国語辞典
こくごじてん
大多数の人が誤解しているが、辞典は「正しい言葉・文字・意味を載せるための本」ではない
辞典を語る前提の知識として、言葉の概念である「規範文法」と「記述文法」の違い、言葉の学問である「語学」と「言語学」の違いの理解が必要である。
簡単に言うと、規範文法とは「正しい言葉」で、記述文法は「間違いだが使われている言葉」である。
そして語学と言語学の関係は規範文法と記述文法の関係と考えれば解りやすいだろう。
辞典は言語学の実用書であり、言語学は記述文法に寄り添った学問である。
辞典とは「正しい言葉を載せる」ための本ではなく、「現在の、国内で、多用され、意味が伝わる言葉を、元来自国の言葉か外国の言葉かは無視し、外国での意味・字・用法も無視し、元来の正誤に関係無く、編集者の語感によって言葉・文字・意味・正誤を決めて載せる」ための本である。
要するに「みんなが使っている言葉を載せている」だけである。
日本が中国などの外国から輸入した言葉には「炎」や「トランプ」などの間違った言葉があるが、あくまで言語学である辞典は「日本に来た時点で誤った言葉、言葉の正誤をどうこう言う立場にない」のだ。
辞典の言う正用・誤用とはあくまで「世間に受け入れられている=実用的かどうかでのみ判断」したものであり、辞典では「正しい言葉・誤った言葉」の理解の何の助けにもならない。
なお出版社が同じであっても各辞書編集部が別々なので、同じ出版社だからといって同一の見解であることはない。
主な国語辞典
》俗な意味での「萌え」が載っている国語辞典には★を付した。ちなみに「萌」は常用漢字でない。
》笑う意味での「w」が載っている国語辞典には◆を付した。〔電子媒体版をも含める〕
》異字同訓の「計る・測る・量る・図る・謀る・諮る」の使い分けが全部示されている国語辞典には●を付した。〔電子媒体版をも含める〕
日本最大の国語辞典は、小学館の日本国語大辞典で、
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