名古屋市中区栄の久屋大通公園に建つ日本初の集約式電波塔。高さは180m。
高さ90m地点にある展望台を境に上をNHK名古屋放送局、下をCBCが保有している。
塔の真下に地下鉄を通すことを前提に計画された為、他の同種のタワーよりも基礎が浅い設計になっており、後年にその構想通りに地下鉄名城線が建設されている。(栄駅と久屋大通駅の駅間に当たる)
2011年7月24日のアナログ放送終了までNHK名古屋放送局総合テレビ・教育テレビ、CBC、名古屋テレビ、東海テレビのVHF局4局5波が送信していた。UHF局の中京テレビとテレビ愛知のアナログ放送は中京テレビ本社敷地内の東山タワーより、地上デジタル放送は瀬戸市の瀬戸デジタルタワーより送信している。
置局していた放送局
放送局名 | 物理チャンネル | コールサイン | 実効放射電力 |
---|---|---|---|
東海テレビ | 1ch | JOFX-TV | 映像105kW/音声26kW |
NHK総合名古屋 | 3ch | JOCK-TV | 映像58kw/音声14.5kw |
中部日本放送 | 5ch | JOAR-TV | 映像92kw/音声23kw |
NHK教育名古屋 | 9ch | JOCB-TV | 映像120kw/音声30kw |
名古屋テレビ | 11ch | JOLX-TV | 映像115kw/音声29kw |
空中線電力は全局映像10kw/音声2.5kw。
名古屋から140km以上離れた岐阜県飛騨市流葉地区にある「神岡流葉中継局」の東海テレビとCBCはテレビ塔から発射された1chと5chを直接受信してUHFに変換して送信していた。(他の局は親局から一旦船山の固定局を経由して中継)
アンテナ形状と設置順序
NHK総合テレビが スーパーターンスタイルアンテナ6段、教育テレビとCBC、名古屋テレビがスーパーゲイン14段4面、東海テレビが2ダイポール12段4面を使用しており、最先端部をNHK総合テレビが、CBCがそのすぐ下、その下にNHK教育、東海テレビ、名古屋テレビが使用していた。
存廃問題
名古屋テレビ塔は2011年7月24日のアナログテレビジョン放送停波によって一旦電波塔としての役割を終えた。
このためアナログ放送停波まで年間3億円あった収入のうち、放送局から支払われていたアンテナ設置料など1億円の収入が途絶えることになった。2003年に運営企業である名古屋テレビ塔株式会社は倒産寸前だったことなどもあり、厳しい経営環境に立たされていることが予想された。
この状況を少しでも打開すべく、アナログ送信機などを置いていたスペースを飲食店などに転換するリニューアル計画を策定したが、リニューアルにかかる費用(15億円)を自力では捻出できず、名古屋市と愛知県に公的支援を求めた。名古屋市は「税金の投入には市民の理解が必要」と回答を保留。役員会の際には計画の見直しを求めた。
もしこの計画が承認されなかった場合テレビ塔を解体することもありうると役員が発言し大きな波紋を呼んだ。
なお名古屋市の河村たかし市長はテレビ塔の解体を望んでおらず、「市長としてテレビ塔を取り壊すつもりはない。久屋大通公園を含め、名古屋のシンボルとして大いに盛り上げていきたい」と発言した一方、公的支援には否定的だった。(市としては民間譲渡を希望している)
アナログテレビ放送終了からおよそ10ヶ月後、モバキャスの名古屋中継局として名古屋テレビ塔が活用されることになり存続が約束された。
この際にアンテナの付け替えが行われており、トップ絵のものより数段軽装な外観に変わっている。
具体的には塔頂部のスーパーターンスタイルアンテナはNOTTVが用いる高周波数帯用の小振りなもの(元は3CH(102~108MHz)用の大型だった)へ交換、それ以外の塔のやや下部にあったアンテナ類は全て撤去。後付の度重なる増設で設計者がカンカンに怒った、ゴテゴテとしたアナログテレビ現役時代とは印象がだいぶ異なる。
しかしモバキャスの運営するサービスであるNOTTV加入者が伸び悩み、2016年にサービスを終了することになった。これによりテレビ塔存廃問題が再び浮上している。今VHF-Low帯で行われているマルチメディア放送i-dioは「名古屋局」と銘打っていても送信地点が三重県にあり、ここには置いていない。
なお放送用鉄塔としての運用が終了したことで建築基準法により耐震化工事の対象に入ることから(塔ではなく建築物の扱いになる)2019年度より一時休業して同工事を行う方針を表明している。