ガルスJ
がるすじぇい
概要
グリプス戦役後、ネオ・ジオンが地球圏へ侵攻するにあたり、戦力増強目的で開発された陸戦用モビルスーツ。陸戦用ではあるが、宇宙でも使用できるなど汎用性は高い。
特異なアームパンチ機構を始め、今までにない数々の実験的な試みが成されている。
アクシズへ合流した旧ジオン公国出身の技術者が開発に携わったため、公国軍MSの影響が色濃く特にMS-07 グフの流れを汲んでいるが、一方で、ガンダリウム合金やムーバブル・フレームなどの新技術も導入された機体となっている。
同時期に開発が行われたズサと連携して作戦を遂行する事を前提にしているため、どちらかと言えば中/近接戦闘に比重が置かれた設計になっている。
左手のフィンガーランチャー、両肩に内蔵された連装ミサイルポッドなど固定武装が充実し、主武装であるエネルギーガン(出力3.8Mw。射撃毎にマガジン内の砲弾型Eパックカートリッジを一個ずつ消費する珍しい携帯ビーム兵器)とあわせ、全体的にまとまった性能を有している。
のちにサイド1シャングリラでの試験結果を受け相当数が生産されたものの、やや遅れて配備されたドライセンに比べて突出した能力に乏しかった所から、本格的な主力機となるまでには至らなかった。
のちに巡洋艦サンドラのMS隊や、ハマーン・カーンに叛旗を翻したグレミー・トトの軍にも配備されており、後者はグレミー軍制式カラーである灰色に再塗装されている。
機動戦士ガンダムUC時代も健在で、『アクロス・ザ・スカイ』『ラスト・サン』では袖付きにも配備され、ルガー・ルウ率いるブランダムール隊のタマキ・エトール准尉の愛機として活躍。同様に、連邦軍に鹵獲された機体は模擬戦の仮想敵としてレイヴン隊などアグレッサー部隊によって運用された。
主なパイロットはマシュマー・セロ、タマキ・エトールなど。
関連イラスト
バリエーション
ガルスS
AOZRe-Bootに登場。型式番号AMX-101S。
火星独立ジオン軍が、親衛隊専用機としてガルスJの近接格闘戦能力を強化した機体。
最前線に於いては指揮官機、もしくはその護衛機として運用する事を想定している。
円形シールドとヒート・ランスを装備し、ヒールを増設した脚部など、騎士然としたシルエットが特徴。また胸部や脚部は改修に際してキュベレイのフレームを流用したらしく類似点が見られる。
赤と白を基調としたカラーリングはギャン・エーオースなど、旧キシリア親衛隊の流れを汲む物であったが、レジオンとの抗争に敗れた後は機体色を改め、ランケブルーノ砲改を装備した中距離支援装備で運用されている。
シュツルム・ガルス
機動戦士ガンダムUCに登場するガルスJのバリエーション機。
かつて旧ジオン軍が一年戦争末期に開発したケンプファーのコンセプトを継承した強襲用MS。
拠点突破を重点においた徹底的なカスタマイズが施されており、ベース機とは大きく異るシルエットを有する。
特に装甲の削減や推進装置の外装化等により、ガルスJと比較して50%もの軽量化を果たしているが、軽量化のあおりを受けて肩部には装甲が施されておらず、ギラ・ドーガのシールドを改修したシールド・スパイクを装備することでそれを補っている。ただし、装甲を削減した結果機体各部の干渉部分が解消され、運動性が向上している。
シールド・スパイクは近接戦闘時に武器として転用する事ができ、マニュピレータに保持してボクサーグローブのように使用する。
その他、肩部のミサイル・ポッドはマグネット・アンカーに変更され、チェーン・マインを装備するなど、特殊な状況下で運用するその機体特性を更に際立たせている。
一方で、バックパックをはじめ長距離推航行用のブースター類は全て取り払われており、搭載された燃料も少ない為、機体の航続距離は極めて短い。感覚的には陸戦用のモビルスーツを宇宙で運用するのとほぼ変わらず、短距離の移動に於いてもマグネット・アンカーを駆使する必要があるなど、パイロットの技量が問われる物となっている。
長距離を移動する為にはズサのブースターを外装する必要があるが、戦域到達時にパージされる為、実質敵拠点へ強襲する為の片道切符でしかない。
この様な、並のパイロットでは到底乗りこなすことが困難な非常に癖のある仕様となっているため、パイロットであるビランチャ・ベーア中尉専用機となっている。
袖付きで保有しているガルス系機で他に同じ仕様の機体が存在しないため、バリエーション機とは言うものの、上記のような非常に癖のある仕様により正式なバリエーション機とは言い難く、正しくは現地改修機と言ったところだと思われる。