たかてる)
麗華の年の離れた兄にして吉祥院家の跡取り。彼自身、瑞鸞ピヴォワーヌのOBでもある。学生時代は弓道部に所属。「君は僕のdolce」では未登場。
人当たりの良い好青年だが、中身は策士で腹黒。とはいえ面倒見はよく、物事の筋も通す人物である。庶民を見下す両親とは違い、部下への敬意を忘れない人間として、立派な吉祥院の後継者となるべく勉学に励み、大学卒業後は吉祥院グループに入り重要プロジェクトを次々に手掛けて後継者としての足固めに邁進している。
無邪気に自分に懐いてくる麗華をシスコン気味に可愛がっている。妹のぽんこつな本性をいち早く見抜き、天然な妹をときどき手のひらで転がして遊んでいる。
親友である桃園伊万里(のタチの悪い女グセ)が昔からの悩みのタネで、瑞鸞時代は生徒会からも泣きつかれて散々な目に遭わされている。そのため当時の事を思い出すと麗華すら怯える凄絶な表情と黒いオーラが漏れ出る事がある。
桃園 伊万里(ものぞの いまり)
貴輝の幼馴染にして同級生かつ腐れ縁の親友。「君は僕のdolce」では未登場。
女性の扱いに定評のある究極フェミニスト。だが、その実態は女性にとっての甘言を自在に転がすホストも真っ青の天然ジゴロ体質の持ち主。寄る者は際限なく受け入れる大きな器の持ち主だが、それは主に女性方向に活かされてしまう、貞操観念皆無の人。学生時代は彼を巡って瑞鸞および近隣校の女生徒たちの間で血の雨が降った(そして貴輝がその収束に全力で奔走した)とも言われる人物。通称・ボサノヴァ村の村長。
瑞鸞時代はバスケ部に所属。のちに麗華は瑞鸞バスケ部員の貞操の弱さに関して言及するが、その源流と目されている。
高道 若葉(たかみち わかば)
「君は僕のdolce」の主人公。
超大金持ち学校・瑞鸞学院に特待生として入学してきた庶民の女の子。天才的な頭脳の持ち主にして根性たくましい好奇心の塊。
原作漫画では健気で頑張り屋な普通の少女であり、鏑木と恋に落ち、それが気に食わない麗華から苛烈な嫌がらせを受けていた。
この世界では嫌がらせを受けてもまったく気にしない鋼のハートを持つド天然マイペース娘と化しており、漫画の若葉を知る麗華からは「完全な別物」と評された。
実家は町のケーキ屋さん。高等科からの瑞鸞外部生で、瑞鸞独特の校風の枠に収まらない型破りな言動が多い。
水崎 有馬(みずさき ありま)
「君は僕のdolce」において、鏑木と主人公(若葉)を取り合った正々堂々系ライバル当て馬キャラ。麗華からは内心「同志当て馬」呼ばわりされている。
この世界においても理想に燃える熱血男子だが、政治的配慮がいささか足りないため、何かと空回り気味。
中等科から瑞鸞に入学した外部生で、生徒会に所属。のち生徒会長となる。
蕗丘 桜子(ふきおか さくらこ)
瑞鸞学院と並ぶ名家御用達のお嬢様学校・百合宮女子学園に通うお嬢様。「君は僕のdolce」では未登場。
一見すると大人しく清楚な和風美少女だが、本性はひどい毒舌のガミガミ妖怪。
こっそり買い食いをしたい一心で塾に通い始めた麗華を、同塾に通う想い人を狙う泥棒猫と勘違いして敵対、のち和解した。
お互い本性をさらけ出して話ができる麗華の一番の親友となる。
古東 璃々奈(ことう りりな)
麗華のひとつ下のいとこ。とてつもなく気が強くて我侭な少女。母親が瑞鸞学院ピヴォワーヌのOG。
麗華の兄・貴輝に懐く一方、麗華にはひどく反抗的な態度を取っていた。
小学校時代は登校における時間制限から瑞鸞に通うことができなかったが、中等部より外部生として入学する。
入学当初は母親の存在や麗華との関係性により「自分も本来ならピヴォワーヌであったはず」というトンデモない勘違い・心得違いを起こして騒動を巻き起こし反感を買っていたが、麗華が必死に璃々奈が迷惑をかけた各方面に頭を下げて事なきを得るとともに、円城からそれを知らされて静かに強く忠告され多少ではあるものの認識を改めた。
以降は勉学の実力で周囲を黙らせ、自学年において超党派の最大派閥を作り上げる事となる。ちなみに自派閥の側近からは「実は麗華様の事が好きでしょう」とツンデレを指摘されている。
用語
- 「君は僕のdolce」(きみはぼくのドルチェ)
前世の麗華がガチハマりしていた少女漫画で、本作の舞台はこの作品がベースとされている。通称・君ドル。主人公は高道若葉、正ヒーローが鏑木雅哉。健気な少女である若葉が学園の「皇帝」鏑木と出会い、身分違いや嫉妬やっかみ嫌がらせなど、様々な障害を乗り越えるとともに障害を与える者たちを因果応報の形で排除し、結ばれる物語。
ちなみにドルチェとはデザート(スイーツ)類の事。同作のタイトルは若葉の家がケーキ屋(スイーツショップ)である事と、鏑木が密かな甘味好きである事をもって、鏑木にとって若葉が自身の生において至高の「ドルチェ」である事を意味している。
『君ドル』内での吉祥院麗華は若葉を徹底的にイジめ抜くとともに、悪どい政治的手腕を用いて鏑木の許嫁の座を射止めるも、最終的には状況の裏表の全てを知った怒れる鏑木の手によって全てをひっくり返され、家業ともども人生そのものを破滅させられる悪役として登場した。
ある意味では本作(『謙虚堅実』)主人公の麗華にとっては予言と教訓の書であり、この作品で描かれてしまった結末を回避して謙虚かつ堅実に生きる事が、彼女の目標となっている。
ちなみに麗華の中(前世)の人はガチの若葉派であるため、結末の回避も若葉を陰ながら支持し助ける方向性での行動として出ている。
- 瑞鸞学院(ずいらんがくいん)
この世界の上流階級子女が数多く通う、小中高一貫の超大金持ち学校。本作の主な舞台。
およそ常識では考えられないほど充実した設備と広大な敷地、豪華絢爛な校舎を誇る。
生徒は初等科から通う良家の子女が中心だが、学院の偏差値維持のため、中等科・高等科では「外部生」として高額な奨学金で外から秀才を招いている。
- 牡丹の会(ピヴォワーヌ)
十分な血筋・家柄・財力を兼ね備え、かつ初等科から瑞鸞に通う生徒だけが所属することを許される瑞鸞学院中等科・高等科の特権階級集団。
学内に専用のサロンを持ち、学院から様々な特別待遇を受けている。
一般生徒からは憧憬半分畏怖半分の目を向けられており、迂闊にメンバーとトラブルを起こそうものなら本人はおろか家族まで社会的に抹殺されかねないため、基本的にアンタッチャブルとして扱われている。
麗華・鏑木・円城たちが所属。初等科には次期ピヴォワーヌメンバーが集う組織「プティ・ピヴォワーヌ」がある。