概要
中臣氏(のちの藤原氏)の氏神(守護神、祖神とその妻)四柱を祀る。日本全国に約1000存在する春日神社の総本社。
神の宿る霊峰の一つとされていた春日山のふもとに藤原不比等が建立したのがはじまり。
建立の目的は平城京の守護でもあったとされ、祭神の一人タケミカヅチは鹿島神宮から、白い神鹿に乗ってこの地までやってきたという。
1998年にユネスコの世界遺産に指定された「古都奈良の文化財」を構成する建築物の一つである。
祭神
- 一殿:武甕槌命
藤原氏の守護神。藤原氏の祖藤原鎌足が生まれたとされる常陸国鹿島の神。
- 二殿:経津主命
同じく守護神。藤原鎌足が下総国の香取にこの神を勧請し、太刀を奉納した伝承が伝わる。これが香取神宮のはじまりだという。
- 三殿:天児屋命
天児屋命は藤原氏の直接の祖先とされ、この神から藤原氏に通じる家系図も伝承された。
- 四殿:比売神
天児屋命の妻。春日大社では単に女神を意味するこの名称が用いられるが、別の神社(枚岡神社)の伝承では神名は「天美豆玉照比売命(あめのみづたまてるひめのみこと)」とされる。
本社で祀られる以上四柱をまとめて「春日神」と呼ぶ。
この他、敷地内にある複数の摂末社(小さな社)で天児屋命の息子である天押雲根命などの神々が祀られている。
神仏習合
本地垂迹説の影響を受け、四柱の祭神には本地仏が設定され、春日神は春日権現とも呼ばれるようになる。
経津主命=薬師如来
天児屋命=地蔵菩薩
春日権現
春日権現は鹿に乗った一人の男性の姿で描写される。天照大神やその化身雨宝童子、八幡大菩薩と共に描かれた「三社託宣」の構図でも描かれた。