概要
湿潤な環境を好む、夜行性で希少な動物である。ぷにぷにした太短い脚で歩き回り、顔の両側から粘液を放出して獲物を絡め取って食べる肉食動物である。繁殖は卵生、卵胎生、完全胎生と様々。体は柔軟で、その体表の触感はビロードに似ている故、英名は「ベルベットワーム」(Velvet worm)とも呼ばれる。
クマムシと共に節足動物に近い動物であるが、この3群のうちどの2群が最も近いというのは未だに定説がない。
カンブリア紀に生息したアイシュアイアなど、「葉足動物」と呼ばれた古生物のグループはカギムシによく似た姿を持ち、有爪動物・緩歩動物・そして節足動物という3つの動物門はそこから派生した末裔だと思われる。中でもカギムシはその先祖の特徴を色濃く残し、「生きた化石」ともされる。
葉足動物の1種ハルキゲニアは、爪の構造はカギムシのとよく似ているため、更にカギムシに近いとされた(一方、葉足動物とも言えるアノマロカリスとオパビニアなど恐蟹綱のものは節足動物に近い)。
ペルム紀末期までに陸上への進出を果たしたことでP-T境界の大絶滅の際の海洋酸素欠乏から逃れて生き残った。そのため現在はすべて陸生である。
ちなみに
生物学者出身のエログロ漫画家蜈蚣Melibe氏が「恋人が魔法でカギムシに変えられても元に戻さなくていい」と証してかつてファンロードで話題となった生物である。