CV:井澤詩織
説明
野乃はなが以前通っていたシャインヒル学園の元同級生。チアリーディング部所属。はなとは仲が良かったようで、はなの事を「ののたん」と愛称で呼んでいる(はな側からは「エリちゃん」呼び)。
エリは中学1年の頃、自身がパフォーマンスのセンターに選ばれたことで、他の部員から嫉妬されイジメの標的にされてしまっていた。友人の苦境を見過ごせなかったはなは、イジメていた同級生達を格好悪いと強く叱咤しエリを庇った。それ以降、エリは表立って部員達から罵声を浴びせられることはなくなったが、ほどなくして今度ははながイジメのターゲットとして嫌がらせを受けるようになった。そして、クラスのみんなは自分が巻き込まれるのを嫌って誰もはなに手を差し伸べず、はなは完全に孤立してしまった。
エリもそんな「巻き込まれるのを嫌った」人々の一人であり、本心ではなを助けたかったが「また元に戻りたいの?」と部員達に釘を刺されてしまい、再び自分がいじめの標的になってしまうのを恐れ、はなの苦境を見て見ぬ振りをし続けた。そして程なくしてはなは転校したため、エリは最後まではなに救いの手を差し伸べることができなかった。
なお、エリは現在では部員達から阻害されるような目にはあっておらずセンターの座も務めている。
エリははなを孤立させた「共犯者」として部員達の「仲間」になれたので、いじめから解放された。それが厳然たる事実として存在している。
だが、エリはそんな自分を肯定できるはずもなく、あれからずっと後悔の念に苛まれ続けていた。一方、はなの方も「エリをイジメていた人たち」にエリ本人が同調して自分を無視し続けたことにショックを受けていた。仲の良い友達がなんで自分にこんな仕打ちをしたのかと思い悩んだ結果、「自分がやったことは余計なお節介だったので、エリに嫌われてしまった」という仮説にたどり着いてしまっていた。
可能性を考え出すとキリがないが、はなは「自分が何かをどこかで間違ったのではないか」という不安に囚われるようになり、何を間違ったのかわからないからこそ、その不安は解消されなかった。(逆にいえば、はなは「エリの方が間違ったことをしている」という考えをしたくなかったとも言える)
最終的にはなは母の「あなたは間違っていない」という言葉によって、その不安に負けずに立ち上がることはできたが、完全に克服できたわけではなかった。はなの心の奥底には「自分はまたいつか、何かをどこかで間違うかも知れない」という思い=「未来への不安」が呪いのようにこびりついている。普段は輝く未来を信じてがむしゃらに突っ走るはながたまに見せる不安や恐れの表情がそれを象徴している。
第31話にて、エリは自分の中にある罪悪感に耐えきれなくなってはなに許しを請うために謝罪に訪れるが、はなの方は「あなたはかつて取り返しのつかない間違いをおかした」と指摘されるような不安にとらわれてしまい、エリと向かい合うことができずに逃げ出してしまう。
だが、今の仲間達からの口伝てでエリの真意を知ったこと、そして今の仲間達からの励ましで過去と決別したはなは、エリと対面して「許すとか許さないとかそういうのじゃない」「エリちゃんのことがやっぱ好きだから」と過去のことを水に流す。
最後には笑顔で彼女と和解し、二人はそれぞれの未来のために異なる道を歩みだすことになった。
備考
この時のはなの思いは後のバトルシーンでの独白で補足もされているが、はなとエリの関係を描いたこの第31話のポイントは「エリを許せたはなの優しさ」ではない。
はながエリに語った「許すとか許さないとかそういうのじゃない」というのはまさに言葉通りで、そもそもはなはエリに対して怒りや憎しみは持っていない。逆にはなが抱いたのは不安や怖れといった苦手意識であった。
はなは「過去の友達」であるエリに対して抱いていた不安や怖れを昇華させないと自分が未来へ進むことができないと自覚していたが、なかなかその思いに向き合うことができなかった。しかし「今の友達」であるさあややほまれ達の支えにより、自分の気持ちを整理することができたためはなの側はそれで解決している。
ただ、はなは作中でも言っている通り「エリちゃんのことがやっぱ好きだから」という理由で、エリがはなへの罪悪感に囚われずに未来へ進んで欲しかったため彼女ときちんと向き合って自分の今の思いを真摯に伝えた。
このはな側の解決を示すかのように、はなは他の部員達と同じ場所でエリと面会し和解の言葉をかけたにも関わらず、他の部員達とは挨拶もそこそこに余計な会話はあえてしなかったことは付記しておく(他の部員達は「あの野乃はな」がやってきたことにひどく動揺していたが、彼女ら側から罪悪感を思い起こす描写も無かった)。
しかし、部員の一人がはなに対して「ていうか…何その前髪?」と言った時だけは、あえてはなは強気の笑顔で「めっちゃイケてるでしょ!」と返し、部員達を唖然とさせている。
中の人について
担当声優の井澤詩織女史は『Go!プリンセスプリキュア』の敵キャラクター・ストップ以来のプリキュアシリーズ出演。
また、えみる役の人とは別のニチアサ作品で主役同士として共演しており、それをネタにしたイラストも投稿されている。